災害時に飛び交う「デマ、フェイクニュース」に惑わされないために
「体の安全」と同時に「心の安全」を守る
大きな揺れの直後から、SNSに悪質なデマが流れ始めた。

13日23時08分に東日本を襲った地震。福島県沖を震源とする最大震度6強という大きさ、都内でもかなりの揺れを感じる深夜の地震に、人々は不安に襲われた。
そんな不安につけ込むかのように、SNSには、悪質なデマ、フェイクニュースがあふれたのだ。
「福島で、外国人が井戸に毒を入れているのを見ました」
いったい、これはいつの時代のデマだろうか。「外国人」が「井戸」に「毒」?
あまりに程度の低いデマに、さすがにこれを信じる人はいなかっただろう。が、だからといって許されるものではない。98年前の東京では、こういった根も葉もないデマが流れたことで、悲劇が起こったのだ。
デマ、フェイクニュースは「罪」になる
2018年6月に大阪北部地震が発生した際も同じような外国人に対する差別的ツイートが投稿され、法務省が注意を呼びかけたことがあった。ツイッター社は「人種差別的な投稿は削除、応じなければアカウントの凍結」という措置をとっているというが、その措置は十分には追いついていない。
しかし、SNSによるヘイト、差別が大きな問題になった今、他の利用者による「通報」というある種の自浄作用も生まれている。昨夜から、そういった差別的ツイートに対して作家の柳美里さんやジャーナリストの津田大介さんなどが次々と「通報」、注意を喚起するtweetを続けている。

SNSには今も、「火事場泥棒が頻発している」といった古典的なものから「災害時には既に入国している敵兵士に注意」という荒唐無稽なものまで、間断なく流れてくる。
デマに「弱くなった」社会で「心の安全」を守る
東日本大震災から10年、日本国内のスマートフォンの契約数、SNSの利用者数は激増した。そのことも手伝ってか、社会は「10年前より格段にデマに弱くなっている」といわれている。SNSメディアの影響力がここまで強くなった今、これまでのように野放図に「だれでもノーチェックで発信できる」ことの功罪が問われる。
既存メディアの情報が常に正しいとは限らない。SNSの情報が役に立つときもあるかもしれない。重要なのは、いうまでもなく「情報を判断する力」だ。災害など非常時に、人は動揺し、ありえないようなフェイクにも易々と引っかかってしまうことがある。
今回の地震は、2011年3月11日の地震の「余震と考えられ、今後1週間程度は同規模の地震に注意」(気象庁)という。明日から「広い範囲で雨」の予報もある。自宅を離れ、避難が必要になったときは、新型コロナの感染予防もあり、より注意が求められる。
避難用品の準備や避難経路の確認など「体の安全」を守るための備えとともに、デマやフェイクニュースに騙されない「心の安全」を守る準備も、これを機にしっかりと心がけておきたい。
写真:アフロ