演技も高評価!バンドマンたちが続々と役者として活躍する背景 | FRIDAYデジタル

演技も高評価!バンドマンたちが続々と役者として活躍する背景

『ウチカレ』の川上洋平が好評。他にもミュージシャン俳優が続々!

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ドラマ『うちの娘は、彼氏が出来ない!!』で編集者役を好演している川上洋平[Alexandros]
ドラマ『うちの娘は、彼氏が出来ない!!』で編集者役を好演している川上洋平[Alexandros]
『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!(以下、ウチカレ略)』(日本テレビ系)が最終回を迎える。この作品に、主人公の恋愛小説家・水無瀬碧(菅野美穂)の担当編集者・橘漱石役として、 [Alexandros(アレキサンドロス)]の、ヴォーカル&ギター・川上洋平が出演していた。

実は碧に恋心を抱いてしまう機微や、編集者として担当作家を外部の圧力から守ろうとする姿勢。そんな漱石の演技に、SNSの女性視聴者たちはざわついた。「え、アレキサンドロスの人、歌だけじゃなくて演技もうまくない?」。実は川上だけではなく、最近ではバンドマンたちによる演技が高評価を受けていることをご存知だろうか?

ステージで表現する=人物を演じる、この感覚は同一?

ミュージシャンと俳優を兼任している表現者は数多いる。代表格としては、あまりにも有名な福山雅治、星野源など。すべてのデータを振り返ると、このコラム原稿が100万文字を超えてしまうので、ここ数年で俳優活動が目立った人をピックアップしていこう。

まずはRADWIMPSの野田洋次郎。彼は『100万円の女たち』(テレビ東京系・2017年)という、個人的にめちゃくちゃ推すドラマで初出演にして初主演という華々しいスタートを切っている。この作品、殺人や性的要素など何かと放送倫理ギリギリの作品だったけれど、ほぼ表情を動かさずに、それでいて棒読みセリフでもなく、堂々と演じていたのを覚えている。そんな彼は朝ドラ『エール!』(NHK総合・2020年)にも出演。

朝ドラといえば放送中の『おちょやん』に、主人公・千代の父親・竹井テルヲ役のウルフルズのトータス松本。朝ドラ史上最高のクズ親を演じて、話題になった。彼は大河に出演経験もある、いわば名優。ただどの作品を見ても人物に勢いがあって、BGMに『ガッツだぜ!』が流れてきそうな暑苦しさが好きだ。

そして『ひよっこ』(2017年)に主人公の叔父役として出演していた、銀杏BOYZの峯田和伸。彼も他作品に出演があるけれど、まったく嘘のない雰囲気がいい。飾ることを一切しないでストン、と役に入っている。それを感じさせるのが、峯田が歯をホワイトニングしていないことや、肌の手入れもそんなにしていないこと。演技をするのなら、最低限、見た目に気遣うこともあるけれど、そんな素振りもないところが逆に好感度を高めている。

天は彼らに“いくつの物”を与えるのだろうか

若手で頭角を表していると言えば、渡辺大知だ。2018年にヴォーカルをしていたバンド・黒猫チェルシーは活動休止をしたけれど、その以前から俳優業に力を入れていた。印象に残っているのは『毒島ゆり子のせきらら日記』(TBS系・2016年)で見せた、バイト生活中の売れないミュージシャン役。主演の前田敦子とのラブシーンがとても良くて、個人的に“色気班”の一人だと思っている。

ここまで何人かの印象に残ったミュージシャンたちを並べたが、共通しているのが“雰囲気イケメン”であること。佐藤健のようにガチのイケメンが役に起用されているわけではない。

かつて『イノセント・ラブ』(2008年)にはゆずの北川悠仁、『突然ですが、明日結婚します』(ともにフジテレビ系・2017年)にflumpoolの山村隆太が、月9出演をしたことがある。二人とも顔面採用の部分もあったと思うけれど、顔の良さに引っ張られたのか、演技が印象に残らなかった。

つまり“雰囲気イケメン”勢のほうが、圧倒的に人気があるというのが実情だ。もともと「音楽で何かを表現したい=モテたい」という構図のもとにバンドを始めている確率が高いので、目立つことに対するポテンシャルが高いはずだ。それが視聴率1%で、7歳以上の日本国民110万人以上が見るというドラマならなおのこと。その気合がそのまま演技に現れているし、何かを表現することに関しては一線級の力を持っているのだから成功は間違いない。

さて冒頭で紹介した『ウチカレ』の最終回で、橘漱石は碧にプロポーズをする。これがうまくいくのか? それとも別の一ノ瀬風雅(豊川悦司)の手を取るのか? が見どころだ。そして今後、川上洋平の次にはどんなミュージシャンが続くのかも気になるけれど、個人的にはクリープハイプのボーカル・尾崎世界観をお勧めしておきたい。きっといい演技をするはずだと睨んでいる。

  • 小林久乃

    エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

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