阪神タイガース佐藤輝明 「史上最強ルーキー」ホントの実力
プロ野球開幕!新人ながらオープン戦でホームラン王を獲得 、トラ党の期待を背負って鮮烈デビュー!
もう打たないで! シーズンにとっておいてくれ――30年以上も〝バース2世〟や〝掛布2世〟をつかまされ続け、すっかり悲観的になったトラ党のホンネである。それぐらい、ドラフト1位ルーキーの佐藤輝明(22)は打ちまくった。本塁打はオープン戦キングとなる6本。これはドラフト制導入後の新人最多記録だ。打率も3割を超え、チームのオープン戦Vに大きく貢献した。
写真は怪物ルーキーの関東初上陸となった対ヤクルト戦(3月16日)、対西武戦(3月17日)の際の一コマだ。
どちらの試合でもホームランをかっ飛ばした佐藤。宿舎入りの際は出待ちのファンが大歓声で迎えたが、気圧(けお)されることなく静かに一礼。何十年もプロでメシを食っているベテランのような対応を見せたのだが――そこはあくまでも新人。緊急事態宣言下のわずかな自由時間を先輩たちが外食に充てる中、彼が向かったのは近所のコンビニだった。
「同期入団の中野拓夢(たくむ)(24)らしき選手と、おでんやお菓子を買っていたようです。佐藤選手はとにかく首が太く、お尻がデカい。最初はプロレスラーが来たかと思いました」(居合わせた客)
野球評論家の斉藤和巳氏も「まずは佐藤の身体の大きさ、スイングの強さに目を奪われた」と言う。
「打った瞬間、ホームランだとわかる打球を逆方向に飛ばせる選手はプロでも数えるほどしかいません。練習で飛ばす人はたくさんいますよ。打撃投手は打ちやすいボールを投げてくれますからね。ところが佐藤は試合でも飛ばせる。相手投手が崩しにかかってきても、自分のスイングができる。荒々しく見えますが、バットに当てる技術も高い」
そう褒(ほ)めつつ、沢村賞に2度輝いた斉藤氏は佐藤の弱点も見抜いていた。
「上背があって腕が長く構えが高いから、インハイを攻められると窮屈そうですね。和田(毅・ソフトバンク)と対戦したときも、ボール球を振らされていた。ただ、神宮では高めの球をホームランしている。カウントによって狙い球を絞るなど、いろいろ試していたのかもしれない。だとすれば末恐ろしい打者ですよ」
阪神OBの桧山進次郎氏は「浜風と友達になれる唯一の左打者」と激賞する。
「佐藤の特性は逆方向に120〜130mも飛ばせること。右打者が引っ張ったような本塁打が打てる。僕の野球人生でそんな左打者は初めてですよ。甲子園の浜風はライト方向の打球は押し戻しますが、レフト方向の打球には追い風になる。佐藤にとってプラスに働く。20本は打つと思います。そこからどれだけ伸ばせるか」
公式戦でもキングとなれるか!?

『FRIDAY』2021年4月9日号より
撮影:香川貴宏(2枚目)