「BTSは悲惨な奴隷扱い」…北朝鮮が韓国芸能界を突然罵倒の理由 | FRIDAYデジタル

「BTSは悲惨な奴隷扱い」…北朝鮮が韓国芸能界を突然罵倒の理由

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北朝鮮でも隠れファンが多いBTS。当局はマイナスイメージをつけようと躍起だ。20年8月に撮影された映像より(画像:MTV/AFP/アフロ)
北朝鮮でも隠れファンが多いBTS。当局はマイナスイメージをつけようと躍起だ。20年8月に撮影された映像より(画像:MTV/AFP/アフロ)

〈南朝鮮の青少年歌手 大企業に隷属 悲惨な生活を強要〉

センセーショナルな見出しの記事が、北朝鮮のウェブ媒体「メアリ(こだま)」に掲載されたのは3月13日のことだ。「南朝鮮」とは韓国のこと。記事内では人気K-POPグループの名前をあげ、韓国芸能界を痛烈に批判している。

〈南朝鮮メディアは最近、有名な青少年歌手たちが大企業に隷属し、悲惨な生活を強要されていると報じた。「BTS(防弾少年団)」「BLACK PINK」などの青少年歌手らが、初等学校、中等学校の幼い時に芸術関連大企業と専属契約を結んで、大衆歌謡教育を受けているという。芸能企業は彼らを外部と徹底的に遮断し、睡眠時間は一日2~3時間。過酷な訓練を強要し、彼らが得た収益は養成費名目でほとんど吸いとってしまう〉

さらに記事は、非難のトーンをあげる。

〈過酷な訓練課程にヒドい人間的侮辱と苦痛を受け、幼い女性歌手の場合、政治家や企業家の性接待まで強いられる。多くの青少年歌手たちが精神的肉体的苦痛に苦しみ、生活は鉄窓がない監獄に住むのと同じ。生きていくのがツラいと遺書を残し、自ら命を絶っているという。

南朝鮮はもちろん欧米メディアも、青少年歌手たちが悪辣で腐敗した芸能関連大企業に身体と心、霊魂まで奪われ奴隷扱いを受けていると非難している〉

背景に金正恩が徹底を強調する新法が

記事が配信されたのは、BTSが米国グラミーアワーズで初の単独公演を行った前日だ。多くの読者に読まれるよう、タイミングを図っていたことがうかがえる。

「確かに韓国国内でも、アイドルや歌手の練習生制度が過酷だと批判されることはあります。ただ、あまりに過剰な表現です。ましてや睡眠時間が一日2~3時間だとか、女性芸能人が性接待を強要されているなど、なんの裏づけもないでしょう。米メディア『CNN』は、『北朝鮮の報道は根拠がない』と断じています」(韓国紙記者)

北朝鮮が「BTS」や「BLACK PINK」など、具体的なグループ名をあげ韓国芸能界を非難するのは異例だ。背景には1月に行われた朝鮮労働党党大会で、北朝鮮の指導者・金正恩氏が徹底を強調した新しい法律がある。昨年末に採用された「反動的思想・文化排撃法」だ。『デイリーNKジャパン』編集長・高英起氏が語る。

「金正恩氏は、国内で浸透する韓国の歌や映画、ドラマに危機感を持っています。新法は、外国のコンテンツの取り締まりをより強めているんです。法律には、以下のような違反事例が記されています。〈該当する物を視聴または保管した者は、1万北朝鮮ウォン(約170円)から5万北朝鮮ウォン(約850円)の罰金を課す〉と。罰金は日本円に換算すると軽く感じるかもしれませんが、北朝鮮の人々にとっては相当な負担です。

今回の報道は、韓国の芸能界がいかに腐敗しているかを国内外に示すのが狙いでしょう。堕落した状況下で作られた作品は、視聴に値しないと。一種のプロパガンダです」

一方で、新法の採択や今回の報道は、北朝鮮の焦りの表れだともとれる。

「北朝鮮で、韓国のドラマや映画が浸透しているのは周知の事実です。正恩氏は、その流れをなんとか防ごうと躍起なのでしょう。国家は、決して軍事力や政治的圧力だけで倒れるわけではありません。外国の文化が流入し、徐々に国民の意識が変わっていくことが遠因です。北朝鮮でも自国にとって都合の悪い作品が、ジワジワと人民の間に広がっている。正恩氏の危機感が強いことを表しています」(高氏)

「BTS」や「BLACK PINK」……。その名は北朝鮮でも知れ渡り、隠れファンはかなりの数にのぼるという。いくら当局が韓国芸能界の腐敗を指摘しても、国内への流入は止められそうにない。

  • 写真MTV/AFP/アフロ

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