人気俳優・柄本佑が明かす「コロナ禍の苦悩とTikTokの日々」 | FRIDAYデジタル

人気俳優・柄本佑が明かす「コロナ禍の苦悩とTikTokの日々」

スペシャルインタビュー

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役者一家に生まれ育った〝カメレオン俳優〟の魅力

昨年放送されたドラマ『知らなくていいコト』では、主演の吉高由里子(32)と甘酸っぱい恋愛模様を好演。放送後は、彼が演じた“尾高さんロス”を引き起こした。怪優の柄本明を父に持つ個性派二世俳優と呼ばれることもあるが、癖のある役だけでなく、二枚目キャラとしても評価が高い。

その幅の広さと俳優としての熱量に、オファーが絶えない。

柄本佑 撮影:江森康之

“強行”より“自粛”に納得できたのは、家族という存在があったから

「仕事が再開してくると、忘れられる部分もあるんですが……、舞台が飛んだ当時はかなり無為に過ごしてましたね。皆が苦渋の選択を強いられた。強行上演するという選択肢もあったかもしれないけれど、家族がいたりするとやっぱり……。怖いな、というのも正直あったと思います。色んな感情が、渦巻きました」

柄本佑(たすく)(34)。出演作では必ず存在感を示し、制作サイドからの信頼も厚い、実力派俳優である。現在放送中で視聴率トップを驀進(ばくしん)する『天国と地獄〜サイコな2人〜』にも出演。綾瀬はるか(35)演じる望月彩子の、心の拠り所であり謎めいた同居人役として、彼らしさを発揮している。

話題作への出演が続く売れっ子の彼も、コロナ禍で壁に直面。昨年3月末、出演予定の舞台の作・演出を担当する宮藤官九郎(50)の感染が判明し、舞台が中止に。2週間の隔離生活を余儀なくされた。

「最初は、ずっと家にいられるんだし本や映画を観て勉強しようと思ったんですけど、お先真っ暗な中で、勉強ってできないもんだなって痛感しました。

3日か4日ぐらいずっとパジャマで、ご飯も雑に食って。夕方6時になったら晩酌していいというルールを決めたんですが、それまでの時間は、延々とTikTokを見るという生活。TikTok廃人ですよ。

気づくと5時間ぐらいTikTokの動画を見続けていて、『やべー! ダメだ、ダメだ』と反省して。反省しつつも、『皆編集とか工夫してて、すげーな』って感動したりもして。自分でも、TikTok用の動画をたくさん撮りましたね。NiziUもBTSも一応踊れます。どれもクオリティが低いんですけどね(笑)」

〝TikTok廃人〟状態から脱出するキッカケとなったのは、〝ちゃんと着替えること〟だったそう。

「朝起きたら、外出できなくても自分なりのおしゃれをする。そこに想像力を持っていったら、日常が少しマシになりました。ダラダラしたい日なら、『よし、今日は雑にいこう』と決める。そこに意味が付随してくると、一日ちゃんと過ごしたと錯覚できるんです。

そのうち、家にあった『沢村貞子の献立日記』を見つけて、『何か作ってみるか』と料理を始めたら、想像力がバンバン蘇(よみがえ)ってきた。思いがけない困難にぶつかって力が出ないときも、悔やんだり、だれるんじゃなくて、とりあえず何か一つ生きがいを決める。生きがいが一個あるだけで、人って生きられるんじゃねーかな。そのときふと、そんなことを思いましたね」

彼が在宅医を演じた主演映画『痛くない死に方』が、2月20日より公開される。同作では、義父の奥田瑛二(70)とも共演。奥田が、「主役、息子じゃねーかよ!」とコメントしたことでも話題を呼んだが、坂井真紀(50)、余貴美子(64)、大谷直子(70)、宇崎竜童(74)といった錚々(そうそう)たる演者が脇を固めていることでも注目を集めている。

「(大谷)直子さんは、母(故・角替(つのがえ)和枝)とすごく仲が良くて、ウチに遊びに来たりしてたんです。だから、現場で友達としゃべってるみたいに和んでました。奥田さんは奥田さんですし(笑)。よく知っている先輩方に囲まれて主演させていただけるという、とても幸福な現場でしたね」

同作は、尼崎市で在宅医として働く長尾和宏のベストセラー『痛くない死に方』、『痛い在宅医』をモチーフに、高橋伴明監督が脚本を書き、映画化したもの。「在宅医は、患者の病そのものの断面を見るのではなく、患者の人生に寄り添うもの」と気づく前後で、柄本が演じる主人公・河田仁の目は、別人のように変化する。

「これ、わずか10日で撮ってるんです。監督はゆったりした雰囲気で撮っているのに、ものすごく速い! 初日で17シーンを消化したんですが、朝から始めて15時には終わるという速さ。ピンク映画出身で鍛えられているからですかね。60分映画を3〜4日で撮るのが普通みたいなので。自分で言うのもなんですが、10日で撮ったとは思えない作品に仕上がっている。伴明さんの『火火(ひび)』(’05年)を観たときもそうでしたが、『あーよかった! 日本には、まだ高橋伴明がいた!』って、改めて思いましたね」

若いときから、両親に始まり、故・相米慎二監督など名監督やクリエイターに刺激を受けて育ってきた。彼の中には、常に、〝作り手〟としての目線や理想論が存在する。

「伴明さんが手がけた台本を読んだ瞬間、時間やお金をかければいい映画ができるというものではないことが、ビシビシと伝わってきたんです。そもそも、台本の段階でものすごく面白い。映画の起承転結の基本が詰まっている。

伴明さんの現場って、台本通りにセリフが言えたらOKなんです。ダメ出しをしない。つまり、表現は俳優が各々(おのおの)に考えなければならない。その余白を与えているわけです。おかげで、やり甲斐とか楽しさを感じられる。上に立つ人は皆やっているんでしょうけど、裁量に任せつつ、圧を与え、しかもスムーズにことが運ぶよう差配する才能があるってすごいなと。

そういえば撮影中、父から『ぼん(監督のニックネーム)、元気か?』って連絡が来たんです。父曰く、昔から伴明さんは、兄貴肌だったらしいです」

監督のことを延々語る。その楽しそうな表情が、印象的だった。

Emoto Tasuku 34歳
東京都出身。
’03年公開の『美しい夏キリシマ』で主演デビュー。
近年は『素敵なダイナマイトスキャンダル』『きみの鳥はうたえる』『火口のふたり』などの話題作に次々と出演。
『心の傷を癒いやすということ 劇場版』が現在公開中。
在宅医と患者とその家族の物語を描いた映画『痛くない死に方』は2月20日より公開

TikTok(@emoto33tasuku)に、『EXILE』SHOKICHIなどの楽曲で踊る動画をアップ。フォロワーは59.4K(2月16日現在)。妻の安藤サクラが投稿した2人のダンス動画も話題を集めている
柄本は奥田が主演した高橋伴明監督作『赤い玉、』(’15)にも出演している。「奥田さんをディスるプロデューサー役でした(笑)」 Ⓒ「痛くない死に方」製作委員会

『FRIDAY』2021年3月5日号より

  • 撮影江森康之インタビュー菊地陽子

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