高額接待だけじゃない総務省とNTTグループ「天下り癒着」の実態

幹部OBが関連会社にぞろぞろ再就職――通信会社の既得権益を守ってきた見返りか?

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NTTグループ首脳による総務省幹部への超高額接待が連日メディアを賑(にぎ)わせている。だが、両者の「爛(ただ)れた関係」は昨日今日に始まったものではない。総務省とNTTの癒着は20年にわたる「天下り」を通じて築かれ、その結果、国民の利益が著しく損なわれているのだとしたら――。

菅総理の長男が勤める東北新社だけでなく、NTTからも違法接待を受けていた谷脇氏。大臣官房付に更迭され、3月末には定年退職を迎える

NTTの前身である日本電信電話公社に’74年に入社し、グループ企業や総務省の研究所の役員を歴任した経営評論家の山田明氏がこう指摘する。

「NTTは民間企業ですが、政府が3分の1以上の株式保有を義務づけられた特殊法人でもあります。役員の選任や事業計画の作成などで、総務省の認可を得る必要がある。さらにNTTの完全子会社になった携帯事業会社・NTTドコモが使用する電波は総務省が管理しています。当然、通信会社としては使いやすい電波を割り振ってもらいたいでしょう。

こういった関係から、NTTと総務省は手を握るのです。規制されるNTTグループと規制する総務省の境目で、『週刊文春』で報じられた高額接待も行われるし、総務省の幹部がグループ企業に再就職する『天下り』も起こります」

山田氏は著書『スマホ料金はなぜ高いのか』で、携帯電話料金が高止まりする理由の一つに総務省による通信行政の不透明さを挙げた。山田氏が続ける。

「総務省は電波を民間事業者に割り当てる際、すべてのOECD加盟国が採用している『オークション方式』ではなく、『比較審査方式』を採用してきました。比較審査方式では、民間事業者に設備建設計画書などを提出させ、最終的には総務官僚の判断で決まります。

一方、オークション方式では、入札価格が最も高い企業へ電波が割り振られます。海外の事例では、オークション方式の導入で数千億円から数兆円の収入が国庫にもたらされるケースもあります。しかし、電波の割り当てプロセスが透明なオークション方式を採用すると、総務省は権限を行使できないし、天下り先も確保できなくなる。総務官僚が自らの利権を最大化させ、それを維持するために、日本でだけ比較審査方式がまかり通ってきたのです。これは総務省が携帯会社に補助金をばらまいてきたのと同じです」

NTTグループにとって、格安で電波を使わせてくれる総務省はありがたい存在だ。その見返りとして総務官僚の再就職の世話をしてきたのではないか。

本誌が独自に作成した「天下り実名一覧」を見れば、癒着の実態がひと目でわかる。NTT副社長に天下りした元事務次官をはじめ、今もグループ会社の役員に複数の元幹部が名を連ねている。

そんな両者の蜜月関係にちょっとした異変が生じたのは、菅義偉総理の「発言」がきっかけだった。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が振り返る。

「当時の取材メモによれば、菅氏は官房長官だった4年前から『高止まりした携帯電話料金を何とかしたい』と私に話していました。’18年8月には『4割程度下げる余地がある』と公の場で発言。NTTによる谷脇康彦前総務審議官の接待は、その年の9月から始まっています。長く通信行政を担当し、菅総理の最側近とされる谷脇氏を接待することで、携帯事業に対する政府のやり口について情報収集しようとしたのでしょう」

近年の携帯電話業界を賑わしたトピックと言えば、通信料金の値下げとNTTによるドコモの完全子会社化だ。そのいずれについても、NTT側は総務省の意向を事前に探る必要があった。そのために接待が行われたのではないか。

「谷脇氏への接待などで、NTT側は携帯電話料金の4割値下げについて菅氏が本気だとの手ごたえを得たのではないでしょうか。ただ、値下げをするとNTTドコモ単体では立ち行かなくなる可能性がある。そこで、値下げをバックアップするために、NTTがドコモを完全子会社化する計画を考えついたとしても不思議ではありません。それには、総務省の認可が必要なので、これについても事前に感触を探ろうとしたのではないか。

実際、NTTは当時、総務審議官だった山田真貴子前内閣広報官と巻口英司国際戦略局長を’20年6月に、NTTデータは谷脇氏を同年7月に接待。その後、9月にNTTはドコモの子会社化を発表しています」(全国紙総務省担当記者)

こうした超高額接待や天下り受け入れにかかったコストが私たちの支払う電話代に上乗せされている。だから日本のスマホ料金はこんなにも高いのである。

菅総理のお気に入りだった山田前内閣広報官は接待報道で辞職。夫の吉田博史氏も総務官僚で、一連の処分による玉突き人事で、局長に昇格

『FRIDAY』2021年3月26日・4月2日号より

  • 写真共同

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