昨年GⅠ制覇の調教師も…JRA給付金不正問題の「深い闇」

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昨年はコロナ禍で多くが無観客で行われたJRA中央競馬。だが、9年連続の増収増益を記録しており、金銭的なマイナスは発生していないはずだが…(写真・AFLO)

春のGⅠシリーズを目前に控え、競馬界に衝撃が走った。

「不正な受給だったかどうかは別にして、調教師のなかにも申請者がいる話は伝わって来ていたが、騎手の調査まで始まると知って驚きました」(競馬専門紙記者)

2月27日、日本中央競馬会(JRA)は所属する調教助手や厩務員が新型コロナウイルス対策の国の持続化給付金を不正に受給した疑いがある問題で、“高給取り”と言われる騎手や調教師にまで対象を広げ、受給の有無を確認するための実態調査を行うことが報じられた。

スポーツ紙ばかりか全国紙まで一斉に「調教助手ら給付金不正か」などと報じた2月17日、衆院予算委員会にはJRAの後藤正幸理事長の姿もあった。

「事の重大さが伝わってきましたね。野上浩太郎農相はJRAに対し、事実関係の把握と『厳正な対応を取るよう』指示したと答弁しました」(全国紙記者)

翌18日、日本調教師会は東西のすべての調教師に対し、雇用者の調教助手や厩務員の受給を調査するように要請した。

「その日には指南役とされた男性税理士が報道機関に文書を送り『弁護士を加えて行った再精査の結果、あらためて適正な手続きであった』『不正受給に関与したかのようなご指摘は遺憾』と反論。同時に、この税理士が『現役のGⅠ馬を所有する馬主』という報道も流れました」(スポーツ紙記者)

翌週23日になると、別の京都市の男性税理士の存在が明らかになり、25日にはスポーツニッポン新聞社の競馬担当記者が社内調査で《税理士に紹介してほしいと言われた。10人以上を紹介し》」と説明していることもわかり、競馬界の申請者の広がりが浮き彫りとなった。

「調教師会による東西のトレーニングセンターで働く約2500人の調査は24日に締め切られ、その結果、東が約20人、西が約110人の計130人以上の受給が確認された。同時に『うちのテキ(調教師)も申請していたから』という声も聞かれた。ここに来てやっとJRAが問題解決に本気で乗り出し、騎手や調教師も調査することになりましたが、遅すぎた感も否めないですね」(前出・スポーツ紙記者)

JRAは報道機関からの未調査だった理由を問われると、「調教助手らは調教師に雇われており、管理監督する立場にない」と回答。だが、昨年からトレセン内では調教師の申請が噂に上っていたそうで、

「調教師会会長の橋田満調教師が『昨年より、不適格な申請をしないよう通告して来た』とコメントしていたように、うちのテキ(調教師)からも夏ごろに指導がありました。顧問弁護士から『違法かどうかではなく、止めた方がいい』と。

4月下旬に申請が始まった頃は東西の移動が制限されるなどコロナの影響があったが、開催は継続して実施しおり、最小限にとどめられたていましたからね。それでも厩舎によっては申請していたし、昨年のGⅠトレーナーが申請していたという話も聞いた」(栗東トレセン関係者)

そもそも、持続化給付金は『(新型コロナの)感染症拡大により特に大きな影響を受けている事業者に対して支給される給付金』である。勝ち負けで収入が増減する調教師や騎手などが、前年より収入が減ったからと言って申請するのは主旨に反してないだろうか。しかも賞金が高額なGⅠレースを昨年制した調教師もいるというのだから、開いた口がふさがらない。

「すでに複数の調教師の名前が挙がってきています。昨年GⅠを制覇した調教師や、春のGⅠ戦線の有力馬を抱える調教師など複数いますよ。大阪の税理士の説明通り法律的には問題なかったとしても、道理的な問題は残るでしょう。

昨年は7カ月以上も無観客開催が続きましたが、電話・インターネット投票会員数が昨年同時期に比べて約50万人も増えて9年連続の増収となり、馬券の総売り上げは3兆円に迫るほどでした。日本の競馬はファンに支えられており、そのファンがどんな感想を持つか。たとえ『すでに返金した』と言われても、国民の納得が得られるか…。JRAの対応が見ものです」(前出・競馬専門紙記者)

ちなみに名前が挙がっている調教師たちの中には、‘20年収得賞金が10億円ほどに達している人も。調教師の取り分は規定により賞金の10%だから、賞金だけで約1億円も手にしている計算になる。それ以外に馬を管理する費用は馬主から預託金が別に入るのだから、国から給付金を受け取る必要があったのか、大いに疑問は残る。

1カ月後の3月28日にはGⅠ「高松宮記念」があり、春真っ盛りの「桜花賞」は、史上初の白毛の2歳女王「ソダシ」がターフを沸かす。それまでにJRAは白黒つけ、スッキリとして欲しいものだが――。

  • 写真伊藤 康夫/アフロ

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