NHK大河「飛躍の俳優、失速の俳優」その差はどこにあるか | FRIDAYデジタル

NHK大河「飛躍の俳優、失速の俳優」その差はどこにあるか

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『晴天を衝け』の主役に抜擢された吉沢。視聴率の動向が気になる。19年4月撮影(画像:つのだよしお/アフロ)
『晴天を衝け』の主役に抜擢された吉沢。視聴率の動向が気になる。19年4月撮影(画像:つのだよしお/アフロ)

コロナ禍での遅れを経て、先月ようやくスタートした2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』。視聴率は初回こそ20.0%と、久々に20%超えを果たし盛り上がりを見せたが、翌週は16.9%と大幅ダウン。第三回も0.2%の微減と、まだまだ予断を許さない状況だ。

録画や見逃し配信での視聴が当たり前の昨今、視聴率に一喜一憂するのは意味がないとも言われる。が、大河は民放ドラマとは違い、圧倒的に視聴者層の幅が広い。そのため大河で主演を務めると知名度の高まり方が半端なく、美味しいCMの仕事も激増すると言われる。とくに今作の主演である吉沢亮はまだ27歳と若く、これまで目立った実績もないだけに、この大河の成否が今後の俳優人生に大きく影響してくる。それだけにやはり視聴率は無視できないところだろう。

それくらい、NHK大河ドラマというのは特別な存在だ。そこでここ10年程の、大河の主演を機に大きく飛躍した俳優、反対に失速してしまった俳優を振り返ってみたい。

実は最近の大河主演俳優のその後となると、ほとんどは失速か良くて現状維持、というのが実情だ。その中でもとくにダメージが大きかったと言われるのが、2012年に『平清盛』で主演を務めた松山ケンイチ(36)と、2015年に『花燃ゆ』で主演を務めた井上真央(34)だ。

松山ケンイチは、大河以前は誰もが認める若手実力派俳優だった。とくに2006年に演じた映画『デスノート』のL役はあまりに好評で、その後、松山のLを主演とした続編『L change the World』(2008年)が製作されたほどだ。しかし『平清盛』は「映像が汚い」「ストーリーが暗い」などと不評を買い、当時の歴代最低平均視聴率となる12.0%を記録。そのイメージがついてしまったせいか、大河後の松山は主演作が激減。これといったヒットも出せず、完全に大河主演が裏目に出た結果となってしまった。

視聴率ワーストで吹っ飛んだ功績

一方の井上真央も、『平清盛』とワーストタイとなる平均視聴率12.0%を記録してしまう。これにより、社会現象になったほどの大ヒットシリーズ『花より男子』(2005,2007年/TBS系、2008年に映画も公開)の功績が一気に吹っ飛んでしまった形だ。井上に至ってはそのショックがあまりに大きかったのか、大河後は2年近くテレビや映画から姿を消したほど。現在も数えるほどしか作品に出演しておらず、完全に立ち直れていない印象だ。

様々な要因により、地上波ドラマでの高視聴率獲得が難しくなった昨今は、大河ドラマの主演も危険な賭けとなりつつある。そのためオファーがあっても二の足を踏む俳優が多いと言われる。そんな時代の変化の中で、大河主演を機に飛躍した俳優はいるのだろうか? その稀有な存在が、2014年に『軍師 官兵衛』で主演を務めた岡田准一(40)だ。

主演が決まった当時の岡田は、『木更津キャッツアイ』(2002年/TBS系、2003年と2006年に映画も公開)や『タイガー&ドラゴン』(2005年/TBS系)、『SP―警視庁警備部介警護課第四係』(2007年/テレビ朝日系、2010,11年に映画が公開)などヒット作は多数あったものの、まだまだ「ジャニーズアイドルだからヒットしている」という評価で、その実力には懐疑的な見方があった。

ところが大河主演の直前に公開された主演映画『永遠の0』(2013年12月公開)が、岡田の好演により異例のロングヒットを記録する。これが彼の演技力の確かさを世に知らしめ、後押しとなったのか、終わってみれば『軍師 官兵衛』は15.8%と高い平均視聴率を記録。

過去2年不調が続いていた大河をV字回復させたことで、完全に国民的俳優として認められることとなった。その後の岡田の活躍は言うまでもない。映画『海賊と呼ばれた男』(2016年)、『関ヶ原』(2017年)など多数の代表作を輩出し、日本アカデミー賞の常連となっている。日本を代表する俳優にまで上り詰めた、と言っても過言ではないだろう。

もちろんこれは岡田の実力によるものだが、大河への主演がなければここまでの評価とステータスは得られなかったかもしれない。

まさにハイリスク・ハイリターンと言える大河ドラマの主演。果たして一年後の吉沢亮は笑っているのか、泣いているのか。長い目で注目していきたい。

  • 取材・文奈々子

    愛媛県出身。会社勤務を経てフリーライターに。女性誌や週刊誌でタレントのインタビュー、流行事象の分析記事を扱う他、連ドラ、話題の邦画のチェックは欠かさない。雑誌業界では有名な美人ライターだ

  • 写真つのだよしお/アフロ

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