1回戦で激突!甲子園で高校ナンバーワン捕手を争う「公立の両雄」 | FRIDAYデジタル

1回戦で激突!甲子園で高校ナンバーワン捕手を争う「公立の両雄」

「春のセンバツ」1回戦で県岐阜商の高木翔斗と市立和歌山の松川虎生が対戦

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高校ナンバーワン捕手の呼び声が高い県立岐阜商業の高木翔斗
高校ナンバーワン捕手の呼び声が高い県立岐阜商業の高木翔斗

豊作とされる今年の高校球児の中でも、大型捕手として注目を集めるのが、県立岐阜商業の高木翔斗と、市立和歌山の松川虎生の二人だ。高木が186㎝88㎏、松川が178㎝98㎏とともに立派な体躯で一発の魅力にあふれる右の大砲という点でも共通する。

そして、両者は選抜高校野球大会の1回戦、大会4日目(3月23日予定)の第1試合で対決する。

高木は昨夏の甲子園交流試合に出場したあと、新チームの主将となった。直後、大阪シティ信用金庫スタジアムで行われた大阪桐蔭との練習試合で、ドラフト上位候補の左腕・松浦慶斗からバックスクリーンに一本、逆方向となるライトスタンドにも一本の特大アーチを架けた。高木はこう振り返る。

「交流試合でチーム初ヒットを打てたことと、盗塁を刺したこと。それが自信につながったと思います」

中学時代に軟式のクラブチームに在籍していた高木は、高校は神奈川の東海大相模に進学することを夢見て準備していた。しかし、’18年春から県立岐阜商業の監督に、パナソニックや熊本・秀岳館を指揮してきた名伯楽・鍛治舎巧氏が就任することが決まり、進路を変更した。

「監督が掲げた『古豪復活』という言葉や考え方が素晴らしくて、地元に残って甲子園を目指すことを決めました」

同じ野球でも軟式と硬式とでは、投手のボールを捕球するにも、勝手が違う。だが、高木は入学直後から背番号を与えられ、春の東海大会では1年生にして正捕手を意味する「2」を背負った。

「大きな経験でした。最初は高校生のスピードについていけず、パスボールが多かったし、カットボールなどで左手の親指を突き指して痛かった思い出しかないです。ただ、140㌔を投げる投手が揃っていたので、練習するうちにだんだんと慣れていきました」

遠投は100mと地肩が強く、前述のとおり逆方向に一発が打てるのも才能の片鱗で、足もある。プロ野球選手を夢見る高木は、鍛治舎監督から「甲子園で4本(塁打)打てばプロ、3本以下なら大学」と発破をかけられている。

「センバツの結果が、このあとの人生につながると監督からは言われています。目標は高い方がいいと自分も思います」

組み合わせ抽選が行われる直前、高木が意識する存在として名前を挙げていたのが松川だった。

「高校野球の雑誌で、自分と松川選手のどちらがナンバーワンかとよく書かれているので……」

一方、阪神がセ・リーグを制した’03年に生まれた松川は虎党の祖父に付けられた「虎生(こう)」の名のとおり、タテジマの選手に憧れてきた。

「子どもの頃は城島(健司)さんで、同じナイキのミットを使っていました。僕が目指しているのは『打てる捕手』。現役で理想とするのは、阪神の梅野隆太郎選手です。同じ右打者として巨人の岡本和真選手、広島の鈴木誠也選手です」

中学硬式野球の貝塚ヤング(大阪)に所属した中学時代に「ビートたけしのスポーツ大将」(テレビ朝日系)に出演し、桑田真澄からヒットを放った逸話も持つ松川は、強豪私立からの誘いを断り、バッテリーを組んでいた小園健太を誘って、二人で市立和歌山に進学した。ヤングリーグで日本一となった小園とともに、高校でも日本一。それが二人で誓った夢だ。

「県立岐阜商業は2年連続30回目の出場ですか? すごく強いと思います。高木を意識しないといったら嘘になる。自分の力を試してみたい」

同校の半田真一監督は松川を「誰より優しい男」と紹介する。なかなか高校野球の監督にそんなことを言わせる球児も珍しい。

「はい、(自分は)優しいと思います(笑)。両親から『人には優しくせえ』とずっと言われてきましたし、座右の銘は『愛される選手』です」

高卒即プロ。両者が望むその道を切り拓くためにも、世代ナンバーワン捕手の称号はともに譲れないはずだ。

もう一人の高校ナンバーワン捕手候補が市立和歌山の松川虎生である
もう一人の高校ナンバーワン捕手候補が市立和歌山の松川虎生である
  • 取材・文柳川悠二

    1976年、宮崎県生まれ。ノンフィクションライター。大学在学中からスポーツ取材を開始し、出版社勤務を経て独立。2005年から春夏の甲子園取材をライフワークしている。著書に『投げない怪物』『永遠のPL学園』(ともに小学館)

  • 撮影加藤慶(松川)

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