永田町に突然流れた「菅総理・4月解散説」その深層 | FRIDAYデジタル

永田町に突然流れた「菅総理・4月解散説」その深層

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3月29日、菅義偉首相が安倍晋三前首相の議員会館事務所を訪ね、約50分の面会を行ったことが波紋を呼んでいる。現首相が、前首相と50分にもわたって密談をしたのだ。それが重要課題でないわけがない。

「解散を渋る菅さんに安倍さんが早期解散を説いた」

そんな噂が即座に永田町に出回ったのは当然のこと。実際、この会談直後に「デジタル庁法案を成立させ、直後の4月末解散」との趣旨の「文書」が永田町で出回ったのだ。

そこには、解散に向けた「日程想定」として、以下の文章が添えられていた。

<4月中にデジタル庁法成立させ、28日(水)or30日(金)に衆議院解散 5月11日(火)公示、23日(日)投開票 6月2日(水)特別国会召集、首班指名、組閣 18日(金)衆参本会議※所信演説、21日(月)衆本会議※代表質問、22日(火)参本会議※代表質問、衆本会議※代表質問 23日(水)参本会議※代表質問、沖縄慰霊の日 25日(金)都議選告示7月4日(日)都議選 23日(金)オリンピック開幕>

あまりに具体的な日程が書いてあったため、それなりの説得力をもつものとして受け止められたのだ。

事実、3月上旬あたりから「4月に解散、GW開けにも総選挙」との噂は流れていた。菅総理の側近と呼ばれる自民党国会対策委員長の森山裕氏が「総理は支持率なんか気にしない。躊躇せずに解散カードを切る」と、番記者らにオフレコで「早期解散あり」と煽っていたからだ。

森山氏が3月18日収録のCS番組でも「首相の性格からして、国民に信を問わなければならないことが起きれば、躊躇なく(解散を)やるだろう」と表でも解散を匂わせる発言を流したことも手伝い、永田町は「解散一色」となったのだ。

「就任直後7割もの支持を集めた菅政権は、コロナ対策で後手にまわり一時は支持率の下落が続いた。しかし、3月の世論調査では40%前半まで持ち直した。

自民党内には中選挙区の時代から『内閣支持率3割以上、与党第一党と野党第一党の差が倍以上を維持していれば選挙で過半数は取れる』という言い伝えがある。現状、各社の支持率調査でも自民党40%前半、立憲民主党10%前半で、4倍近い開きがある。国民が枝野・野党政権を待望していないなか、『いまなら勝てる』と打って出る事はあろだろう。

また『政局の主導権は首相にあるんだ』と解散カードをちらつかせることで、求心力を保つ意味もある」(自民党ベテラン参議院議員)

いつでも解散できるようにするためか、支持率回復のための演出も余念がない。3月16日、国際医療研究センターで菅首相自らワクチンを接種するなどコロナ対策を「やってる感」を出し続けている。

最も強力なのが、4月16日にワシントンを訪問し、菅総理にとって初となる日米首脳会談が開催されることだ。

「もともとの訪米は4月9日前後の予定だったが、日程が一週間ズレ込んだ。バイデン大統領から菅首相への『お土産』の調整ができなかったからと言われています。お土産とは、東京大会にアメリカから選手団を派遣することの確約。アメリカが参加OKとなれば五輪開催にはずみが付き、国内の機運も高まる。支持率アップにつながる、またとないプレゼントです」(官邸スタッフ)

訪米のスケジュールがずれたことから、「さすがに4月末解散はないだろう」との見方が強まっているようだが、一寸先は闇の政界。何が起こるかは、総理以外にはわからない。

こんな話もある。さかのぼること3月上旬、衆参議員会館の自民党所属の議員事務所のポストにA4判の「怪文書」が投げこまれた。

宛名が「自民党国会議員各位」となっているこの怪文書、「総選挙前に党則第6条1項(総裁公選規範)に基づく総裁選の実施を求める会」名義で「衆議院議員は、今年の10月21日に任期満了を迎えるため、今年中に総選挙が行われることとなります。また自民党総裁も9月30日で任期満了となります」と綴られたうえで、総裁選から解散総選挙への日程もこう触れていた。

「9月7日:自民党総裁選挙告示、9月20日:同選挙投開票(中略)。9月27日:衆院解散、10月12日:衆議院選挙投開票日、24日:衆議院議員選挙投開票日」

こちらは「東京五輪後」の選挙を想定しているが、文面から考えると、いわんとしているのは「五輪が終わったあとで菅に代わる人物を首相に担ぎ、新たな総裁のもとで解散」ということだ。おそらく、菅おろしを画策する勢力がばらまいたものではないか…とみられている。

「彼らは、東京五輪を強行開催することでコロナがさらに蔓延し、菅政権の支持率が下がるとみている。その時が総裁選で新たな『自民党の顔を選ぶチャンスとなる』と考えているのでしょう。新総裁になればご祝儀相場で支持率は高くなるから、そこで解散すれば勝てるという目論見でしょうね」(前述の参議院議員)

逆説的だが、この怪文書がまた「4月解散」の憶測を高めることになっているのだ。

「菅さんも、自分が総理でいることを快く思わない勢力がいることぐらいはわかっている。彼らの思惑を潰すにはしっかりとしたコロナ対策をすることがもっとも重要だが、日本国内にはまだワクチンが十分に行きわたっていない。その状態で五輪を強行すれば、東京の新規感染者数が一日数千人単位となる可能性だってある。天災のはずのコロナが人災となれば、政権批判へと繋がる。

ならば、東京の感染者がまだ一日数百人でとどまっているいまのうちに主導権を握り解散し、勝って長期政権の礎を築こうと考えているのでは…ということです」(同)

3月第4週の末に、自民党が独自で選挙情勢調査を行ったところ、「270議席獲得」との結果が出た…との情報もある。いよいよ早期解散に弾みがついた、ということだ。

解散権を行使できるのは首相のみ。菅総理はどんな決断を下すのか。

ただし、多くの国民がいまの政治に求めていることは、盤石なコロナ対策である。権力闘争のはての解散・総選挙で新規感染者が増える、あるいは対策がおろそかになるようなことは誰も望んでもいないことを、聡明な菅総理ならお判りだとはおもうが…。

  • 取材・文岩崎大輔撮影AFLO

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