金与正が韓国罵倒の裏で…北朝鮮がコロナ制御不能のヤバい現状

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米艦への罵倒を繰り返す金与正氏。国内問題の深刻化の裏返しか。19年3月撮影(画像:ロイター/アフロ)

「厚かましさの極み」

「米国に飼われたオウム」

3月30日、北朝鮮の金与正・党宣伝扇動部副部長が韓国の文在寅大統領を罵倒した。自国のミサイル発射実験を批判した文氏に、反論したのだ。与正氏は3月16日にも、軍事演習を行う米韓両国を「侵略的戦争実演を強行している」「(米国バイデン新大統領の任期)4年間安眠したいなら黙っていろ」と厳しく非難。強気の姿勢を続けている。

だが、かたくなな態度の裏には、深刻な国内問題から人民の目をそらす狙いがあるという。

「新型コロナ対策が、崩壊寸前なんです。打つ手ナシの状態。国内では、不満が日に日に高まっているとか。なんとか不満の矛先を、外に向かわせたいのでしょう」(韓国紙記者)

感染疑惑者の隔離は8万人以上

北朝鮮は、これまで新型コロナの国内感染をいっさい認めてこなかった。だが、真実は違うようだ。韓国のネット新聞『デイリーNK』によると、昨年11月時点で感染の疑いで隔離された民間人は累計8万1000人。朝鮮人民軍の収容施設へ移送されたのは、5万4620人にのぼるという。『デイリーNKジャパン』編集長・高英起氏が語る。

「感染拡大を恐れ、北朝鮮各地では封鎖令(ロックダウン)が続いていました。しかし満足な配給も仕事もない地方では、餓死者が続出。北部・新義州郊外の朔州(サクチュ)では住民の不満が高まり、予定より10日早い3月14日に外出禁止令が解除されたんです。

当局は、地方に対し少しずつ食料を集め、高齢者や貧しい人々に与えるよう指示を出しています。公助ではなく、共助、自助で乗り入れということです。しかし満足な仕事もないのに、自力で厳しい状況を克服するのはムリがあります。1日1食の食事すらまともにできない『絶糧世帯』が、続出しているんです。ロックダウンの『解除』というより、市民の生活の『崩壊』に近いと思います」

さらに絶望的なのが、ロックダウン「解除」後の見通しだ。WHO(世界保健機構)平壌所長のエドウィン・サルバドール氏は、米国のラジオ『フリー・アジア』の取材に応え、「3月11日から18日の間に1506件の検査をしたが感染者はいなかった」と前置きしつつ、こう話している。

「医薬品、検査試薬などWHOの物品が中国で足止めされている」

北朝鮮は20年の新型コロナ感染拡大当初から、中国との国境を閉鎖している。そのためPCR検査装置、医療用酸素濃縮器、酸素飽和測定器、人口呼吸器などが輸送されることなく、中国で山積みになっているという。つまりロックダウンを解除し感染者が増加しても、北朝鮮では対応しようがないのだ。

「経済制裁による不況と、新型コロナによる困窮で八方ふさがりの状態です。打つ手が、まったくありません。北朝鮮がコロナの惨状を公にすればWHOも中国以外のルートを使って援助するでしょうが、建前上『感染者はいない』としているので、手の出しようがない。苦境にあるのに『問題ない』と意地をはる。矛盾しているんですよ。

金正恩氏としては、首都・平壌での感染拡大を抑えられれば良しとの考えでしょう。地方は切り捨てられているのと、同じ状態です。手がまわらないから、自分たちでなんとかしろと」(高氏)

国内の不満が高まれば高まるほど、上層部は市民の目を外に向けようと韓国に対しより強硬な姿勢をとるだろう。文在寅大統領を罵倒し続ける金与正氏の言葉の激しさの裏には、北朝鮮の焦りが隠されている。

  • 写真ロイター/アフロ

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