地震大国に生きる日本人が思い出さなければいけないこと | FRIDAYデジタル

地震大国に生きる日本人が思い出さなければいけないこと

「幸福な期間」はとっくに終わっていた

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2021年2月13日、土曜の夜を突然襲った強い揺れ。不安を抱えたまま週末を過ごした人も多かったことだろう。気象庁の発表によると、今回の震度は6強、マグニチュードは7.3。10年前の東日本大震災の余震と考えられるとのことだ。

「10年も前の地震の余震が、いまになってもまだ起こるとは…」という感覚を持った人も少なくないだろう。しかし、地震の専門家は「今後も同様の強い余震が起こる可能性は否定できない」と指摘する。

自然災害の歴史を研究する、立命館大学の高橋学・特任教授の話。

「『余震は本震から数年も経てば起こらない』『今回、大きな余震があったのだからもう大きいものは来ないだろう』という考えは誤りです。東日本大震災クラスの余震は、10年程度で収まるものではない。残念ではありますが、今後また同程度か、それ以上の余震が来ることについても、想定しておかなければなりません」

人間、誰もが「大きな自然災害は来ないでほしい」「ついこの間大きめの地震があったのだから、もうしばらくは来ないはずだ」という願望を抱いてしまいがちだ。しかし、残念ながら日本で暮らす以上は、そのような「甘い楽観」は捨てるしかない。高橋教授は、「歴史を振り返ると日本は数えきれないほどの大災害に見舞われてきたが、一時的な平穏が続いたため、日本人は大事な事実を忘れてしまっているのではないか」と嘆く。

「敗戦直後の日本は、地震や台風などの自然災害が本当に多く発生したのです。戦争という災厄が終わったばかりだったこともあり、当時の日本人の防災意識はとても高かった。

しかし、1964年の東京五輪から阪神・淡路大震災が起こるまでのあいだ、大規模な自然災害に見舞われる機会が一時的に少なくなりました。

この幸福な期間に日本は未曽有の経済発展を遂げましたが、その一方で、この国が『災害大国』であるという意識が弱まってしまったのではないか…と思っています。いわば、『災害を知らない日本人』が増えてしまったのです。

しかし、この10年を振り返ってみてください。日本は何度も巨大地震や大型台風に見舞われています。偶然がもたらした『幸福な期間』は終わった、と考えなければなりません。改めて、日本が災害大国であることを認識し、それを前提として防災対策や政策を進めていく必要があるのです」

ことさらに恐怖を煽るつもりはない。しかし、首都直下型地震も、南海トラフ地震も「確実に起こる」ことが明らかな災害だ。地震研究はまだまだ発展の途中であるため、正確な時期を予測することはできないが、高橋教授はこう指摘する。

「非常に気になるのが、昨年秋以降、日本各地で地震が頻発していることです。コロナのニュースがあふれる中であまり注目されていないのですが、昨年秋ごろから、岩手県周辺で規模の小さな揺れが頻発していることを筆頭に、近年、岩手県から北海道の南岸、沖縄の南端から宮古島周辺、徳島と和歌山周辺、静岡県中部、そして関東でいえば栃木や群馬での地震が目立っています。

千葉や茨城の地震は過去にもよく見られましたが、それに比べればあまり地震が起こらなかった栃木や群馬で地震が起こっていることには、注意が必要だと思います。

政府は南海トラフ地震の起こる確率を『30年以内に80%』と繰り返し述べていますが、悠長だと思います。今日や明日も含め、まもなく来るものと認識して、自治体としても個人としても準備を進めなければ、日本は壊滅的な被害に見舞われます。首都圏直下型地震や南海トラフ地震の被害規模は、言うまでもなく今回の地震の被害程度では収まらないですから」

高橋教授は、災害への備えを進めるうえで、心がけてほしいことがあると忠告する。

「防災グッズをそろえたり、避難のための訓練や準備を行うことはもちろん重要です。しかし、最近気になるのが『避難所生活を快適に過ごすための準備』といった言葉や、『オシャレな防災グッズ』という言葉が目に付くことです。

もちろん暗く考え過ぎるのもよくないですが、一方で、実際に災害が起こった時や避難所での生活が始まった時のことを楽観的に考えていると、現実を見た後に絶望に変わる可能性もあります。そうすると、避難生活の際に心が折れてしまうでしょう。

厳しいことを言えば、快適な避難生活などありえない。オシャレよりもまずは機能を重視して、500mlの水やタオル、持病の薬など最低限必要な防災用品をそろえるべき。改めて『自然災害大国』で暮らしていることを自覚し、最悪の事態の中でも生きるためには何が必要か…という考えに基づいて、モノと心の準備を進めておくべきなのです」

地震を未然に防ぐことはできない。しかし、その被害を軽減することは不可能ではない。その心構えをもとに、やるべきことを進めていくしかないのだ。

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