『愛の不時着』ヒョンビン「兵役で海兵隊志願」が与えた衝撃 | FRIDAYデジタル

『愛の不時着』ヒョンビン「兵役で海兵隊志願」が与えた衝撃

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2020年10月、大韓民国大衆文化芸術賞でのヒョンビン 写真:Splash/アフロ

韓国芸能マネージメント協会が主催するドラマ授賞式「APANスターアワード」で大賞を受賞したヒョンビン。『愛の不時着』が日本でも人気を博し、年明けには、共演した女優ソン・イェジンとの交際が発覚、結婚説が浮上(事務所が否定)するなど、今最も注目されている韓流スターだろう。

日本と同じく韓国でも圧倒的な人気を誇るヒョンビンだが、彼の好感度の根底には「過酷な兵役を務めた」という経歴が少なからず影響している。

ヒョンビンは今から10年前の2011年3月、兵役のなかで最も過酷とされる海兵隊に志願して入隊しているのだ。

その男らしい決断が韓国社会にどれほどの衝撃を与えたことか。それを知るためには、まずは韓国における芸能人の兵役について振り返ってみたい。

兵役逃れに奔走した芸能人たち

そもそも韓国の男性は満28歳までに、2年間の兵役義務がある。当然ながら芸能人であっても例外はない。毎年のように俳優やK-POPスターが兵役に行ったというニュースが聞こえてくるのもそのためだ。

ただ以前まで芸能人にとって兵役は、マイナスにしかならない悪材料だった。兵役は文字通り軍隊に入るため、兵役期間である約2年間はほとんど表舞台に出られることがない。韓国では軍白期と呼ばれ、「芸能人にとって兵役は墓場」ともされた。

そのため過去には不正に兵役逃れを働く芸能人も少なくなかった。

有名なところでは、2004年の俳優ソン・スンホン、チャン・ヒョク、ハン・ジェソクだろうか。彼らは兵役前に個人病院で尿検査を受ける際、尿にタンパク質成分の薬物を混入させたり、尿道に注射で自分の血が混ざった液体を注入したりして、腎臓疾患などの診断を受けた。そして兵役免除の判定を得たりした。

しかしほどなく不正が発覚して入隊することに。その際、ソン・スンホンがファンに向かって心情を手紙で送っているのだが、韓国メディアは「兵役逃れ詩人ソン・スンホン」などと猛バッシングし、その余波はなかなか収まらなかった。

また数々のヒット曲でK-POPスターの地位に上がったユ・スンジュンは、2002年の入隊を控えてアメリカの市民権を取得。韓国国籍を破棄すれば兵役義務がないと考えたのだ。実際に兵役を回避することはできたが、彼には裏切り者の罵声が浴びせられ、韓国への入国禁止措置が下された。ユ・スンジュンは20年近く経った現在も、韓国に入国できないままだ。

特別扱い?芸能兵制度と不祥事

こうした兵役逃れの問題に加え、芸能人の兵役に関するイメージがあまり良くなかったのは、芸能人専用ともいえる芸能兵制度があったこととも関係しているかもしれない。

1996年から始まった芸能兵制度とは、韓国国防部のPR活動などに協力するという理由から、一部の芸能人が実戦部隊への配属が免除される制度のことだ。実際にイ・ジュンギ、コン・ユ、キム・ジェウク、キム・ジェウォン、ユン・ゲサン、チソンなど、多くの芸能人がその制度で兵役をつとめてきた。

ただ「芸能人だけが優遇されている」との批判が常に絶えず、実際に芸能兵の不祥事も頻発した。

例えば、歌手RAINと女優キム・テヒの熱愛スキャンダルだ。2人の熱愛説の真相が追求される過程で、RAINが兵役中でありながら頻繁に休暇をとり、外出していることが発覚。大問題となった。

また2013年、芸能兵として服務していた歌手のSE7ENMighty Mouthのサンチュが、慰安訪問公演の後に街に出かけて私服で飲酒し、さらには風俗店に入っていたという驚愕の事実が発覚。SE7ENやサンチュら懲戒対象8人のうち7人は部隊内の監獄に、1人は謹慎処分となった。

そんな不祥事が続き、もともと優遇と否定的に見られていたこともあって、芸能兵制度は2013年7月に廃止となっている。後輩芸能人たちが残念がったことは想像に難くない。

ここまで見てきたように以前まで芸能人にとって兵役は、できれば避けたいものであり、プラスになることのない空白の2年間でしかなかった。

そんな芸能人の兵役に対するイメージを180度ひっくり返したのが、ヒョンビンに他ならない。

トップスター「海兵隊入隊」の衝撃

2011年3月7日、人気絶頂だったヒョンビンは海兵隊に入隊。兵役逃れを画策し、芸能兵として兵役義務を果たそうとする芸能人がいたなかで、兵役のなかで最も訓練が過酷とされる海兵隊に志願したことは異例中の異例だった。

そもそも海兵隊は志願したからといって、誰もが入れる部隊ではない。選ばれたエリートだけが入隊できるのだ。だがヒョンビンは身体検査を通じて、腕立て伏せ1分間に50回で15点満点、腹筋1分間に57回で14点を得るなど、見事に志願者の上位5%の成績で合格。ヒョンビンの入隊は、海兵隊・教育訓練団の歴代最高齢(満28歳)での入隊だった。

それだけに韓国メディアはもちろん、多くの人々が彼の決断を称賛した。当時の韓国メディアの報道を振り返ってみると、「ヒョンビン、3月に海兵隊志願入隊やはり完璧男」「ヒョンビン、海兵隊行き本当に社会指導層になる”…ネット民が大幅支持」「ヒョンビン、海兵隊入隊見た目+お金+人格者、足らないところがない」といった見出しが並んでおり、まさに手放しでほめちぎっている。

こうしてヒョンビンは「男の中の男」となった。芸能人にとってマイナスでしかなかった兵役を通じて、逆に評価を高めたのだ。

それにしても、なぜヒョンビンは海兵隊に志願したのだろうか。それを知るためには、ヒョンビンら8人の海兵をインタビューした書籍『私は海兵隊だ』(著者キム・ファンギ)が詳しい。

そこでヒョンビンは「私にとって1年9ヵ月というのは、とても貴重な時間です。この期間、自分の精神的・肉体的な限界を知りたくて、その限界にぶつかってみたいと思いました。それで海兵隊に志願したのです」と、海兵隊に志願した理由を明かした。

続けて彼は、「軍隊にいる間、また違う自分を発見したいです。すでに知られている俳優ヒョンビンではなく、これが最良か?と繰り返し、自分に鞭を打つ誠実な人間としてのキム・テピョン(ヒョンビンの本名)でもなく、まだ自分が知らない自分を探してみたいのです」と話している。

もともと役作りでは、ストイックなことで知られていたヒョンビンのことだ。

例えば2005年、韓国で最高視聴率50%超えの大ヒットドラマ『私の名前はキム・サムスン』に出演していた当時、ヒョンビン演じるヒョン・ジノンがピアノを演奏するシーンがあった。のちにヒョンビンが実際にピアノ演奏を披露したことで話題を呼んだりしたのだが、

彼はヒョン・ジノン役に抜擢されてから3ヵ月間にわたってピアノの猛練習を重ねたそうだ。「小さい頃にピアノを習っていましたが、大人になってやろうとしても上手くいきませんね。家にピアノを1台購入して、必死で練習しました」と語ったりしている。

そんな彼だけに俳優としてだけではなく、人間としての自分自身の限界に挑戦してみたくなったのかもしれない。

いずれにしてもヒョンビンは除隊後、もともとのイケメンに加え、ストイックでたくましいイメージまで備えて俳優として大活躍を果たした。ヒョンビン自身も兵役を「キャリアのうえでプラスになった」と語っている通りだ。

自分の限界に挑戦するために海兵隊に志願し、過酷な兵役を乗り越え、圧倒的な好感度で活躍を広げているヒョンビン。10年前の衝撃の兵役は、彼が韓国を超え、日本でも愛されている遠因にもなっているのかもしれない。

  • 取材・文スポーツソウル日本版写真アフロ

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