渋谷区の一等地にそびえる超高級タワマンで「欠陥住宅騒動」発生 | FRIDAYデジタル

渋谷区の一等地にそびえる超高級タワマンで「欠陥住宅騒動」発生

売り主が買い戻し&改修へ。「機械式駐車場の誤作動」「耐火構造に不備」「隣室の物音がうるさい」など住民からクレームが……

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本誌の取材に答えるタワマン住人。調査会社による報告書を提示され、住友不動産は施工不備を概ね認めた
本誌の取材に答えるタワマン住人。調査会社による報告書を提示され、住友不動産は施工不備を概ね認めた

「おかしいなと感じ始めたきっかけは、地下2階の機械式駐車場が何度か動かなくなったこと。他にもトイレの水を流すと蛇口の水圧が弱まったり、隣の住戸の電子レンジの『チン』という音が聞こえてきたりしたこともありました。”億ション”でこの有り様とは信じられません」

本誌の取材に答えた住人の一人は溜め息をつきながらこう語る。

今、都内にそびえる高級タワーマンションで「欠陥住宅騒動」が起こっている。騒動の舞台は、’19年3月に竣工した渋谷区内のマンション。大手デベロッパーの住友不動産が販売、準大手ゼネコンの西松建設が施工を担当した高級物件で、戸数は310戸、価格は9780万~2億6000万円だ。冒頭の住人が続ける。

「多くの住人が違和感を覚え、’20年の春先には住人からなる管理組合が売り主の住友不動産に問い合わせを開始しました。しかし早急な対応は得られず、業を煮やした管理組合は独自に第三者検査機関へ建物の調査を依頼したのです」

そう言って住人が差し出したのは、「建物調査報告書」(3枚目写真)。第三者機関による調査結果が92頁にわたって記されているこの報告書は、当該マンションの重大な施行不備を明らかにしていた。

「発覚した問題は大きく二つ。一つは地下2階の機械式駐車場の壁が二重壁でなく、湿気に対する構造上の対策が取られていないこと。これによって駐車場内に湿気がこもり、誤作動を頻繁に起こすようになっていたのです。もう一つは、各住戸間に設置されるべき耐火構造壁の欠落。これは火災の際に延焼を起こす原因になります。どちらも建築基準法への違反が疑われる欠陥です」(前出の住人)

’20年11月、管理組合がこの報告書を送付したところ、住友不動産は「品質に関して契約内容に適合していないものがある」と認め、謝罪。今年2月に追加の調査を行い、補修の方針を決定した(写真4枚目)。住友不動産側が提示した方針は大きく以下の通りである。

〇住戸専有部、建物共用部ともに追加補修工事や改善工事を行う。
〇工事中の仮住まい費用として、当該マンションの賃料相当額を支払う。
〇慰謝料を支払う。
〇希望者には、当初販売価格+当初販売価格の1割相当額で買い取りを行う。

一見、何ら問題のない対応のようにも思えるが、一部の購入者は今でも納得していないという。事情を知る大手デベロッパー関係者はこう語る。

「ここ数年、JR山手線内の都心一等地に建つタワマンの価格相場は上がり続けています。今、売り出し価格と同額で同条件の部屋を買うことはまず不可能。例えば、’19年の売り出し当初に約1億5000万円でこのマンションを購入した場合、本来なら現時点で価格が2割ほど上がっている予定でした。補修しますと言われても、資産価値が下がっては購入者も引き下がれないでしょう」

冒頭の住人も、「誰もが知る大企業の”億ション”を購入して、まさか仮住まいを強いられるとは思いませんでしたよ」と、住友不動産への不信感をもらした。

問題はさらに波及しそうだ。住友不動産と西松建設が手がける他のマンションでも、同様のトラブルが発生しているというのだ。

「もし他のマンションでも施工不備が認められれば、住友不動産と西松建設の賠償額はさらに膨らむでしょう。今年に入り、一部住人の要請を受けた東京都が詳しい事情を聞くために両社の担当者を呼び出したという話もあり、問題は拡大しそうです」(前出・デベロッパー関係者)

一連の状況について本誌が質問状を送ると、住友不動産からは「お客様の個人財産に関する質問は当社からコメントできません」、西松建設からは「ご購入の皆様並びにご入居の皆様の個人財産に関わるご質問につきましては、当社からコメントはできません」との回答があった。

今回のような欠陥タワマン騒動が起きる要因について、住宅ジャーナリストの榊淳司氏はこう解説する。

「西松建設は土木系に強いものの、タワマンの建設実績はあまりなく、不慣れだったのかもしれません。大手デベロッパーが手がける高級物件でも欠陥が生じることはあるので、新築マンションの購入には、どうしてもリスクが伴います」

管理組合は住友不動産側が提示した方針に納得せず、さらに争う姿勢を見せているという。

タワマンの管理組合が依頼した第三者機関による調査報告書。耐火構造、防音、地下駐車場の構造などの欠陥を指摘
タワマンの管理組合が依頼した第三者機関による調査報告書。耐火構造、防音、地下駐車場の構造などの欠陥を指摘
住友不動産がタワマン管理組合に提示した補修等の方針の一部。慰謝料や仮住まい費用を支払い、希望者には買い取りを行うことを提案
住友不動産がタワマン管理組合に提示した補修等の方針の一部。慰謝料や仮住まい費用を支払い、希望者には買い取りを行うことを提案

『FRIDAY』2021年4月16日号より

  • 撮影結束武郎(1,3枚目)

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