福島みずほが明かす、永田町という「超男社会」のヤバイ実態 | FRIDAYデジタル

福島みずほが明かす、永田町という「超男社会」のヤバイ実態

丸川珠代大臣が選択的夫婦別姓に反対せざるを得なかったワケ

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参議院議員会館内の事務所で取材に応じた福島議員
参議院議員会館内の事務所で取材に応じた福島議員

「なぜ丸川さんは選択的夫婦別姓に反対なんですか。明確に答えてください」

3月3日に行われた参議院予算委員会にて、社民党党首・福島みずほ議員の咆哮が国会に響き渡った。

丸川珠代・男女共同参画大臣(五輪相兼任)は実に7度以上に及ぶこの質問に対して、「以前は一議員としての意見を表明しましたが、大臣として、私が賛成、反対を申し述べて議論を誘導することはしたくない」と明言を避けた。それでも食い下がる福島議員に対して、嘲笑する議員も散見された。

男女共同参画大臣が、重要なテーマについての答弁を拒否…その様子は英・BBCを含む多くの海外メディアでも報じられている。あの答弁の背景にあったものとは――。福島議員に聞いた。

重鎮の考えそのもの

選択的夫婦別姓について「なぜ反対なのか」と丸川大臣に繰り返し聞いたのは、議論の場を作りたかったということがあります。そもそも丸川大臣は自民党の埼玉議連に夫婦別姓への反対を促す書面に名前を連ねながら、自身は通称名を使い続けているわけです。まずそこに矛盾がある。

議員は通称名の使用ができますが、民間で働く女性達は、職場によっては名前を変えろ、というところは珍しくないわけです。そういった中で仕事上困っていて、選択肢が欲しいと感じている女性も多い。

大臣としての立場で言及を避けたなら、なぜ反対を強制するような文章を連名で送ることを容認したのか。答弁の中で「丸川は通称だから」と大笑いして中傷するような野次も飛びましたが、ああいった雰囲気こそが一部男性議員のジェンダーに対する意識の現れでもあり、議論を妨げていると憤りを感じました。

今の時代、選択的夫婦別姓について論理的に反対する理由を探すほうが難しい。私はそう思っています。

丸川大臣はその理由について、「家族の一体感が失われる」ということを挙げていましたが、では日本以外の世界の家族は一体感がないのか、という話に繋がりますよね。そして、それは自民党の重鎮達が挙げている理由と全く同じなんですよ。

それが理由なら、選択的夫婦別姓に反対の立場の政治家が「男女共同参画大臣」に適任なのか疑問符がつきますし、以降の後任者にも同じことがいえる。

その反面、時代が変わったなと思うのは、あの発言に関しては多くの方から「丸川さんの発言と行動はおかしよね」という声が聞こえたことです。自民党以外の政党は全て賛成意見が占め、自民党の中でも賛成の人たちがいます。菅義偉総理も反対しておらず、野田聖子幹事長代行は賛成の立場を表明するなど党内でも二分されている。

では、なぜ丸川大臣が反対の立場をとったか。推測するなら、これは永田町のパワーバランスが影響しているという見方もできます。以前ある女性議員が選択的夫婦別姓について、「1人の女性、議員として賛同しますが、支持母体との兼ね合いもあり表立っての賛成は難しい」と話していたこともある。

民間ではアウトなことばかり

永田町というのは、そもそも超がつく男社会。女性議員も一歩引いて振る舞うことで男性幹部から、「愛(う)いやつだ」と可愛がられ、上に行ける(要職に就く)という文化が未だ残っている。世界や民間ではすごいスピードで変化が進んでいるのに対して、本来はその中心であるべき永田町の感覚は、その流れに逆行している。日本で一番古い場所ともいえるかもしれません。

私が議員になった当時と比べて少しずつ変化はしていますが、立法府の動きも遅く、いつまでたっても法改正が進まないわけです。

そして、民間ではアウトであろうパワハラやモラハラもまかり通っている。森喜朗氏の発言なんかはその象徴でもあり、企業の感覚からしたら完全にアウトですから。

私自身は土井たか子さんから党首を引き継いだこともあり、「女性が党首…?」と疑問に持たれる雰囲気もなく、比較的恵まれた環境にあったかもしれません。

それでも、私も各種ハラスメントは経験してきました。

’99年の盗聴法に反対の立場をとっている際に、ある自民党議員から「みずほちゃん、女の子なんだから静かに、大人しくしてなさい」と信じられないような言葉を投げかけられたこともある。なんでそんなことを言うんだ、とあきれました。

部会や会議、委員会等でも、女性だからということで発言の途中で遮られたり、無言の圧力で「黙っていろ」と無意味なマウンティングを取られることは日常茶飯事です。「俺の言うことを黙って聞いとけ」という圧力を感じるのです。

議員に限らず秘書やスタッフ、地方政治の世界にも女性が増え、審議会なんかも30%以上が女性になった。これだけ社会進出が進んだにもかかわらず、そうした文化は残っているのです。それが永田町の現実です。

男性幹部に忖度する生き方ではなく、女性議員こそ時代遅れの政界のジェンダーの意識を変えていかなければいけない。みなさんご自身の志や信念を持って政治の世界に来るはずですが、それを押し殺さざるを得ないのも永田町のリアルなのかもしれません。

あの答弁以降、選択的夫婦別姓の是非がメディア取り上げる機会が増えたと感じています。私自身も事実婚で別姓を選び、子育てを経験し、弁護士時代から30年以上取り組んできたことの討論が頻繁に行われる時代になった。その点については、非常に嬉しく思います。少しずつでもいい。永田町をより良い環境に変えていきたいのです。

  • 取材・文・撮影栗岡史明

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