驚愕写真…!東京選手村が「不気味な無人の街」になっていた
東京・晴海 迷走を続ける五輪の象徴 東京ドーム9個分の敷地に21棟、 1万8000人が泊まれるのにコロナ対策にはまったく活用されず
まるでSF映画のような光景である。
東京・晴海にある「東京オリンピック選手村」を空から見てみると、人の気配がまったくない「無人の街」だった――。
約44ヘクタール(東京ドーム約9個分)の都有地に21棟の宿泊棟が並んでいる。計3850部屋もあり、最大1万8000人が宿泊できる巨大施設だ。
建物はすでに昨年春にほぼ完成済み。しかし、〝空き家〟の状態が1年近くも続いている。これはあまりにもったいない。
新型コロナウイルスに感染した軽症患者の受け入れ施設にすべきだという声が医療関係者の間で上がっている。医療ガバナンス研究所理事長・上昌広氏が言う。
「私は賛成ですよ。理由はたくさんの部屋を同じエリアに確保できるということに尽きます。ホテルと同じように個室なのですから、受け入れ施設として使用できない医学的な理由はまったくありません」
実際、小池百合子都知事が昨年3月に出演したテレビ番組で、選手村をコロナ患者用の一時的な滞在施設として利用するプランを提案している。だが、その後、具体的な話は進まず、立ち消えとなった。
選手村は五輪終了後マンションに改修され、『晴海フラッグ』の名称で分譲される。これが、選手村が感染者用の施設として活用されない理由の一つだという。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が解説する。
「『晴海フラッグ』のデベロッパーが猛反発したのだと思います。感染者の滞在施設にすれば、死者が出る可能性があります。そうなると、『事故物件』扱いになります。引き渡し日程の決定後も購入者に対して無条件でキャンセルに応じなければなりませんし、売れ行きにも影響します」
もし五輪が再延期されるようなことになれば、選手村の空き家はさらに続くことになりそうだ。また中止となれば、『晴海フラッグ』の価値が揺らぐことになる。
「ここは最寄り駅から少なくとも徒歩16~17分。『五輪選手村』という要素がなければ、駅から遠い普通のマンションですから、価格は下がるでしょうね。『縁起の悪いマンション』としてキャンセルが続出するかもしれません。また、引き渡しは早くても’24年です。3年先ですから、そのときの不動産市況や金利が不透明。そもそもリスクのある物件なんですよ」(榊氏)
この地に活気が溢れる日は来るのか。
『FRIDAY』2021年2月26日号より
- 撮影:桐島 瞬