期待のドラ1・佐藤輝明は「虎のレジェンド」になれるか

実戦でも絶好調、さてルーキーシーズンはどうなる?

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2月9日に行われた日本ハムとの練習試合で2ランホームランを放った佐藤輝明

昨年の阪神ドラフト1位、佐藤輝明の評判がいい。大学時代は屈指のスラッガーと言われたが、練習試合でも快打を連発している。

佐藤は甲子園球場がある兵庫県西宮市の生まれ、中学時代は軟式野球で、高校は地元の仁川学院高校に入学するが、夏の予選では1年生は2回戦、2年生は4回戦、3年生は1回戦で敗退。甲子園とは縁がなかったが、近畿大学に進学後、才能が開花した。

2020年秋には通算14本塁打を記録し、大学の先輩で元巨人、日本ハムの二岡智宏の持つ関西学生野球連盟の通算本塁打記録を抜いた。

関西学生野球連盟 通算本塁打5傑

14本 佐藤輝明 (近畿大学) 2017~20
13本 二岡智宏 (近畿大学) 1995~98
10本 沢田 誠 (京都大学)1984~87
10本 田口 壮 (関西学院大学)1988~91
10本 山田正治 (関西大学)1988~91
10本 片岡篤史 (同志社大学)1988~91
10本 渡辺峰雄 (近畿大学)1989~92
10本 葛城育郎 (立命館大学)1996~99
10本 広瀬栄作 (近畿大学)1998~01

佐藤の父は有名な柔道家だ。187㎝94㎏と父譲りの恵まれた体。大学では筋トレでパワーアップを図ったという。スイングは速く、飛距離の大きな当たりを打つ左打者で、肩も非常に強い5ツールプレイヤーだ。

阪神タイガースの本拠地、甲子園球場は左右中間が広いうえに、海に近くボールが湿りがちで打者には厳しい環境。一時期はその対策として「ラッキーゾーン」が設けられたが、1992年に撤去された。

以後、助っ人外国人が中軸を打つ時代が続き、「生え抜きのスラッガー」が待望されていた。昨年は26歳の大山悠輔が28本塁打85打点と気を吐いたが、佐藤の加入によって、生え抜きの「左右の中軸」が誕生する可能性が出てきた。

ドラフト施行以降の、阪神、大卒新人の1年目の本塁打記録10傑

22本 田淵幸一(法政大学)1968年ドラフト1位 新人王
18本 岡田彰布(早稲田大学)1979年ドラフト1位 新人王
8本 高山 俊(明治大学)2015年ドラフト1位 新人王
7本 大山悠輔(白鴎大学)2016年ドラフト1位
5本 江越大賀(駒沢大学)2014年ドラフト3位
3本 中村勝広(早稲田大学)1971年ドラフト2位
3本 鳥谷 敬(早稲田大学)2003年ドラフト自由獲得枠
2本 佐野仙好(中央大学)1973年ドラフト1位
2本 植松精一(法政大学)1977年ドラフト2位
2本 今岡 誠(東洋大学)1996年ドラフト1位

大卒選手は「即戦力」と思われがちだが、意外なことにドラフト施行後の阪神の大卒野手で1年目に本塁打を打った選手は13人しかいない。
5本以上はわずか5人。活躍している選手は案外少ないのだ。しかし上位3人、田淵、岡田、高山は新人王に輝いている。

田淵幸一は法政大学時代、長嶋茂雄が持っていた東京六大学通算本塁打記録「8」を大幅に破る22本塁打を打って鳴り物入りで入団。それにちなんで背番号も「22」になったが、1年目に同じ22本塁打を打って新人王を獲得しスターダムに躍り出た。

近畿大学は関西の強豪大学として、これまでにも多くの強打者を輩出してきた。

近畿大学出身選手の安打数10傑。※は現役。

有藤通世(ロッテ)
2063試7303打2057安348本1061点282盗 率.282
糸井嘉男(日ハム、オリックス、阪神)※
1588試5650打1696安165本725点299盗 率.300
藤原満(南海)
1354試4797打1334安65本413点195盗 率.278
二岡智宏(巨人、日ハム)
1457試4666打1314安173本622点48盗 率.282
大熊忠義(阪急)
1423試4124打1073安101本412点63盗 率.260
藤田一也(横浜、楽天)※
1407試3804打1019安24本322点37盗 率.268
藤井彰人(近鉄、楽天、阪神)
1073試2395打565安10本173点18盗 率.236
大西宏明(近鉄、オリックス、横浜、ソフトバンク)
554試1254打319安27本131点25盗 率.254
藤川俊介(阪神)※
849試1243打310安9本86点28盗 率.249
内匠政博(近鉄)
433試1022打259安10本70点49盗 率.253

近畿大学出身選手の安打数1位は2057安打の有藤通世。ミスターロッテとして18年間活躍。ロッテ(毎日、大毎、東京)選手としては榎本喜八の2276安打に次ぐ2057安打を記録した。248本塁打、1061打点はロッテ1位。

2位の糸井嘉男は現役、走攻守そろった5ツールプレイヤー。35歳の2016年には史上最高齢で盗塁王を獲得している。

3位の藤原満は有藤通世の同級生、南海では三塁手、渋い2番打者として活躍した。

4位の二岡智宏は巨人の名遊撃手として活躍。人気も高く、オールスター出場7回。

5位は大熊忠義。スピードスター福本豊の後の2番打者として職人肌の打撃を見せた。

さらに、現役でユーティリティとして活躍する藤田一也、リードの良い捕手として3球団で活躍した藤井彰人など個性的な選手を輩出。

昨年、惜しくも新人王を逃したが、1年目で規定打席に達し打率.288を記録した楽天の小深田大翔も近畿大学勢だ。

ちなみに投手としては101勝を挙げた山下律夫(大洋、クラウン、西武、南海)が最多勝だ。

和製大砲候補として売り出した佐藤輝明に対する各球団のマークは厳しくなるだろう。プレッシャーをはねのけて、佐藤は新人王を獲得し、近畿大学野球選手列伝に名前を連ねることができるだろうか?

  • 広尾 晃(ひろおこう)

    1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイーストプレス)、『球数制限 野球の未来が危ない!』(ビジネス社)など。Number Webでコラム「酒の肴に野球の記録」を執筆、東洋経済オンライン等で執筆活動を展開している。

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