ウミガメ約5000匹が気絶! アメリカ全土を襲う最強寒波の正体
マイナス18度まで気温が下がり、停電・断水が各地で発生
アオウミガメも真っ青な寒さだ。
2月中旬からアメリカ全土を大寒波が襲っている。とくに被害が深刻なのはメキシコとの国境に位置するテキサス州で、気温が過去30年間で最も低いマイナス18度まで低下。450万世帯が停電、1400万人以上が断水の被害に遭っている。
影響を受けたのは人間だけではない。ウミガメ保護団体『シータートル』事務局長のウェンディ・ナイト氏が語る。
「メキシコ湾で海水温が10度以下に急低下したことで、多くのウミガメが失神や体の麻痺により泳げなくなる『コールドスタン』という状態に陥っています。現在までに、絶滅が危惧されるアオウミガメを含め約5000匹を保護しました。大型のイベントセンターに運び込み、暖房器具を使った治療を行っています」
最強寒波はなぜ発生したのか。株式会社『ウェザーマップ』取締役会長で気象予報士の森田正光氏が解説する。
「北極圏で形成された寒気は、通常3~4波に分かれて南下してきます。そのうちの1波は今年1月に日本にも流れてきており、北陸自動車道が封鎖されるほどの大雪を降らせました。しかしアメリカを襲った寒気は分裂することなく一塊で南下してきた。原因と考えられるのは地球温暖化による偏西風の乱れです。蛇行した偏西風によりエアポケットになったアメリカ上空にすべての寒気が流れ込んだことで、殺人的な寒波となりました」
最強寒波の正体は、〝人災〟だったというわけか……。
『FRIDAY』2021年3月12日号より
- PHOTO:Sea Turtle, Inc.(ウミガメ)、アフロ(噴水)