社長退任の大塚家具、買収の大戸屋…話題企業「その後の調子」

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大塚家具の社長から退任した久美子氏。外部から同社をサポートする予定だったが現在はコンサルティング会社を経営している(15年撮影)

突然の社長退任劇、敵対的買収、劇的な業態転換……。

話題となった企業は、現在どんな経営状態にあるのだろうか。代表的なのが以下の3社だろう。オーナー一族の社長退任が突然発表された大塚家具、コロワイドに買収され従来の役員11人中10人が解任された大戸屋、居酒屋から焼肉への大きな方針転換を果たしたワタミ。各企業の騒動後の業績と展望を追ったーー。

その美貌から「家具屋姫」と言われた大塚久美子氏(53)が、大塚家具の社長を退任したのは昨年12月だ。オーナー家族がトップから下りたことは、世間に少なからず衝撃を与えた。家電量販店のヤマダデンキが、19年12月に大塚家具を子会社化。以後も久美子氏は社長であり続けたが、業績が改善することはなかった。経済ジャーナリスとの松崎隆司氏が解説する。

「20年第3四半期の最終利益は約30億6000万円のマイナスで、ここ数年は赤字が続いていました。ニッチもサッチもいかない状況だったんです。

苦境にあった原因は二つあります。一つは父・勝久氏とのお家騒動で、ブランドイメージを毀損したこと。高級品を扱う大塚家具にとっては、致命的なダメージです。二つ目が従業員のモチベーション低下。業績悪化による相次ぐリストラにもかかわらず、高い目標達成を求められ現場の社員の士気は下がっていました」

久美子氏の退任後、大塚家具はヤマダホールディングス社長の三嶋恒夫氏が社長と会長を兼務している。肝心の業績は……。21年第3四半期の結果は以下の通り。売上高は199億8400万円ほどで、最終利益は約20億5000万円の赤字。マイナスではあるが、前年同時期に比べると赤字幅が大幅に減り、売上高は14年以来7年ぶりに増収に転じている。復調の兆しが見えるのは、なぜだろうか。前出の松崎氏が語る。

「ヤマダデンキは『暮らしまるごと』を提唱し、家電だけでなくインテリアや家具も販売しています。ヤマダデンキ店舗内での、家具販売が堅調なんです。社員の交流も進み、風通しもだいぶ良くなったとか。

ヤマダの傘下になる前から、大塚家具は中価格帯への移行を進めていましたが、依然として高級なイメージがありました。リーズナブルな品物が多いヤマダデンキへの子会社化は、そうしたイメージの払拭にも効果があったと思います。来季は黒字への改善も可能でしょう」

割高感の払拭への高いハードル

コロワイドが買収後も不振の続く大戸屋。価格を下げるなど経営努力はなされているが……

外食産業統括企業コロワイドが定食チェーン大戸屋へ行っていた、公開株式買い付け(TOB)が成立したのは20年9月。大戸屋の社員の多くが経営方針の違いなどから激しく反発していたが、コロワイドの傘下となった。だが生まれ変わった大戸屋は、21年第3四半期で約50億1000万円と巨額の赤字に苦しんでいる(純損益)。

「新型コロナウイルスの影響が大きく、売上高は同期前年比で35%ほど減少しています。コロワイドに優先株を発行して資金調達する見込みですが、厳しい状況です。

企業努力は続けています。大戸屋従来の各店舗で加工調理するやり方から、一括して素材を工場から送るセントラルキッチン方式へ徐々に変更しコストを削減。『大戸屋ランチ定食』は790円から740円に、『さばの炭火焼き定食』は890円から840円と、それぞれ50円値下げしました。定番の『豚の生姜焼き定食』は、890円から790円と100円も価格を下げたんです。ただ、ライバル『やよい軒』の『しょうが焼定食』は640円なうえ、ご飯がおかわり自由。割高感の払拭には成功していません」(松崎氏)

配膳ロボット導入でコストカット

東京・大田区の「焼肉の和民」1号店。コストカットや新型コロナ対応から客入りは上々だ

外食チェーンのワタミが、思い切った改革を発表したのは昨年10月のこと。22年3月までに既存の居酒屋120店舗を、焼肉店「焼肉の和民」に転換。今後5年間で、400店出店するというのだ。同社の主力ブランド、居酒屋「和民」は消滅することになる。新型コロナの影響で、居酒屋業界の売上が同年8月期で前年比約42%まで落ち込んでいたことが大きな要因だ。

「焼肉業界は、同月期で前年比約86%と比較的新型コロナの影響が小さかった。しかも焼肉なら、店は食材を提供するだけで肉を焼くのは客です。実質的なセルフサービスで、人件費削減になります。

居酒屋に比べ客単価も高く、夜だけでなく昼も営業できるというメリットもあるんでしょう。ワタミは昨年6月、ファミリー向け焼肉食べ放題店『かみむら牧場』をオープンしました。これが好評で、手応えを感じたんでしょう。転換する居酒屋『和民』の多くが駅前という好立地も、プラスに働くと思います」(松崎氏)

ワタミ全体としては、21年第3四半期の純利益は約85億円のマイナスだ。だが、焼肉部門は好調のようだ。

「東京・大田区に出した『焼肉の和民』1号店は、居酒屋形態だった前年と比べ売上が283%と急増しているんです。配膳ロボット導入などで、コストカットにも尽力。新入生や新社会人のために始めた、次回以降の来店時に使える『半額チケットバックキャンペーン』も好評だとか」(松崎氏)

企業は時代の流れに合わせ、常に変化を求められる。舵取りを誤れば、凋落はあっという間。話題となった前出の3社は、一度はまったぬかるみから抜け出そうと、必死の経営努力を続けている。

  • 撮影蓮尾真司

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