白衣の国会議員・小池晃が明かす「菅政権に対する本音」
「こんなもんだろう」が一番いけない
「大学を卒業して、内科医として病院に務めたんです。目の前にね、病気で苦しんでいる人がいる。その人に元気になってもらう。それが仕事でした。けれども、病気が治っても帰る家のない患者さんもいました。悔しかった。病気を治すだけじゃなく、困っている人、苦しんでいる人を助けたいと思って政治家になったんです」
国会で、コロナ禍の生活支援や経済的な援助を求める質問を次々と繰り出している小池晃・参議院議員。その思いの原点は、医師だった時の経験だという。あまり語られることがない医師時代の小池氏の話、そして、現政権について思うことを率直に聞いた。
「お金がなくて病院にかかれなかった患者さんもいました。そして今、新型コロナに感染して、十分な医療を受けられない人がいる。ここには、患者さんの経済的な問題と、社会的な問題があるんです。
日本には国民皆保険の制度があって、みんなが必要な医療を受けられるはず。それなのに今、『医療崩壊』とまでいわれる状態になってしまったのはなぜなのか。ウイルスの脅威は避けられませんが、対応する政治の責任は大きいと思います」
日本で新型コロナの感染が意識され始めてちょうど1年になる。対策は「後手後手に回った」といわれている。
「科学的に根拠のない対応が多すぎました。昨年1月の時点で『中国の武漢で新型肺炎が広がっている』とわかっていたのに、安倍首相は中国に向けて『訪日歓迎』のメッセージを送りました。結果、春節の長期休暇で、中国から観光客がたくさん来日した。オリンピック・パラリンピックの開催が延期に決まるまで、感染症を軽く見るような対応を続けてしまったんです。
その後、第2波、第3波と感染が拡大しているとき、国会を閉じてしまった。こういうときこそ、国会を開催して対応策を話し合うべきだったのに、と思います」
コロナ禍の生活苦を救うには
2020年4月、そして今年1月「緊急事態宣言」が出された。
「感染症を封じ込めることは重要です。徹底的にやるべきでしょう。ただ、それにともなう損失、お店を開けられないとか、仕事ができなくなった人への補償とセットでなければ。コロナ禍で自殺者が増えてしまった。生活を守らないで規制だけするというのはあまりに無責任です」
この間、小池氏は一貫して、医療体制の充実と補償を訴えてきた。
「昨年春の国会で、当時首相だった安倍さんが『補償はしません』って、言っちゃったんです。それが今も引きずっている。コトバの縛りにあっているんです。菅さんは、未だ安倍路線を継承していますから。状況の変化に合わせて対応していく発想は感じられないです。専門家の意見を聞くといいながら、その意見を全く反映しなかったり、逆にとってみたり。お粗末すぎるんです。
『補償』って、たとえばあるお店が休業します、そのお店の以前の売り上げを『全部もちます』ということじゃない。そのお店が、この先続けて行けるように、休んでいる間の固定費、家賃とか人件費を補いましょう、ということなんです。そうすれば、休業があけたらまた同じように営業して生活していける。政治って、人の生活を守るためにあるんです。人が、安心して生きていけるようにするためにあるんです。
共産党って、文句ばっかりいってるという人もいらっしゃいますよね。でもね、文句じゃないんです。だって、みんな生きていかなきゃいけない。困っている人がいれば、助けなきゃいけない。政治の役割ってそういうことでしょう?」
困っている人のために「すぐ動く」
「新型コロナ特別措置法で、さまざまな『罰則』規定ができました。罰則で、恐怖心で縛って、なにかうまくいくと菅さんは思っているんでしょうか。
経済的には、罰則ではなく補償で『営業しなくてもやっていける』安心できる状態を保つ。
日本の医療は本来、とても充実しているし、保健所の機能は優れている。良いところがたくさんあるんです。だから、諸外国に比べて感染も比較的深刻になっていないんだと思います。そういう良いところを生かして、感染者が減っている今こそ、PCR検査を増やしていったらいい。医療の充実です。
その両輪で、コロナを乗り切る。今ね、『困ったときは共産党に相談しよう』キャンペーンをやってるんですよ」
2月13日深夜に、福島県沖を震源とする大きな地震が起きた。直後に「現地と連絡をとっています。暗い中、不安も大きいかと思います。どうかお気をつけて」とツイート。14日早朝には、党の「福島県沖地震災害対策本部」を設置、本部長として、救援と情報収集を始めていることを伝えた。ともかく、「困ったときはすぐ動く」がモットーだ。
菅政権に対する「本音」は…
今、菅義偉首相の支持率はどんどん下がっている。「菅政権ではダメだ」「二階幹事長が牛耳っているのでは」という声が聞こえる。が、じゃあ、誰なら任せられるのだろうか。「野党の本音」を聞いてみた。
「各国で女性のリーダーが活躍していますが、野田聖子さん…二階さんと一緒になにかやってますよね。石破茂さんなど、ご意見の一部に共感できるところもありますが、まず今の自民党にいる、あの菅さんや二階さんのもとで働いているという時点で、疑問です。もし、万万が一、離党するとなれば、共に戦えるかもしれませんが。
河野太郎さん。テレビ番組でもご一緒しましたが…変わった方という印象です。ずけずけものを言うところが『発信力がある』と誤解されているんでしょう。
もちろん、あれだけたくさんの嘘をついた安倍さんの再登板は論外です。
政治なんてこんなもんだろうという『悪慣れ』は残念すぎます」
夢は「戦いのない世界」
「オリンピックは延期できるけど、選挙は延期できません。秋には必ず総選挙がある。そのとき、この国にとってなにが必要か、判断しなければ。共産党の議員は衆参合わせて25人。自民党は391人です。そのひとりひとりが、きちんと働かなければならないと思います。
国会議員って、1億2000万人のために働いている。でも、目の前のひとりのために働いていたときと同じ気持ちもあるんです。困っている人を助けたい。僕の夢は世界から戦争をなくすこと。大きいでしょ。でもね、思い続けることが大事だと思ってる。頑張りますよ」
小池晃 60歳。勤務医時代の地元、赤羽の居酒屋が好きで、銀座の高級バーには行かない。今も、ときに白衣を着て困っている人の生活、健康相談にのっている。