『俺の家の話』最終回!クドカン×長瀬の名コンビが残した足跡 | FRIDAYデジタル

『俺の家の話』最終回!クドカン×長瀬の名コンビが残した足跡

もう見られない? このタッグが残した名作の数々!

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2014年4月、楽天の試合で始球式を行った宮藤官九郎

2021年3月31日はエンタメ界にとって歴史に残る日になる。なぜなら当日はあの長瀬智也(TOKIO)がジャニーズ事務所を退所する日。今後は裏方として活動していくということで、彼の表舞台に立つ姿を私たちは拝めなくなってしまうからだ。

彼が最後の舞台に選んだのは、宮藤官九郎(以後、愛をこめて『クドカン』略)脚本による『俺の家の話』。何を書いてくるのか予想のつかないクドカンと、元祖天然男子いい男の長瀬による化学反応のような面白さ。これがもう見られなくなると思うと寂しいけれど、ここらで二人がタッグを組んだ作品を振り返ってみたい。

“クドカン×長瀬”は親和ではなくて、もう神話

「二人の出会いは……」などと書き出すと、まるで披露宴のスピーチのようだけど、二人が運命的な出会いを果たしたのはもう伝説と化しているドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(2000年)。これは色々な挑戦と衝撃が重なった作品だ。池袋を舞台にいわゆる“ワル”の抗争を描いていた。ここにバリバリの現役アイドルが主演するという、衝撃。でも長瀬は名前入りのうちわを持って応援するファンにだけではなく、男にもぶっ刺さるいい男だと証明したのが『IWGP』に他ならない。

それから劇場で活動していたクドカンを連ドラの脚本家に抜擢した、TBSの名プロデューサー・磯山晶氏の挑戦。内容もキャスティングもすべてが自由な発想すぎたけれど、何もかもがドラマ界には新しかった。2000年、ミレニアムイヤーにふさわしい歴史の門出だった。

そして映画『真夜中の弥次さん喜多さん』(2005年)で映画監督デビューをしたクドカン。同性カップルがお伊勢参りの旅に出るという、聞いただけでも笑ってしまう作品の主演は長瀬だ。同年には『タイガー&ドラゴン』で、長瀬は岡田准一(V6)とともに、落語家を演じることに。逆再生演出が斬新だった『木更津キャッツアイ』の岡田(ぶっさん役)の印象が強かっただけに、二人が主演を飾るのはメインディッシュが二皿テーブルに登場したようなもの。元ヤクザが本気で落語=笑いにぶつかっていく様子は何度見返しても面白い。

そこに岡田が演じた落語一家の息子による、フーテンの寅さんのようなうまくいかない恋もあって、消化不良になりそうなほどの笑いと涙話のミックス。毎週金曜の夜が待ち遠しかった。

日本一いい男の花道が『俺の家の話』で良かった

しばらく二人の名前を聞かないと油断していたら、ドラマ『うぬぼれ刑事(デカ)』(2010年)がスタート。毎回どうしても振られてしまう刑事を長瀬が好演していた。数年間視聴してきたクドカンとの作品の中で、主演の自由度が一番高かった。高すぎたのか、なぜか刑事が白スーツで踊っているシーンが忘れられない。

そして2016年に公開された映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』では、宮藤監督の作品に再度主演。高校軽音楽部顧問で、ロックバンドのリーダー役。音楽と演技とイケメンを一度に消化できるのは、長瀬以外に誰がいただろうか?

何を今さらと言われそうだけど、長瀬はスターだ。もちろんクドカン作品以外にもたくさんの作品に出演を重ねて、バンドのヴォーカルとして歌って……と表現者としての力を見せてきた。そのうえ、今でこそいい男のギャップ要素として受け入れられるようになった“天然”。

どこかで読んだ、風呂で目の下まで湯に浸かっている長瀬を見て、堂本光一(KinKi Kids)が何をしているのかと聞くと「カバの目線で世界を見ている」と言ったのは、事実であってもらいたい。つまり彼は見た目の男っぽさと、可愛らしさを兼ね備えた日本随一のいい男だ。

そんな長瀬とクドカンが一緒に仕事をするようになったのは、エンタメ界にとって自由度をもたらすプチ革命だった。小学校のクラスに転校生がやってきて、最初はお互い気に喰わなかったけれど、何かの弾みで仲良くなってしまう雰囲気に似ている。その名コンビがラストに選んだのは、今夜最終回を迎える『俺の家の話』。二人を見守る担任の先生は、前出の磯山プロデューサーというフォーメーションだろうか。

クドカンが多くの作品で描いてきた家族のこと。日本の伝統芸能・能楽を舞台に不器用な恋愛、面倒臭い女、時事ネタ……が、最善最適に詰まっている。そして毎回、長瀬の花道を作るかのようにクドカンファミリー(と呼びたい)による、豪華俳優陣のゲスト出演も本当に楽しかった。ラストは涙、涙のハッピーエンドでありますように。

本当にこのコンビが見られなくなってしまうのかと思うと、まだ信じがたい。でも長瀬がクリエティブから身を引くわけではないだろうし、違う形で二人の共演が見られることを待っている。その打ち合わせと称して、飲みながら楽しそうに話すふたりの様子が目に浮かぶ。できればそのシチュエーションは麻布十番の個室ではなくて、下北沢の居酒屋のカウンターあたりでお願いしたい。

※掲載したテレビドラマの放送局はすべてTBS系です。

  • 小林久乃

    エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

  • 写真共同通信社

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