大打撃の居酒屋業種で「串カツ田中」一人勝ちの理由 | FRIDAYデジタル

大打撃の居酒屋業種で「串カツ田中」一人勝ちの理由

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郊外店では駐車場も完備しファミリー層も取り込む「串カツ田中」。企業努力が徐々に消費者へ浸透している

新型コロナウイルスによる居酒屋への打撃は、予想以上に深刻なようだーー。

東京商行リサーチによる大手チェーン13社への調査では、19年12月から20年12月にかけて、総店舗数が12.5%減少(7009店→6136店)した。もっとも影響が大きかったのが、「金の蔵」などを運営する「三光マーケティングフーズ」で41.7%減(108店→63店)。次が「とり鉄」などを運営する「JFLAホールディングス」の33.1%減(843店→564店)。昨年4月の緊急事態宣言発令から、日を追うごとに減少率が悪くなっている。

時短影響に外出自粛……。居酒屋にとってマイナス要素ばかりの現状で、唯一店舗数を増やしているのチェーンがある。「串カツ田中」だ(273店→276店)。経済ジャーナリストの松崎隆司氏が、一人勝ちの理由について解説する。

「客や市場に好感を持たれているのが、『取引先や他業種と一緒に逆境を乗り越えよう』という姿勢です。自分だけが儲かれば良いという考えがない。昔の近江商人のように、『売り手良し、買い手良し、世間良し』という『三方良し』の意識がうかがえます。

例えば昨年4月から始めたのが、関係のある農家で売れ残った野菜の店頭販売。コロナの影響で余った野菜約10種類を1600円ほどで売り、好評なようです。本来なら破棄すべき品物を売ってもらえるのですから、農家としては大助かりでしょう。

今年3月には、アイドル応援プロジェクトを発足させました。東京・秋葉原の店舗を『アキバあいどる店』と名称変更し、コロナで仕事を失ったアイドルにスタッフとして働いてもらうんです。ポスターを掲示したり、グッズ販売やイベントをするなどバックアップするとか。人気投票を行い上位になったアイドルには、さらなる特典があるそうです。既存の客だけでなく、ファンも楽しめるシステムですよ」

900超高カロリー弁当が人気のワケ

以前「餃子の王将」が、売れないお笑い芸人にタダで食事を提供していたことがある。芸人たちは有名になると、このエピソードをテレビのバラエティ番組で披露。「餃子の王将」がブームとなる一因になった。「串カツ田中」にも、同様の効果が期待できるだろう。

「他者をサポートするだけではありません。コンビニの『ローソン』は、外食産業を支援しようと様々なプランをたてています。『串カツ田中』も、同社の活動の恩恵を受けました。特製のタレを使ったサンドイッチやおにぎりを提供していますが、中でも人気が高いのが『串カツ田中監修 カツ盛り合せ弁当』です。店によっては、午前中に売り切れることもあるとか。

5種類のカツにポテトサラダがつき、熱量964キロという超高カロリーな内容です。自粛ストレスでガッツリ食べたいという男性や、家族で分けて食べるファミリー層にヒットしています。比較的安い価格(税込698円)で、有名居酒屋店の味を楽しめるのも魅力でしょう」(松崎氏)

「串カツ田中」は、郊外の大通り沿いに駐車場を完備した店も積極的に出している。酒が目的の客だけでなく、ファミリー層を取り込むのだ狙いだ。

「『串カツ田中』の前年度の業績は、黒字を出すには至りませんでした。ただ野菜の店頭販売などの企業努力で、他のチェーンより打撃が少ないことはたしか。店舗数を維持できています。『串カツ田中』の施策は、スグに利益へ直結するモノではありません。しかし徐々に消費者に浸透し、実を結び始めています。今年度は黒字も期待できるでしょう」(松崎氏)

斬新なアイディアと「三方良し」の姿勢で、コロナ不況を乗り切れるか。「串カツ田中」の苦闘は続く。

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