体長の5倍跳躍!「ジャンプ猫」が見せたキュートすぎる躍動感
猫の身体能力は圧倒的だ。体長の5倍は飛ぶという跳躍力、高いところから落ちても容易に受け身をとれるバランス感覚ーー。動物の生体に詳しい、犬猫シェルター「おーあみ避難所」代表・大網直子氏が語る。
「猫じゃらしで遊ぶと、垂直でも人間の背の高さまで軽くジャンプします。後ろ足の筋肉が発達しているから、2mぐらいの壁を乗り越えるのはお手の物。脚力が本当に強い。走る速さは時速20〜30kmになるんです。同じ猫化のチーターは、高速道路を走る車と同じ時速110km以上で走ると言われています」
その卓越した猫の跳躍を、写真に収めたカメラマンがいる。普段はプロ野球やメジャーリーグを取材する、写真家の繁昌良司氏だ。繁昌氏は、九州の島々でジャンプする猫の撮影をライフワークにしてきた。スポーツカメラマンだからキャッチできた、猫の感動の躍動感は関連画像でご覧いただきたい。
繁昌氏が語る。
「猫の跳躍に着目したのは、7年ほど前に米国の報道チャンネル『CNN』が福岡県の相島を『世界5大猫スポット』の一つに認定したのがキッカケです。私は九州の出身ですから。
興味本位で現地に行くと、たまたまバッタを捕まえようとする猫の美しい跳躍の瞬間が撮れました。よく目にする猫の写真といえば、寝ている姿など落ち着いて静かなモノが多い。しかし飛んでいる猫から受ける印象は、まるで違いました。スポーツカメラマンとして、アスリートのような猫の跳躍力にアッという間に魅了されてしまったんです」
想像を超える躍動
スポーツカメラマンといえど、猫が飛ぶ瞬間をうまく撮影できるシャッターチャンスはそうない。撮影を始めた当初は、機会に恵まれなかった。
「何回か島に通い、だんだん猫の習性が分かり、飛んでる姿を撮れるようになりました。でも超高速シャッターでないと、決定的な瞬間は撮影できません。野球のバッティングより、設定は高速にしています。
島の猫は想像を超えた躍動をするんですよ。3mくらいある屋根の上から突然飛び降りたり、テトラポッドから1m以上高い防波堤に飛んだりと。予想外の動きを写真におさめるのも、猫撮影の魅力の一つです」
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、以前に比べると島を訪れる回数は減ったという。だが想像を超える跳躍のとりことなったスポーツカメラマンの情熱が、衰えることはない。繁昌氏は、限られたチャンスを見つけては猫の多い九州の島々を巡回。素晴らしいジャンプを見せる野生の猫を探している。
撮影:繁昌良司
はんじょう・りょうじ '61年、鹿児島県生まれ。週刊誌を中心に活躍。ソフトバンクホークスの選手など主にアスリートを撮影。主な作品に『城島健司 解体心書』『川﨑宗則写真集』など。