東京ロストワールド サメだらけの海に聳える「絶海の奇岩」に挑む | FRIDAYデジタル

東京ロストワールド サメだらけの海に聳える「絶海の奇岩」に挑む

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第一弾がネットで大反響!


「科学者がみんなイキイキしている」「わくわく感半端なかった」

9月16日(日)に放送された、NHKスペシャル『秘島探検 東京ロストワールド 』南硫黄島編。放送直後から、冒頭のようなコメントがツイッターに投稿され、ネットで大きな話題を呼んでいた。

それから2週間、今夜21:00よりNHK総合テレビで、第二弾が放送される。次なる舞台は太平洋に突き出した奇岩・孀婦岩(そうふいわ)。子供だけでなく、大人の心まで熱くさせるアドベンチャー番組の裏側に伺った。

東京から35時間、周囲に何もない海域に突如現れた孀婦岩

東京から南へ650㎞、伊豆諸島最南端にその秘境はあった

一番近い島まで80㎞も離れている太平洋の大海原。そこに、100mもの高さがある岩・孀婦岩が屹立している。この奇妙な岩はなぜできたのか、こんな孤立した環境で棲息する生物とは……。世界でも唯一といっていい珍しい現象に科学者たちが挑んだ。

海洋研究開発機構の海洋生物学者・藤原義弘氏、産業技術総合研究所の地質学者・石塚治氏を筆頭にした、35名の調査隊による探査は、2年がかりの難事業となった。

孀婦岩は、これまで調査されたことが一度もない。周囲はきつい潮流があって海が荒く、1ヵ所に留まって潜水艇を下ろしたりできるのは、1年のうち梅雨前後の1〜2週間しかないからだ。

わずかな調査期間中、隊員は船中で寝泊まりし、昼は潜水での生物調査や海上撮影、夜は海底地形測量などほぼ不眠不休に近かった。なかでも最も困難を極めたのが、孀婦岩に登頂することだった。

熟練のアルパインクライマーでも苦戦した絶壁

彼らの苦闘に密着した『秘島探検 東京ロストワールド第2集 孀婦岩』(9月29日放送)のため現地に同行した、NHKエンタープライズ・小山靖弘氏はこう語る。


「孀婦岩の登攀は一般人には到底無理。そこで世界的なアルパインクライマー・増本亮氏やNHKの山岳専門カメラマンからなる上陸班が、科学者の指示に従って岩石サンプルなどを採取することになりました。それでも、2年にわたる調査で、小型ゴムボートを岩に近づけて飛び移ることができたのは、1日だけでした」

上陸班の調査により、孀婦岩は火山岩の一種である安山岩でできていることが判明。しかも本来、硬い岩であるはずが風化のため表面がボロボロになり、滑落の危険もあった。それでも、この岩には鳥類以外の生物も棲息していることが確認できたという。

頂上には生物はいたのか?

海中にはサメがうようよ

孀婦岩が海面下でどういう形状をしているかを探ることも調査目的の一つ。潜水班が潜ってみると、岩の直下は目視できる限界まで垂直に切れ込んでいた。

「ソナーなどによる地形班の分析の結果、この岩は巨大なバースデーケーキに立てられた一本の蠟燭のような形だと判明したのです。蠟燭の上半分が孀婦岩として海上に突き出て、下半分の周囲の海は魚の楽園が広がっていた。そこには大型のサメもいましたから、岩に飛び移った上陸班が海中に落ちていたら大変なことになるところでした」(前出・小山氏)

海中を回遊する魚群。その奥には「ガラパゴスザメ」の姿が写っている

潜水には八丈島で「伝説の漁師」と言われる潜水士も参加し、数々の小型の深海探査機も投入された。総力を結集した結果、2億年前から姿を変えていない古代魚「カグラザメ」をはじめ、数々の希少種に遭遇できたという。


「孀婦岩のように、周辺に何もない海域に、海底から突き出た岩山がぽつんとあるような環境には、非常に豊かな生態系が育まれます。浅瀬では、小さい魚が集まり、それを食べに大きな魚がやってくる。一方、深海は、他の生物との競争が激しくないため、古代魚も生き延びることができる。魚にとっては貴重な場所なんです」(前出・小山氏)

深海タコを狙う深海魚「イバラヒゲ」。貴重な映像も撮影できた

深海魚「キタノクロダラ」。 海洋の調査には神奈川県立海洋科学高校の学生にも協力してもらった

深海に生息する「モミジザメ」

周りを海に囲まれた日本には、まだまだ冒険の余地が残されている。少年のように目を輝かせ、未開の地に挑み続ける熱い科学者たちによって、生物学界を揺るがすような「世紀の発見」が、日本の地から見つかるかもしれない。

※画像はすべてNHK提供

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