逃亡を手伝った親子が逮捕されてもカルロス・ゴーンの知らん顔
前代未聞の逃亡劇の全貌は、はたして明らかになるのか―。
3月2日、日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(66)の国外逃亡を手引きしたマイケル・テイラー容疑者(60)と息子のピーター容疑者(28)の身柄がようやく日本へと引き渡された。東京地検特捜部は二人を『犯人隠避』と『出入国管理法違反ほう助』の疑いで逮捕。逃亡劇の実態解明に乗り出している。
二人の逮捕によってゴーン被告が再び身柄拘束される日は近づくのか。国際ジャーナリストの山田敏弘氏が解説する。
「アメリカが協力しているという事実を世界に示せたことは大きいです。中東には親米国が多く、ゴーン氏は今後、行動をかなり制約されると思います」
ただし、ゴーン被告の再逮捕への道はまだまだ遠いと山田氏は語る。
「日本とレバノンの間に『犯罪人引き渡し条約』が存在しない、という問題が立ちはだかっています。レバノン政府にとってゴーン氏は世界的な成功を収めた英雄。日本に引き渡すワケがありません。
それどころか、ゴーン氏は今回の逮捕をチャンスと考えている可能性さえあります。彼はことあるごとに『日本の司法制度は不正義だ』と批判を繰り返し、自分を被害者だと主張してきました。逮捕されたテイラー親子にも弁護士などを通じて『拘置所で酷ひどい扱いを受けている』と発信させ、それを世界に広めることで、日本の司法制度が非人道的であると印象づけようとするでしょう。
捜査当局はゴーン氏に付け入る隙を与えないように注意しなくてはいけません」
二人を犠牲にして、まんまと逃げおおせたゴーン被告の高笑いが聞こえてくるようだ。
『FRIDAY』2021年3月19日号より
写真:時事通信(マイケル容疑者、ゴーン被告)