自衛隊 戦闘集団から人助け組織へ 大災害で銃をスコップに替えた
〔フォトルポ〕ガレキやゴミの撤去/被災者への食事提供/入浴支援/体育館などでの睡眠
スコップを持った自衛隊員たちが、土砂をかき分け生存者の捜索を続ける。9月6日に、震度7の地震に襲われた北海道の厚真(あつま)町。同地には約2万5000人の自衛隊員が派遣され、土砂崩れ現場から被災者5人を助け出した――。
頻発する災害で、自衛隊に対する国民のイメージが、銃を持った戦闘集団から人を助ける組織に変貌した。フォトジャーナリストの菊池雅之氏が語る。
「転機は’95年1月に起きた阪神・淡路大震災です。自衛隊も派遣されましたが、被災者の捜索活動は難航。戦うための装備はあっても、消防隊のようにコンクリートを粉砕する道具や建物内を検索するレーダーがなかったんです。その反省から装備を一新。’11年3月の東日本大震災では、災害時は自衛隊が助けてくれるという認識が国民に広がりました。’13年9月には、各駐屯地に待機する初動対処部隊を『FAST―Force』と命名。すぐに対応ができるようにしています」
被災者への食事や風呂の提供は、自衛隊の大きな役目だ。菊池氏が続ける。
「陸上自衛隊が保有する野外炊具では、6つの釜でお米なら一度に600人分、味噌汁や豚汁なら1500人分を作ることができます。また鉄パイプにビニールシートを張った簡易性の風呂では、約4tのお湯を入れることができるんです」
憲法9条に明記された戦争の放棄や戦力の不保持。その矛盾は残っているが、自衛隊が日本社会から求められる役割は大きくなる一方なのだ。
ガレキやゴミの撤去
被災者への食事提供
入浴支援
体育館などでの睡眠
撮影:菊池雅之
写真:時事通信社