元バドミントン潮田玲子「五輪への願いと絵本作家としての決意」
スペシャルインタビュー 今年2月に絵本作家としてのキャリアをスタート!
『オグシオ』で世界を魅了した美女オリンピアンは東京五輪をどう見ているのか
アスリートの目には、現状のゴタゴタはどう映っているのか。元バドミントン日本代表の潮田玲子(37)に聞いた。
「森さんの発言は本当に残念で、女性としてただ悲しかったです。でも森さんが東京五輪に力を注いでこられたことは事実で、その二つは切り離して考えないといけないと思っています。ボランティアや聖火リレーの辞退者が相次いでいるという報道を見ると、一つの失言だけを切り取って人間性を決めつけ、全部が悪い方向に引っ張られているように感じ、それが一番悲しいですね」
一方、女性が声をあげられる環境になりつつある現状については、自身の経験も踏まえながら肯定的にとらえている。
「現役時代に盗撮紛(まが)いの被害を何度も体験しました。ミニスカートで足を広げるフットワークがあるので、その時にやたらと狙われたり、インターバル中にすごい至近距離で写真を撮られたり。でも当時は誰にそれを訴えればいいのかわからず、我慢することしかできませんでした。現在は『アスリートの盗撮問題』について日本オリンピック委員会が対策を打ち出してくれるなど、女性の言葉を受け止めてくれる社会ができつつあると感じており、うれしく思います」
新会長に就任した橋本氏の印象についてはこう語る。
「オリンピアンである女性アスリートの就任はとても良いことだと思います。今は日本全体が五輪に対してネガティブな印象を持ってしまっているので、会長を引き受けるプレッシャーはすごいと思いますが、私も応援したいです」
『オグシオ』ペアとして北京五輪(’08年)では女子ダブルスベスト8。ロンドン五輪(’12年)では混合ダブルスで、2大会連続のオリンピック出場を果たした。その経験から、一連の会長辞任劇、そしてコロナ禍で危ぶまれている開催について、選手のモチベーションへの影響が気がかりだという。
「オリンピックは多くの選手にとって夢舞台。ただ、4年もの間、モチベーションを高く保ち続けるのは本当に難しいんです。新会長が決まらなかったこともそうですし、本当に開催されるのかどうか、不安な選手は多いと思います。経験ある新会長を迎えた利点を最大限に活(い)かして、選手が競技に集中できるように、迅速な意思決定をしてほしいと思います」
芽生えた新たな夢
一方で東京五輪へ期待も口にする。
「今、日本のバドミントン界はかつてないほどレベルが高く、全5種目でメダルが狙えます。個人的な注目選手は渡辺勇大・東野有紗の混合ダブルスペアです。とくに東野選手は女性ながらジャンプスマッシュを打つなど派手なスタイルで、見ていて楽しいと思います。バドミントンを観れば、メダル獲得の瞬間が見られるのは間違いありません!(笑)」
アスリート、そして国民に望まれる五輪になってほしい――。そう願う潮田は、元アスリート、スポーツキャスターといった肩書とは違う視点からも、メッセージを発信している。今年2月15日、物語を手掛けた初の絵本『いっぽいっぽの くつ』を出版したのだ。
「外出自粛で子供と関わる時間が増えた中で、ストレートに言ってもうまくいかないのに、絵本を通じて伝えると、すんなりわかってもらえることが多くて。もともと現役生活で得た経験を世の中に還元したいと考えていたので、絵本ならそれができるのではないかと思い、昨年から制作を始めました」
一番苦労したのは言葉の選び方だ。
「テーマは『努力の素晴らしさ』を伝えることですが、子供たちは『努力』という言葉がわからない。難しかったのは、子供が感覚としてわかる表現に伝えたいことを落とし込むところでした。苦労した分、息子と娘が『読んで!』とせがんできてくれた時はうれしかったです」
作中では、セール品として売られていた靴の〝ぼく〟が、買ってくれた女の子に望まれる一足になるため、一歩一歩努力する姿が描かれている。絵本のように、望まれる東京五輪になることを願う。
『FRIDAY』2021年3月12日号より
- 写真:産経ビジュアル(3枚目)