神戸「橋封鎖」問題で住民衝突…!所有者が絶対に譲らないワケ

市は介入できず…… 約30軒が並ぶ住宅地に続く唯一の出入り口が突然通行不能に 1200万円での買い取りか通行料月2万円を迫られ真っ向から対立

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バリケードの撤去がなされる前の橋の様子。現在はクルマ一台がやっと通れるほどのスペースが設けられている

六甲山を望む風光明媚な田舎町、神戸市北区山田町。この町を流れる天王谷川にかかる1本の橋が、いま、大きな話題を集めている。

名前もないその橋は、約30軒が並ぶ住宅地からの唯一の出入り口。そんな重要な橋に突如、鉄パイプや土のうによるバリケードが築かれたのは’19年の年の瀬のことだった。以来、約8度にわたって橋は封鎖と解除が繰り返されてきた。だが、橋の所有者と住民との間のトラブルはますますこじれるばかりだ。

なぜ、橋封鎖問題は解決しないのか。まずは、所有者の言い分。所有者は住宅地を見下ろす小高い丘に居を構えている。

「僕が4年ほど前に土地を買ったとき、橋も一緒についてきたんですわ。橋の購入費用は1200万円。で、’19年4月に橋についている水道管が破裂した。応急処置したけど、いつまた破裂するかわからない。できてから50年も経っている橋やから他にも老朽化している箇所がある。橋を神戸市に移管すれば今後、修理費はかからないので、橋の購入費用1200万円を30軒で割り勘して僕に支払ってほしい、と住民に提案しました」

支払えない場合、自動車2万円、小型オートバイ5000円の月額通行料を取るという代案も提示したという。

「4回も5回も説明会を開いて、(橋購入の)契約書も見せました。でも、住民たちは契約書が偽造じゃないかと言い出した。アホちゃうかと。それで橋を封鎖した。橋で事故が起きれば所有者の責任になる。他人の命と自分の財産を守るためにバリケードしたんです。もう一円もお金はいらないから、橋を通らないでほしい。解決はもうないでしょう」

一方、所有者のこの主張に、住民側は真っ向から反論する。住民たちのまとめ役を務める女性が憤(いきどお)る。

「私たちからしたら全部ウソなんですよ。そもそも橋の所有権を言い出したのは、’19年4月に水道管が破裂した後。それまでは自分が所有していることを知らなかったんでしょう。出してきた橋の売買契約書もまったく信用できない。

こんな橋、前の所有者から1200万円で買うなんておかしいじゃないですか。老朽化の主張だって、自己診断で何の根拠もない。所有者はお金が欲しいから住民に難癖をつけているだけに見える」

この女性もきっぱりと、解決法はないと言い切った。

「所有者は裁判を起こしたらいい。裁判になれば、向こうが橋購入の証拠を出さなきゃいけないですから」

神戸市道路管理課の担当者は、「有償でこの橋を買い取ることは難しい」と、回答。いよいよ八方塞(ふさ)がりか。不動産トラブルに詳しい弁護士法人・響の古藤由佳弁護士に聞いた。

「基本的には行政の助けを借りるしかないでしょう。橋の『買い取り』はできずとも、『修繕費』というような形で所有者を援助し、橋を市に移管してもらうという方法も考えられます。仮に裁判になった場合でも、裁判所は明確な判断を避けるはずです。住民側の主張を認めれば他人の土地を勝手に通行していいというお墨付きを与えることになる。『通行料を支払え』という判決を出せば、地上げ屋などが各地で通行に障害が出る細かな土地の買い占めを行い、所有権を主張する恐れもありますから。

このため、裁判所は妥当な通行料を定めるなど、判決を出さず和解で決着をさせようとするはずです。ただそうなると、ずっと通行料を払わされる住民は気の毒ですから、やはり行政が介入するのが一番だと思いますね」

1本の橋が生んだ所有者と住民の深すぎる溝が、埋まる日は来るのだろうか。

売買契約書を見せながら取材に応じる橋の所有者。’17年に土地を取得した際に橋も1200万円で購入したという
橋のバリケードの張り紙には「維持管理費等のご協力を得れない為、住民の皆様の安全を確保する」とある

「FRIDAY」2021年4月16日号より

  • 撮影加藤 慶

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