コロナ禍で続々発生…!「悪徳マルチ商法」のヤバい新手口 | FRIDAYデジタル

コロナ禍で続々発生…!「悪徳マルチ商法」のヤバい新手口

マッチングアプリやオンラインセミナーで勧誘 『妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。』著者が警告

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「マルチ商法は人格まで変えてしまう」とズュータン氏は警告する。元妻はマルチ商法にハマってから、顔つきがきつくなったという

「ある日、しばらく連絡を取っていなかった友人から連絡が来る。実際に会ってみると、『簡単に儲(もう)かるいい話がある』と切り出された――。

世間が『マルチ商法』の勧誘に抱くイメージは、このようなものが一般的ではないでしょうか。しかし、コミュニケーションの形が変わる中で、マルチ商法の勧誘方法も多様化しています。街コンや相席居酒屋、朝活セミナーに加えて、近年はSNSがマルチの勧誘に使われるようになりました。

さらに最近、よく使われているのがマッチングアプリです。アプリで出会った女性に誘われ、悪質なマルチ商法に手を出してしまったというケースはよく聞きます」

『妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。』(ポプラ社)の著者、ズュータン氏はそう語る。ズュータン氏は妻がマルチ商法にハマって離婚。その後、自身の経験を踏まえて、7年間にわたりマルチ商法の被害者たちを取材してきた。コロナ禍の今、悪質なマルチ商法に勧誘される可能性が高まっていると警告する(以下、「 」内はズュータン氏の発言)。

「コロナ禍で健康面の不安が社会に広がっていることがその理由です。マルチ商法の商材はサプリメントや調理器具など、食と健康に関わるものが多く、家族の健康に敏感な主婦は勧誘のターゲットにされやすい。主婦に限らず、多くの人が健康に不安を抱える時代なので、被害が広がらないか心配しています。

また、経済の先行きが不透明になっていることも、被害の拡大に拍車をかけかねません。コロナ禍以前から働き方改革で副業が推奨されていますが、副業の一つとしてマルチ商法という『ビジネス』に勧誘するケースも増えているのです。

コロナで人と会う機会も減り、マルチ商法の勧誘もやりにくくなったのではないか、と思うかもしれません。しかし、他業界と同じくマルチ商法もオンライン化が進んでいて、マッチングアプリに加え、Zoomなどを利用したオンラインセミナーでの勧誘も増えてきました。たとえばヨガやピラティスのオンラインセミナーが実はマルチ商法の勧誘で、セミナー後に高額のアロマオイルを紹介する、という形で誘導するケースもあります」

そもそもマルチ商法は、違法なビジネスではない。法的に認められた「連鎖販売取引」という販売形態の通称で、一般的な商品流通とは異なり、購入者が新たな購入者を勧誘し、その相手に商品を販売することで手数料を得るビジネスのことだ。混同されがちだが、商品を介さないネズミ講(無限連鎖講)は違法で、マルチ商法はあくまでも合法である。

ただし、合法とはいえ問題が起こりやすい商法ではあるため、特定商取引法で厳しい規制を受けている。たとえば、勧誘する際は、事前に勧誘目的で会うことを相手に告げる必要がある。

「ところが実際はかなりグレーで、勧誘する人はもっと巧みに近づいてきます。最近よく聞くケースでは、『知り合ってから半年は勧誘しない』というもの。手当たり次第に勧誘するという従来のマルチ商法のイメージとは異なります。月日が経ち、普通の友達だと思っていた人から商品の購入を誘われる。すでにある程度の人間関係が構築されているから、無下(むげ)には断りにくいというわけです。

あなたの収入についても、さりげなく聞いてきます。相手をよく見て、いくらまでなら払えそうか、絶妙なさじ加減でやっていますよ。長く続けられそうな人なら、すごく優しく接して、あまり高くないおカネを何ヵ月も使わせる。しかし、このようなマルチ商法の実態はあまり知られていません。それはマルチ商法が閉じた世界で行われ、外からはなかなか見えない構造になっているからです」

きっかけは他愛のない一言

’19年には「悪質なマルチ」と批判されてきたジャパンライフへの家宅捜索が行われ、’20年9月に元会長らが逮捕された

ズュータン氏自身、おかしいと思ったときには妻はすでにマルチ商法にどっぷりとのめり込んでいたという。

「離婚した妻がマルチ商法と出会ったのは、本当にささいなことがきっかけでした。妻がちょっとした悩みを地域の民生委員を務める60代女性に相談に行ったのです。『子どもに何を食べさせているの?』という他愛もない会話をきっかけに、妻はその民生委員と健康の話で意気投合し、料理を教わりにお宅を訪ねるようになります。この民生委員がマルチ商法で有名なX社の会員だったのです。

ある日、妻は彼女のすすめでX社の空気清浄機を借りてきました。僕は反対したのですが、『タダだし、なんか違うと思ったら返せばいい』と言う妻に押し切られ、渋々家に置きました。結局、妻は約束の期間を過ぎても空気清浄機を返すことはなく、むしろ洗剤、調理器具、浄水器と、X社の製品が少しずつ増えていきました。気がつくと、家の中がX社だらけになっていたのです」

その後、ズュータン氏と妻はX社を巡って衝突することが多くなる。最後まで溝が埋まることはなく、妻はX社の仲間と暮らすため、娘を連れて家を出て行った。そんな自身の体験を無意識のうちにネット上に書き連ねていたものが著書の原型となる。もともと育児についてつぶやくために作ったツイッターのアカウント『ズュータン』は、幼い娘がたどたどしく発した言葉が由来だった。

「つぶやき続けていると、次第に僕と同じような境遇にいる人の声が集まり始めました。マルチ商法の被害者は年齢も性別もバラバラですが、皆、『まさか身近な人がハマるなんて思いもしなかった』と口を揃(そろ)えます。

しかし現状は『騙(だま)されるほうが悪い』といった自己責任論で片づけられ、その先の議論に至らない。マルチ商法に巻き込まれた人ってすごく孤独なんです。誰かに相談しても、理解はもちろん、ちゃんと話を聞いてもらえることさえも少ない。被害の実態を多くの人に知ってもらうことで、そんな状況が少しでも変わってくれたらと僕は思います」

’19年には「悪質なマルチ」と批判されてきたジャパンライフへの家宅捜索が行われ、’20年9月に元会長らが逮捕された

『FRIDAY』2021年3月5日号より

  • 撮影鬼怒川 毅写真共同通信社

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