関東のお笑いは埼玉から!?いま、「大宮セブン」が注目されるワケ | FRIDAYデジタル

関東のお笑いは埼玉から!?いま、「大宮セブン」が注目されるワケ

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マヂカルラブリーのM-1優勝で脚光を浴びる「大宮ラクーンよしもと劇場」。その魅力をGAGの3人に聞く

ついに大宮セブンが『アメトーーク!』(テレビ朝日系)に取り上げられた。2月18日の放送回では、マヂカルラブリーのM-1優勝を記念した回に大宮セブンの6組が登場し、Twitterではトレンド入りを連発。大きな爪痕を残した。 

「大宮セブン」とは、大宮ラクーンよしもと劇場に所属するマヂカルラブリー、すゑひろがりず、GAG、タモンズ、囲碁将棋、ジェラードン、(大宮セブンジュニアとしてボーイフレンドが控える)のこと。 

この大宮セブン、最近めざましい活躍ぶりを発揮しており、大きな賞レースでファイナリストに名を連ねるのはもちろん、マヂカルラブリーの『M-1グランプリ』『R-1ぐらんぷり』での優勝、GAGやすゑひろがりずらのネタ番組における活躍など、目を見張るものがある。 

長く不遇な時期を過ごしてきた大宮セブンに光が差しはじめたいま、よしもとの劇場を見てまわったライターだからこそわかる大宮ラクーンよしもと劇場の魅力をお伝えするとともに、GAGの3名に今までの経緯をお聞きした。 

「M-1グランプリ2020」で優勝したマヂカルラブリー
「M-1グランプリ2020」で優勝したマヂカルラブリー

大宮ラクーンよしもと劇場がオススメな3つの理由 

まずは、大宮ラクーンよしもと劇場をオススメするひとつめの理由から説明したい。都内の劇場よりも秀でている部分として真っ先に挙げたいのが、「ライブの見やすさ」だ。 

この劇場の客席数は141と少なめ。渋谷のヨシモト∞ホールが約200、新宿のルミネtheよしもとが約450という数字からも、大宮ラクーンよしもと劇場がいかにコンパクトなのかが想像できるだろう。

この規模感のため、舞台と客席との距離は近く、最前列だと本当に目の前。最後列だったとしても、舞台上の芸人が人差し指ほどの大きさになることはない。いい意味でコンパクトでアットホームなのだ(ちなみに、“いい意味でコンパクトでアットホーム”というのは、神保町よしもと漫才劇場にも言える。こちらの席数は120弱で、小さな映画館という感じ)。

また、劇場の構造的に、舞台の高さが低くなっているのも特徴。舞台が腰よりも高い場合、前方の席だと舞台を見上げる形になり、首や肩が疲れてしまうことがある。しかし、大宮ラクーンよしもと劇場の場合は前方の席でも目線をあまり高くする必要がないため、途中で疲れることがほとんどない(ちなみに、ヨシモト∞ホールはすり鉢状になっており、舞台を見下ろす形になるため、こちらも見やすい)。

大宮ラクーンよしもと劇場館内
大宮ラクーンよしもと劇場館内

実力派コンビが多い+ライブの内容が個性的! 

大宮ラクーンよしもと劇場を推す2つめの理由は、所属している大宮セブンの存在だ。『アメトーーク』でも言われていたように、大宮セブンは若手が所属するヨシモト∞ホールを卒業した中堅芸人たち。さらに、メディアへの露出は少ないが、しっかりとした実力を持っているコンビばかりがそろっている。

  • ・GAG:ABCお笑いグランプリ優勝、キングオブコント4年連続ファイナリスト
  • ・マヂカルラブリー:M-1グランプリ優勝、R-1ぐらんぷり優勝(クリスタル野田)、キングオブコントファイナリスト
  • ・タモンズ・囲碁将棋:THE MANZAI認定漫才師
  • ・すゑひろがりず:M-1ファイナリスト、R-1ぐらんぷり 第3位(南條)

さらに、ここ数年はコマンダンテやアイロンヘッドといった大阪から移籍してきた人気コンビや、東京で着実に力をつけてきたダイタクらも加わり、層が厚くなった印象がある。

3つめの魅力は、ちょっと変わった企画ライブや芸人の特技や個性を生かした企画ライブが豊富な点。過去にはワンコインでサクッと30分間のトークライブが楽しめる、その名も「ワンコイントークライブ」を開催したり、1組のコンビがテーマの異なるライブを1日ぶっ通しで5公演行ったりすることもあった。

ほかにも、戦国時代本「超現代語訳戦国時代」などを著書に持つ、ブロードキャスト!!の房野が先生となって戦国時代の歴史を教える歴史ライブや、昨年度の『M-1』で準優勝した、おいでやすこが結成のきっかけとなった企画ライブも行われている。

大宮セブンのGAGが語る大宮ラクーンよしもと劇場の今昔

大宮セブン結成時から所属するGAGの3名に、誕生から現在までの経緯を聞いてみた。

大宮ラクーンよしもと劇場・大宮セブンを見続けているGAGの3人
大宮ラクーンよしもと劇場・大宮セブンを見続けているGAGの3人

大宮セブン結成には、初代の劇場支配人だったプロデューサーX氏の存在が大きかったという。

福井俊太郎(以下 福井)「大宮ラクーンよしもと劇場は2014年に誕生して、同時期に大宮セブンも結成されました。当時のメンバーは、犬の心、えんにち、サカイスト、GAG、タモンズ、ブロードキャスト!!、マヂカルラブリーの7組です。選ばれた理由は、当時の劇場支配人だったプロデューサーX氏が、一緒に仕事をしたいかどうかでした」 

宮戸洋行(以下 宮戸)「その後、えんにちの解散、サカイストの福岡移籍、プロデューサーX氏の異動などの理由で、大宮セブンを解体するという話になりましたが、途中で話が変わって、犬の心、ブロードキャスト!!が抜けて、新たに囲碁将棋、すゑひろがりずが加わり、大宮セブンVとなりました」 

坂本純一(以下 坂本)「個人的には、この頃から大宮セブンとしての結束感が生まれた気がします。正直なところ、初代は『大宮セブン=えんにちの望月』という感じだったんで。望月さんの心が大宮セブンVに移った感じですね」 

大宮セブンの人気は一気に爆発したのではなく、各コンビが積み重ねてきた努力の上に成り立っているのだ。

宮戸「マヂカルラブリーのM-1決勝、僕らのキングオブコント決勝が同時期くらいで、そこから大宮セブン全体に『賞レースをがんばろう!』という流れが自然とできたんだと思います。その後に、すゑひろがりずがM-1の決勝に行ってブレイクしたおかげで、劇場に足を運ぶお客さんが増えました。 

テレビのネタ番組に出演する機会も出てきて、そこで『大宮セブン』という言葉が放送されて、Twitterでトレンド入りして、少しずつ世間に広まったという印象ですね」

坂本「今、注目していただけているのは、各コンビが大宮セブンとしてのチーム感を持ちながらも自分たちの活動を頑張ってきた結果だと思います。なので、みんなでパスをつなげて、少しずつ積み上げてきた感じですね」 

福井「最近、テレビ収録でスタッフの方に、『この頃、大宮セブンのことをよく聞きます』と言われたときに、広まってきているんだと実感しましたね。 

あと、大宮の劇場によく出ている芸人たちが、『俺たちは裏大宮セブンだ!』と言ってくれたり、『沼津セブン海賊団』や『森ノ宮シックス』なんかが出てきたのを見て、ちょっと驚きながらも、ほかの芸人たちに意識されるくらいにまでなったんだなと思いました」

気になる現在の大宮ラクーンよしもと劇場でのライブについて聞いてみると、大宮セブン結成時とは事情が大きく異なることがわかった。

福井「プロデューサーX氏が大宮を離れたことで、大きく様変わりしました。 

昔、1組が1日ぶっ通しで公演するようなストリートファイター的なライブをやっていたのは、この方の指示だったんです。当時は、プロデューサーX氏が思いついた企画をライブにしていて、中には『1円ライブ』とかもありました。 

ライブで利益を得ようとかではなく、お客さんを笑わせられればいい、支配人のやりたいことができればいいという感じでしたね(笑)。僕たちもそれに乗っかってライブに出ていました。どんなライブをするのかといった事前の相談はなかったですね。完全にノリです(笑)」 

宮戸「当時は、スケジュールを見て初めて自分の出番を知るという感じでした。毎日、ドッキリにあっているみたいでしたね。

今は、大宮セブンの各コンビが持ちまわりでやっている『大宮セブンライブ』が目玉です。 

もうひとつ『おおみや差しライブ』というのがあって、2組でネタやトークなどをするんですが、これがめちゃくちゃ面白い! 今は大宮ラクーンよしもと劇場を『差しの劇場』と言ってもいいくらいで、芸人間でも『差した』『差された』とよく言っています。 

この『差しライブ』は演者が少なく、劇場の大きさ的にもカメラで寄りで撮れるので、オンラインに向いているんです。ぜひ見ていただきたいですね」

坂本「このほかには、タモンズの逆襲が注目ポイントです!  

実は、大宮セブンの中で、タモンズだけは群を抜いて知名度が低くて……。あまりに売れないんで、一度、『タモンズ』から『つき』に改名して、もう一度『タモンズに』改名し直しているんです。『つき』の時期の2人は腐りきってて、解散の危機もあったんですが、再び『タモンズ』に改名してからは、すごい勢いで巻き返しにきてるんです!」

福井「劇場の地下2階にスタッフ専用の控室があるんですが、いつ行ってもタモンズがネタ合わせしています。“覚醒前”のネタ合わせですね。大体のコンビは10年超える前に経験するんですが、タモンズは15年以上経った今、それをしています(笑)」 

坂本「この前の単独のチケットも即完してましたし、本当にすごい勢いに乗ってますね。ほかの大宮セブンのコンビが頑張って賞レースのファイナリストに残るようになって、大宮セブン全体が注目されるようになり、自分たちも結果を出さなきゃって感じで奮い立ったんだと思います。 

実際に、タモンズの阿部さんは無双状態で、劇場で何をやってもウケるんです。なので、今の大宮セブンの中ではタモンズに要注目です」

メンバー交代なども経て、5年の間に大きく変わった大宮ラクーンよしもと劇場と大宮セブン。マヂカルラブリーやGAGなど、テレビに出ているコンビの後ろには、まだ日の目を見ていない隠し玉があるそうだ。

劇場でのライブがオンライン配信されるようになったいまは、交通費も時間もかけずに、自宅にいながらお笑いライブが楽しめる。

さらに、オンラインチケットは「Go To イベントキャンペーン」対象になっているため、大宮ラクーンよしもと劇場で行われているライブを見るなら、まさに今のタイミングだろう。

もうひとつ伝えたいのは、この劇場の他にも、オンライン配信している面白いライブはたくさんあるということ。

自らアンテナを張って、気になるライブを見つけて自宅で楽しむ。この流れがスタンダードになれば、劇場の所在地や大きさに関係なく、純粋に面白いライブ・上質なライブも増えていくのではないだろうか。

そして、それはコロナ禍で会場の営業時間や収容人数に制限がかかり、苦しんでいるライブシーンにとっての明るい光になるのかもしれない。

■大宮ラクーンよしもと劇場のライブ配信の情報はコチラ

  • 取材・文安倍川モチ子

    5年ほど前に、某お笑いサイト(すでに閉鎖)で、よしもとの劇場を中心にライブレポートを週に2本のペースで執筆。その中で、大宮ラクーンよしもと劇場をはじめとする劇場やライブハウスでの興行に興味を持ちはじめる。また、専門分野は持たずに、歴史・お笑い・健康・美容・旅行・グルメ・介護など、興味のそそられるものを幅広く手掛ける。現在はwebを中心にフリーライターとして活動。現在は、「withnews(ウィズニュース)」「Business Jounal(ビジネスジャーナル)」などで執筆中。

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