元詐欺メンバーが明かすぼったくり水回り修理の「卑劣すぎる手口」

トイレのトラブルで16万円! 焦る客に付け込み、簡単な修理で法外な料金を請求 新型コロナウイルスの感染拡大で悪質業者が急増して被害が続出中

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「通常、トイレの詰まり修理の価格相場は2万円ほど。でもウチのグループなら、『便器も取り替えたほうがいい』とか言って、30万円は吹っ掛けますね」

1ヵ月ほど前までぼったくり組織の幹部を務めていたM氏。自ら現場に出向き、トイレや風呂場などの修理を行うこともあったという

こう言い放つのは、約40人からなる詐欺グループの元幹部である、30代のM氏だ。M氏は1ヵ月ほど前まで作業員たちを率い、首都圏で水回り修理の悪質商法を行っていたという。

「客をダマすのが上手い作業員なら、一日に4軒回って100万円以上を売り上げることもあります。組織全体では、月に平均約2000万円の売り上げがありました。ホント、最高の商売でしたよ」

いま、日本全国で水回り修理の高額請求トラブルが増加している。国民生活センターによると、こうした水回り修理の請求についての相談件数は、’19年度には1717件だったが、’20年度には2576件(2月22日時点)と急増している。

都内在住の主婦Aさん(43)も、被害者の一人だ。昨年12月、Aさんはトイレの詰まりの修理費用として、業者に対して当初の見積もり価格の約8倍である15万9500円を支払った。

「ある日の夕方、急にトイレの水が詰まって流れなくなったんです。慌ててネットで検索して見つけた修理業者に連絡すると、当日すぐに来てくれることになりました。電話では『2万円程度』という話だったのに、まんまと騙されてしまい、怒りで震えています」(Aさん)

Aさんが修理業者と交わした契約書によると、請求額の内訳は以下の通りだ。

〇基本作業料:2万円

〇溶解剤:1万1000円

〇劇物取り扱い手数料:2万円

〇便器取り外し工賃:2万4000円

〇汚水処理費用:4万5000円

〇高圧機械使用料:2万5000円

Aさんが見積もり価格の8倍もの金額を支払ってしまったのはなぜなのか。

「価格相場を知らず、こんなものかと思ってしまったんです。別の業者の見積もりも取りたかったのですが、日も暮れかかっていたので、当日中に来てくれる業者を見つけることを優先してしまいました。うちには高齢の母もいて夜にトイレが使えないのは困るので……」(Aさん)

数時間後、帰宅した夫に「ぼったくりでは」と指摘されたAさんは、業者に連絡し返金を要求。しかし、「料金を確認してから工事したはず」と一蹴されてしまう。翌日、消費生活センターに相談したが、「自分から出張修理を依頼し、契約書も交わされているのなら、カネを取り返すことは困難」との返答だったという。

こうした被害が増加している背景について、前出のM氏はこう語る。

「コロナで在宅時間が増え、水回りの不具合が起こりやすくなっているのが一つの理由。ウチへの問い合わせ数も、昨年の緊急事態宣言発令頃から例年の2割ほど増加しました。インチキ業者自体も増えています。コロナで職を失った人や、バイトをクビになった学生が現場作業員として求人サイトに応募してくるんです。トイレの詰まりや水漏れは、2時間ほど講習を受ければ誰でも直せるようになります。使用する工具や薬剤も、1000円前後で買えるものばかりですよ」

M氏によると、悪質業者の間でも、請求金額には大きな開きがあるという。

「トイレの詰まり修理でも、稼げる額には作業員によって2万~100万円の幅があります。口が上手いほうが有利ですね。たとえば、すぐに直せる詰まりでも、『便器を外さないと状況がわからない』などと言い、外した後は『便器が老朽化しているので取り替えないといけない』『元に戻すのにも原状回復工賃がかかる』と畳みかけるんです。ただ、詐欺や脅迫にならないよう、相手の同意を得ながら作業を行うことが前提。ほかの業者を呼べない遅い時間に出張するのも定石です」

多くの場合、水回りのトラブルに見舞われた人々がまず初めにすることは、ネットで「水漏れ」「詰まり」などと検索することだろう。M氏によると、そこに落とし穴が存在するという。

「こうしたワードで検索した際に自分たちの組織のサイトが上位に来るよう、かなりカネをかけていました。専門業者に頼んで調整してもらったり、広告宣伝費を支払ったり……月に500万~600万円は使っていましたね。別の業者を装って複数のサイトを作ったりもしています。ネットで上位に表示される複数の業者の登記を調べてみたら、全部同じ住所だった、ということもよくある。都内には10社以上のぼったくり業者が存在します。私が言うことではないですが、ネットで検索するより、水道局に問い合わせて業者を紹介してもらうのが一番です(笑)」

悪質業者を呼んでしまったが最後、彼らは巧みな話術で客の了解を得、契約書にサインをさせる。違法行為ではないため、詐欺などの罪に問うことができず、泣き寝入りする被害者がほとんどだ。

しかし、支払ってしまったカネを取り返す方法も存在する。悪質商法に詳しい加藤・浅川法律事務所の加藤博太郎弁護士はこう解説する。

「自ら業者に修理を依頼した場合でも、その後、勧められて付加したサービスはクーリング・オフの対象となることがあります。業者には、契約時に書面を発行し、クーリング・オフが可能である旨を示す義務があります。この書面が発行されていなければ特定商取引法違反に問える可能性もあるので、まずは警察に相談してください。同時に、民事訴訟でクーリング・オフを求めることも可能です」

水回りのトラブルで焦る客の心に付け込む卑劣な業者を、のさばらせるわけにはいかない。

『FRIDAY』2021年3月12日号より  

M氏が稼いだ一軒あたりの最高額は85万円。巧みな話術で契約書にサインをさせては、不必要なサービスを追加していったという

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