ノーベル賞受賞の本庶佑 オプシーボで「得たカネ」「失ったカネ」

損失はすでに1兆円超! 日本人の発明なのに売り上げはアメリカ企業へ

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着物好きとしても知られる本庶氏。東洋のノーベル賞といわれ、台湾で創設された「唐奨」の第1回受賞者でもある。その授賞式で、今回ノーベル賞も共同受賞したジェームズ・アリソン氏(右)と

画期的ながん治療薬「オプジーボ」の生みの親、本庶佑(ほんじょたすく)・京都大学特別教授(76)。ノーベル賞受賞という快挙もさることながら、オプジーボはがんの特効薬として、巨万の富をもたらすことになる。

「本庶先生は米国での研究生活の後、東大助手、そして37歳の若さで阪大教授になり、その後京大に移っています。東大、阪大、京大の旧帝大3つから給料を貰っているのは珍しい存在だと自分でも話していましたが、まさに日本医学界のスター街道を歩いてきた人です」(科学ジャーナリスト・緑慎也氏)

本庶氏が手がけた抗体遺伝子や免疫研究は、最新医学の分野。なかでも本庶氏は「お前ならいつかカネをとってくるだろう」と阪大が研究室の立ち上げ資金を出したという特別扱いだった。研究室OBによれば「他と比べて本庶研究室の研究費は常に潤沢だった」という。ところが――。

「オプジーボがあまりに革新的な治療薬だったため、本庶先生が治験のための共同研究を日本の製薬会社に持ちかけたのにもかかわらず、各社とも開発に尻込みしてしまった。創薬の成功率は3万分の1、ひとつの薬ができるまでには2000億円かかるとも言われます。結局、オプジーボは米ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)と小野薬品工業の共同開発品になったのです」(医療ジャーナリスト・塚崎朝子氏)

’14年に発売されたオプジーボが、現在までにBMSにもたらした金額は、96億7000万ドル。なんと1兆1007億円あまりに上る。もし、日本の製薬会社が単独で創薬も担当していたら、この売り上げがすべて国内企業のものになる可能性があった。共同開発に名を連ねた小野薬品工業の取り分は、日韓台での販売のみだが、それでさえ売上高は2177億円に達している。

現在、医薬品の特許使用料は売上高の6%が平均だ。両社の売上合計1兆3184億円から単純計算すれば、今まで約791億円のライセンス料が発生したことになる。巨額のライセンス料を本庶氏はどう扱うのか。前出・緑氏が言う。

「本庶先生は、自分の研究というより、後進のための日本の研究体制づくりなど広い視野で物事を考えている。ノーベル賞の賞金5750万円を母校の京大に寄付すると話したように、もう自分自身のカネ儲けには興味がないのでしょうね」

がんに勝利するという偉業の前では、カネのことは小さい問題なのだろう。

本庶氏による、自己免疫細胞のブレーキを外す仕組みを説明するノーベル委員会。これがオプジーボとして結実した
  • PHOTOAFLO、時事通信

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