最速150キロ超!『春のセンバツ』注目すべき高校野球「四天王」

今年のドラフトで上位指名が確実

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2018年の初夏の頃、私は全国3ヵ所で開催された『U-15侍ジャパン』の選手選考を行うトライアウトを取材して回った。

光る一握りの逸材というのは、素人目にもはっきりと違いがわかるものだ。中学3年生の時点ですでに140㌔を超えているような豪腕。俊敏な動きで捕球後、二塁に送球する鉄砲肩の捕手。小学生時代に世界大会を経験した選手もいて、目に付いた選手たちはことごとく『侍ジャパン』に選出されていった。

私はそのうちの数人に進路を訊ねた。すると一様に、こう答えたのだった。

「大阪桐蔭です」

大阪桐蔭の新3年生には、3年前のU-15侍ジャパンのメンバーのうち、主将で外野手の池田陵真ら5人の選手が在籍する。18年に春夏連覇を達成した根尾昂(中日)や藤原恭大(千葉ロッテ)ら同校の〝最強世代〟をしのぐかもしれない〝最強第2世代〟と個人的に呼んでいるのだが(まったく定着していない)、3月19日に開幕した第93回選抜高校野球大会でエース番号を背負うのは中学の代表歴がなく、北海道の旭川市からやってきた身長185㌢の大型左腕・松浦慶斗だ。甲子園のマウンドは昨夏の甲子園交流試合での救援登板で経験済みである。

「選抜ではギアを上げ下げして、圧をかけるピッチングを心がけたい。相手打者が打ち気にはやるピンチこそ、12割の力で。打者が差し込まれるような、受け身にならざるを得ないようなボールを投げたい」

大会4日目の第2試合で対戦するのは奈良の智弁学園。同校には昨秋の近畿大会決勝で敗れており、松浦は「同じ相手には二度と負けられない」と意気込む。

左のエースが松浦なら、右のエースは長崎県佐世保市出身の関戸康介。高知・明徳義塾中時代は、テレビ番組の「ミライ☆モンスター」(フジテレビ系)ですでに最速146㌔を放る豪腕として取り上げられ、その名はこの世代で誰よりも早く全国区となっていた。

だが、大阪桐蔭に入学後はケガに苦しむことが多く、1年秋は帽子を飛ばしながら暴風雨のように荒れたボールを投げ、昨年の秋も股関節を痛めて本来のピッチングからほど遠く、秋の大会後には指を骨折して投げられない時期が続いた。

しかし、選抜開幕を前にした公開練習日に見たブルペンの投球は、まさに一級品。最速154㌔にまで伸びた直球だけでなく、カーブ、スライダーがベース付近になって軌道変更する。

「球速にはこだわりはないです。考え方としては、力感をなくして、バッティングピッチャーをやるような感覚で投げました。去年の秋は、股関節を痛めていたこともあって、とりわけ(踏み出していく)左足が弱かった。この冬に下半身を安定させることを考えてトレーニングしてきた。それでコントロールが安定してきたと思います」

この大阪桐蔭のダブルエースを差し置いて、世代を代表する投手として評価が高いのが、市立和歌山の152㌔右腕・小園健太だ。

小園にとっては選抜が初めての甲子園マウンドとなる。

「ずっと頭の中で思い描いていたことではあるんですけど、まだ実際に立つイメージはできていないです。甲子園練習があればいいんですけど……(今年はコロナの感染予防のために中止)。自分がマウンドに立つことで、あいつに任せていたら大丈夫だと、安心感をチームメイトに与えられるような、自分がマウンドに立つことで周りの空気を変えられるようなピッチャーが理想です」

変化球は、カーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップに縦と横のツーシームと豊富で、すべてのボールでカウントを整え、勝負球にもなる。相手打者からすれば、剛速球に加え外にも内にも曲がってくる変化球があるため、狙い球が絞りづらいだろう。

松浦と関戸、そして小園に中京大中京(愛知)の151㌔右腕・畔柳亨丞を加えた4投手が、今年の高校生投手の〝四天王〟に位置づけられる。

彼もまた18年のU-15侍ジャパンメンバーであり、昨秋は東海大会を制した。中日ドラゴンズにドラフト1位指名された1年先輩の高橋宏斗をしのぐ逸材という声もある。対外試合が3月6日に解禁となっても、中京大中京がコロナ対策として練習試合を公開していないために近況は伝わってきてない。畔柳がベールを脱ぐのは、1回戦最後の試合となる大会6日目の第1試合となる。

四天王の中から、世代ナンバーワンの称号を手にする投手が現れるはずだ。

大阪桐蔭の松浦はプロ注目のピッチャーの一人
松浦(左)と関戸(左)のダブルエースの存在もあって、大阪桐蔭は優勝候補筆頭と目されている
  • 取材・撮影・文柳川悠二

    1976年、宮崎県生まれ。ノンフィクションライター。大学在学中からスポーツ取材を開始し、出版社勤務を経て独立。2005年から春夏の甲子園取材をライフワークしている。著書に『投げない怪物』『永遠のPL学園』(ともに小学館)

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