全米1位ライター推奨!初心者がコーヒーを自宅で楽しむ5つの原則
30歳までコーヒーを飲めなかった文筆家・岩田リョウコ氏が伝授
コロナ禍で在宅勤務が定着し、外出してカフェでコーヒーを楽しむことがめっきり減った人が多いだろう。ただ、カフェに行けなくても家で十分楽しみ方法がある。在米中の2015年にアメリカで出版した『COFFEE GIVES ME SUPERPOWERS』で、米アマゾンランキングで1位を獲得した岩田リョウコ氏が初心者にむけて「おうちコーヒー」の楽しみ方を教えてくれた。
注ぐお湯は沸騰してから45秒待つといい
コーヒー評論家でも、バリスタでも、どんなコーヒー好きさんでも誰だって最初は初心者。この記事を書いているわたしも実は30歳までコーヒーを飲まない人生を送ってきました。苦くて黒い飲み物がどうしてもおいしいとは思えなかったんです。
ところが、ある一杯のコーヒーを飲んだことからコーヒーの世界に足を踏み入れていくことになり、今では『コーヒーがないと生きていけない!』という本を出版しています。かつてのわたしのように、コーヒーのおいしさがよくわからない人、普段飲むけれど特にこだわりはない人、たくさんいらっしゃると思います。でもコーヒーって手間をかければかけるほどおいしくなるコール&リスポンスが顕著な飲み物なんです。
日々、家で飲むコーヒーは単調で同じになりがちですが、せっかくならおうちコーヒーをもっと楽しみたいですよね。コーヒーにそんなにこだわりがない人、コーヒーのことはほとんどわからないという人でも、おうちコーヒーを今よりもワンステップ楽しめるポイントを解説します。
1.インスタントコーヒーからアップグレード

パウダーやフリーズドライのインスタントコーヒーはお湯を注ぐだけで簡単にできちゃう優れものですが、お湯を注ぐインスタントを専門で飲んでいる方は、カップに乗せてお湯を注ぐ「ドリップバッグ」にアップグレードしてみましょう。袋を開けるだけで準備がととのっています。
ドリップ用の器具も要らなければ、自分で豆を挽く必要もなし。もう挽いた豆が入っているのでゆっくりお湯を注いでドリップするというだけです。同じお湯を注ぐという動作ですが、挽いた豆から抽出するコーヒーとインスタントの味の違いがすごくわかると思います。
ここでもうひとつ。さらにグッとコーヒーがおいしくなる簡単テクニックがあります。それはお湯の温度。実はコーヒーは沸騰しているお湯ではなく92〜4度くらいが油分やえぐみを抑えながらコーヒーのおいしい成分だけを抽出できる適温と言われています。温度計で測って……なんて必要ナシ!簡単な方法があります。沸騰したら火を止めて45秒くらい待つとちょうど93、4度くらいになるので、それからお湯を注ぎましょう。ドリップバッグでも本格的なカフェの味にだいぶ近づくと思います。
2. 自分で豆から淹れてみよう

器具を揃えるのはハードル高いなと感じてしまうかもしれませんが、ドリップバッグを使って自分でお湯を注いでドリップする醍醐味を味わった方は、ハンドドリップ用のドリッパーを買ってみるのをおすすめします。ドリッパーはかなりお安く気軽に始められるのですが、とにかく奥が深い抽出方法なので上手に慣ればなるほどおいしいコーヒーを淹れられるようになります。ハンドドリップでコーヒーの沼にハマっていく可能性大です。
豆についてですが、抽出する器具によって豆の挽き具合は違います。家で飲む直前に豆を挽くのが理想的なんですが、実は家庭用グラインダーで自分で挽き目を調節することはなかなか難しいんです。なので豆を買うお店で抽出器具(ハンドドリップ、フレンチプレスなど)を伝えてそれにあった挽き目で挽いてもらうのが一番。お店のグラインダーの刃は家庭用のものよりずっといいものなので、豆の抽出率もグンとあがっておいしいコーヒーができあがります。ポイントは挽いてもらったら早めに消費することです。
ここでひとつ注意していただきたいのは、スーパーなどであらかじめ挽いてある豆を買うことはNGです。これは栓の開いたビールを買うようなものだと覚えておいてください。信頼できるお店で豆を買ってその場で挽いてもらうのがおすすめです。
3 ふわふわミルクで定番コーヒーから脱出


コーヒーにそのままミルクを入れるとほっこり優しいカフェオレになりますが、ミルクフォーマーで温めたミルクを細かい泡でふわふわに泡立ててコーヒーに入れるとおうちでカプチーノ風コーヒーが簡単にできちゃいます。
「ミルクフォーマーって高いんじゃない?」と思った方、実は100円ショップに売っているんです。お安く気軽にラテアートや3Dアートなどにも挑戦できます。手順は簡単。まずはミルクを65〜70度くらいに温めてからスタートです。ミルクの量はお好みで。例えばミルクの量が多めだとミルクコーヒーに、ミルク少なめだとカフェオレになります。ラテを作りたい場合は「モカポット」という簡単にエスプレッソを作れる器具がありますので、そちらを準備するとエスプレッソ+ミルクでラテができます。

① ミルクフォーマーをしっかりそこまで入れてからスイッチオン。30〜40秒泡立てます。ピッチャーの底をトントンと机に叩いて空気を抜きます。
② 高い位置からコーヒーの入ったカップの中心へミルクを注ぎます。
③ カップの半分くらいまでコーヒー+ミルクが上がってきたら、ピッチャーをカップ中心へ下げていきます。上がってきたミルクに近づけてからスッとカップのふちへと引きます。
④ ハートのできあがり!
ココアパウダーをふりかけたり、爪楊枝の先にコーヒーをつけてミルクの上に文字を書いたり、工夫次第でいろんなアートが描けるので楽しんでトライしてみてください。
「いちご大福」「パリジェンヌ気分」も味わえる
4.コーヒーとマリアージュ

コーヒーと一緒にパンやお菓子を合わせるのもまたコーヒータイムが楽しくなる秘訣。どんなコーヒーとどんな食べ物が合わせたらいいのか迷ったらまずは、深煎りのチョコレートっぽい味のするコーヒーには同じような深みのあるダークチョコレートを。浅煎りのフルーティーなコーヒーにはドライフルーツなど、同じ系統を合わせるのが簡単なマリアージュの仕方です。

パンとのマリアージュで例を挙げると、わたしのお気に入りは、浅煎りでフルーティーなコーヒー x あんぱん。この組み合わせはとっても不思議。なんと口の中で、いちご大福の味がするんです。
他にはカフェオレ x クロワッサン。パリの人って、大きなカップにカフェオレを入れて、クロワッサンを中に浸して食べるんです。ミルクと香ばしくてバターの甘さのあるクロワッサンが絶妙な相性です。このマリアージュでパリジェンヌ気分になれます。
どんなコーヒーにどんなお菓子やパンが合うかを探っていくとおもしろい組み合わせで思わぬ味が生まれるかも?
5. サブスクリプションで国内外のコーヒー旅へ

コロナ禍で旅行が思うようにできなくなってしまい、その土地にある有名なコーヒーショップへ行くというのも難しくなってしまっています。海外なんてもっとですよね。
でも日本中、そして海外のロースタリーの豆が毎月ポストに届けられるコーヒーの定期便(コーヒーサブスクリプション)ならおうちにいながら国内・世界のコーヒーショップを巡ることができます。まず国内のサブスクリプションでおすすめなのが「PostCoffee」。あなたにあった好みのコーヒーと淹れ方を診断して送ってきてくれます。
海外ではコーヒーの消費量が世界で一番のフィンランドのサブスクリプションサービス「SLURP」がおすすめです。フィンランド、ドイツ、スウェーデンから自家焙煎の豆を送ってきてくれます。旅行に行けなくてもおうちでコーヒーの旅ができたら、もっとおうち時間が充実すること間違いなしです。
普段こだわりなく飲んでいるコーヒーも、少しだけ手間やアイディアを加えるだけでグッとおいしくなったり世界が広がったりするものです。もうちょっとコーヒーについて深掘りしてみたい!と思った方はぜひわたしの著書『コーヒーがないと生きていけない! 毎日がちょっとだけ変わる楽しみ方』を読んでみていただけると、毎日のコーヒーがちょっとだけ変わると思います。

岩田リョウコ
文筆業、イラストレーター。在米中の2015年にアメリカで出版した『COFFEE GIVES ME SUPERPOWERS』は、米アマゾンランキングで1位を獲得。世界5ヵ国で翻訳出版される。サウナ好きが高じてフィンランド政府観光局フィンランドサウナアンバサダーに任命される。
Twitter: https://twitter.com/ilovecoffeejp
HP :http://www.ryokoiwata.com/
取材・文・写真提供:岩田リョウコ
直近1年で4冊の著書を刊行している。『週末フィンランド ちょっと疲れたら一番近いヨーロッパへ』(大和書房)、『エンジョイ! クラフトビール 人生最高の一杯を求めて』(KADOKAWA)、『コーヒーがないといきていけない! 毎日がちょっとだけ変わる楽しみ方』(大和書房)、『HAVE A GOOD SAUNA! 休日ふらりとサウナ旅』(いろは出版)。