閉館した犬吠埼マリンパークに取り残されたイルカとペンギンの悲劇 | FRIDAYデジタル

閉館した犬吠埼マリンパークに取り残されたイルカとペンギンの悲劇

いまだに水族館には約500匹の生き物がいる。毎月50万円のエサ代を出しているのは誰?

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飼育員が魚を与えているフンボルトペンギンは絶滅危惧種で、売買には環境大臣の許可が必要

誰一人客のいない閑散とした水族館で、魚をペンギンたちに与える男性。彼が現れるとペンギンはバタバタと3列に整列し、「グエッ」と鳴き声をあげながらエサをねだった――。

施設の老朽化により、水族館「犬吠埼(いぬぼうさき)マリンパーク」(千葉県銚子市)が閉館してから7ヵ月。現在、マリンパークには、イルカ1頭にペンギン46羽、約40種類の魚など500匹ほどの動物が取り残されている。いまも動物たちの引き取り先は決まらず、銚子市には彼らの行く末を心配する声が全国から寄せられているという。

「市には『何とかしてあげて』という手紙やメールが1500件近く届いていますが、民間企業を巡る話なので、市としても静観するしかない状況です」(銚子市役所・秘書広報課)

だが、動物たちの行く先もさることながら、それ以上に気になるナゾが一つ。閉館から7ヵ月もの間、世話しているのは誰なのか、ということだ。

事情をよく知るマリンパーク近くの飲食店経営者が語る。この経営者はマリンパークの社長と親交が深く、最近も電話で連絡を取りあっているという。

「現在、エサやりや清掃を続けている4〜5人の従業員は、マリンパークの社長さんの親族です。親族なので、人件費はかからないそうです」

では、エサ代はどうしているのか。「イルカ1頭とペンギン46羽で月々35万円くらいはかかる」(動物園「ⅰZoo(イズー)」園長の白輪剛史氏)というから、他の生き物と合わせれば月50万円は下らないはずだ。それに加えて、光熱費は少なくとも月100万円はかかっていると見られ、月々のランニングコストは約150万円となる。

「水族館隣にある『犬吠埼ホテル』にペンギンを貸し出して得るリース料で、コストの一部を賄っています。あとは社長のポケットマネーで凌いでいるんだと思います」(水族館関係者)

しかし、この調子でいけば、いずれ資金が底をつくのは目に見えている。イルカたちの引き取り手が見つかる見込みはあるのか。本誌は、水族館でペンギンにエサを与えていた冒頭の男性を直撃。だが男性は、「すみません、私の口からは何も話せないんですが、動物たちは元気なので心配しないで」と力なく語るのみ。社長にも話を聞こうと声をかけたが、取材に応じる様子は一切なかった。

動物保護団体PEACE代表の東さちこ氏は言う。

「2人の飼育員で500匹の動物たちをすべて見ていると保健所から聞いています。営業していない中で、本当に面倒を見きれているのか心配しています」

一刻も早く、動物たちの譲渡先が決まればいいのだが……。

「犬吠埼マリンパーク」は’54年に開館。かつてはイルカショーが人気を博した

イルカとコミュニケーションをとる飼育員。別の水族館に売却する際は、50万〜80万円程度で取引される

撮影:結束武郎(ペンギン、犬吠埼マリンパーク外観)、佐藤榮記(イルカ)

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