『ナノヒメカメレオン』はなぜこんなに小さくて生きていけるのか
マダガスカル島に生息!1万種以上いる爬虫類の中で 最も小さい生物として世界中で大注目
小さな小さな発見が、世界中で大きな話題となっている。
アフリカ南東部のマダガスカル島で発見された『ナノヒメカメレオン』をご存じだろうか。オスの体長はわずか2㎝。成人男性の親指の爪ほどの大きさしかないが、これでも立派な成体だという。1月28日、ドイツの研究チームによって発表されたばかりの新種で、その大きさは1万種類以上いる爬虫類の中で最も小さい。
ところで、なぜこんなミニチュアサイズになってしまったのか。京都大学動物系統学研究室にて脊椎動物の研究を行う疋田努(ひきだつとむ)名誉教授はその理由を分析する。
「エサを求めて小さくなったと考えています。ナノヒメカメレオンの主食は土壌にいるダニやトビムシといった小さな生物です。しかし多くの動物は、栄養が足りないためこういった小さな生物をエサにできません。ナノヒメカメレオンは極小化して、小さな生物を食べて生きていけるように進化することで、競争を避けて生き抜いてきたのではないでしょうか。それが彼らの生存戦略だったのです。
一方で発見箇所が高地だったことから、寒さによって小さくなったという説も出ています。まだ正確な理由は特定されていませんが、研究が進み、進化の過程がわかってくるのが楽しみです」
今後は生物がどこまで小さくなれるのかという『ミニチュアライゼーション』などの分野で貢献が期待されるナノヒメカメレオン。その体は、大きな可能性を秘めている。
『FRIDAY』2021年3月5日号より
- 写真:AP Photo/Frank Glaw