コロナ禍「料理がしんどい」人を救うコウケンテツ本の魅力 | FRIDAYデジタル

コロナ禍「料理がしんどい」人を救うコウケンテツ本の魅力

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コロナ禍の中、2度目の緊急事態宣言が延長された。都市部の飲食店は夜8時までの時短営業となり、外食の機会が減った家庭は多いのではないだろうか。外出を控えて家にいる時間が多くなると、困るのが食事の支度だ。

そんなコロナ禍でのごはんづくりに疲れた人達を励ます本が、最近注目を集めている。人気料理研究家コウケンテツ氏が上梓した『本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』(ぴあ刊)だ。日々の料理ストレスはどうやったら解消できるのか。著者にそのヒントを聞いた。

『本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』(コウケンテツ著 ぴあ刊)

ーーコロナ禍で「料理がしんどい」という方が増えているようです。料理研究家として、どんな声を聞いているでしょうか?

コロナ禍は、私たちの食卓も大きく変えたと感じています。「家族が家にいる時間が増え、1日中台所で料理をするようになってつらい」「飲食店の営業時間短縮で、夕食を外で食べられなくなって困っている」「料理は好きだけど、毎食となるとバリエーションが尽きる」という声を聞いています。

ほかには「自分ひとりだけならお昼は残り物などで手軽に済ませていたのが、家族がずっと家にいるため、3食きっちりつくらなければならなくなった」という方も多いようです。(料理家・コウケンテツ氏 以下同)

ーー「お料理がしんどい」と感じる背景には、どんなことがあるでしょうか?

海外の家庭料理をみるとわかるんですが、日本ではかなり高いレベルを求められています。餃子、カレー、パスタなど、世界の料理が家庭の食卓に日替わりで上がるのは日本ならではだと思います。栄養、献立のバリエーション、彩りなどを考えて作っても、「ただ食べるだけ」の 家族は感謝の気持ちを持たないこともあります。「おいしくない」「食べたくない」と言われたら、モチベーションを維持できないのは当然です。

さらにコロナ禍では家族やパートナーがずっと家にいるにもかかわらず、気づいたらワンオペ料理になることも。献立作り、家計と相談しながらの買い物、冷蔵庫の管理、食卓の準備、洗い物、キッチンの掃除など、料理はマルチタスク。食卓に並んだ料理しかみなければなかなか実感がわかないかもしれませんが、料理を1人で担当するのは実は大きな負担なんですね。

こうしたワンオペ料理の大変さを理解しない家族に追いつめられている人は少なくありません。さらにお惣菜やレトルト食品を出すことに罪悪感を持ち、自分で自分を追い詰めてしまっていることもあるようですね。

ーーコロナ禍で料理をしんどいと感じずに済む工夫には、どんなことがあるでしょうか?

まず日々のごはん作りに対する、家族の理解や協力は必要不可欠だと思います。その上で私自身も実践している方法を挙げてみます。

自分が輝かない日は作らない

パリに取材に行ったとき。ある女性が「ずっと家にいて、家族のためにごはんばっかり作っていたら、私が輝かないじゃない! 私が輝いてこそ、家族が輝くのよ!」とおっしゃっていました。「料理は自分の仕事だから仕方ない」「自分だけが我慢すればいい」と考えてしまう方も多くいらっしゃると思うのですが、「しんどいときは無理に作らなくてもいいよね」と家族全員があたたかく支え合える関係を目指せるといいですよね。

作らないことに罪悪感を抱く必要はなし

「ねばならない」でがんじがらめになっていないでしょうか。朝から栄養バランスが整ったバランスの良いごはんじゃないといけない。休みの日にはどうしても炭水化物が中心になりがちな食事を改めないといけない、など。我が家では朝ごはんはコーンフレークだけ、トーストを焼くだけ、納豆ごはんだけ。休日は公園でコンビニのおにぎりを食べるだけでも「立派なごはん」と考えるようにしています。そして当然作らない日があってもいいし、むしろあったほうがいいのです。

バリエーションをこれ以上増やさない

海外の家庭料理は質素。毎日おなじおかずを食べるご家庭も多いようです。僕が取材に行ったヨーロッパの働く子育て世代には「平日は自宅で料理をしない」人が多く、昼も夜もデリのお惣菜や冷食など、「並べるだけのごはん」で済ませる方も多くいらっしゃいましたよ。

フライパン料理ひとつとごはんで完結

フライパンひとつですぐできる、ボリュームがあって野菜たっぷりの料理とごはんがあれば立派なごはんです。フライパンごと食卓に出し、各自取り皿を使うと洗い物が減ります。大きな取り皿にごはんもよそえば、お茶碗も洗わなくていいのでおすすめです。

味付けはセルフサービス

味付けは必要最低限にして、食べる人に食卓で自由自在に味をアレンジしてもらうと「おいしく作らなければ」というプレッシャーが減ります。そもそも味の好みは千差万別。自分に合った味付けをするのも楽しいものです。あと、最後は食べる人の自己責任になるので、味付けに関して文句を言われないという点もいいですね(笑)。

「インスタント・お惣菜・冷食」万歳

手作りに縛られず、手軽に食べられるものも柔軟に活用するのもポイント。昔と違って、いまはインスタントや冷凍食品でも、野菜が摂れておいしいものが増えています。そういったものをうまく活用することで、少しでも気持ちの余裕を持てる方が大切なのかもしれません。

ーーコロナ禍での料理をしんどいと感じなくなる、考え方や心構えは?

「料理がしんどい」と思ったときに頼れる、駆け込み寺的なお助けアイテムの引き出しを多く持つととても便利です。インスタントラーメンや菓子パンでもOK。子どもや家族がよろこんで食べてくれるもの、料理しない「罪悪感」を帳消しにしてくれるもの、自分で自分を許せるもの。「ま、いっか」と思えるアイテムや献立を、家族みんなで決めてみるのもいいですね。

僕はある時、朝ごはん作りをやめてみました。気持ち的にしんどくなってしまって。そうするとある休みの日に、小学校5年の長男が、ベーコンきゅうりサンドを家族のために作ってくれたのです。大感激したのと同時に、自分が頑張らなくても、世の中も家庭も回っていくもんだな、と感じました(笑)。

完璧を目指して、もしくは完璧を強いられて余裕のない毎日を送るのではなく、ごはん作りに関して、もっと気楽にとらえられるような環境づくりが求められているのだと思います。

そのためには、手料理=愛情ではなく、手料理=余裕のバロメーターと考えてみてはいかがでしょうか。手づくりじゃないからといって、愛情がないわけではありませんよね。どんなものであれ、家族のためにごはんを用意する。これだけであなたは100%愛情に溢れた存在なのです。

みなさんコロナ禍の中、大変な生活を強いられ、もう十分すぎるほど頑張っています。これ以上頑張る必要があるのでしょうか?  もっと自分自身を労って、無理しないで、うんとハードルを下げて、時間と心に余裕のある時に、できる範囲でごはん作りを楽しんでほしいのです。

あと、ごはんを作らない日をきっちり設ける、というのも大切。仕事や学業に休みの日があるように、ごはん作りにも休みが必要なのです。そのためには家族やパートナーの理解が必須になります。家事や日々のごはん作りがどれほど大変なのかということを、もっと分かって欲しい。もっと感謝の気持ちをもってほしい。

「いつもありがとう。めっちゃ美味しかった!」の一言で作る人は報われますし、そのようにしんどい気持ちを共有し、分かってくれるだけで嬉しい。それがまず第一歩で、その次に、家事や料理にまつわるいろんな問題をどう具体的に解決していくのか、という順番なのだと思うのです。そして料理をしない人は、せめてお片付けと洗い物をお願いいたします。

そんな風にして、誰もがしんどい思いをせずに、楽な気持ちで、日々の食卓を楽しむことができますように。その輪が広がっていきますように。

「手料理は愛情」という考え方は、「料理をする人に余裕とやる気があってこそ」というコウケンテツ氏の言葉は新鮮だ。好きだった料理が自分を縛るつらい義務になってしまうのは悲しいことだが、「ねばならない」という思い込みから自らがんじがらめになっているケースもありそうだ。

父は外で働き、母が家庭を切り盛りするという昭和の価値観は、いまでは少数派になっている。家族みんなが自分のできることをやり、お互いが支え合う中で幸せを創ろうとする現代の価値観の中で、「料理をがんばりすぎない」というコウケンテツ氏の言葉は、コロナ禍を乗り越えようとする多くの人の励ましとなっている。

コウケンテツ 1974年大阪府生まれ。料理研究家。旬の素材を生かした手軽でおいしい家庭料理を提案し、テレビや雑誌、講演会など多方面で活躍中。また30ヵ国以上を旅し、世界の家庭料理を学んだ経験も持つ。プライベートでは3児の父親として育児に奮闘中。親子の食育、男性の家事・育児参加、食を通して人と人とのコミュニケーションを広げる活動にも力を入れている。2020年3月末に開設したYouTube公式チャンネル「KohKentetsuKitchen」は登録者数60万人を突破(2021年2月現在)。料理研究家ユーチューバーとしても活躍中。

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  • 取材・文浜千鳥

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