瀕死の文在寅政権 北朝鮮の東京五輪欠場で頓挫「起死回生の一手」 | FRIDAYデジタル

瀕死の文在寅政権 北朝鮮の東京五輪欠場で頓挫「起死回生の一手」

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18年9月の南北首脳会談で朝鮮半島の図柄をバックに手を掲げあう文在寅氏(左)と金正恩氏。当時の信頼関係は崩れつつある(画像:KNS/KCNA/AFP/アフロ)
18年9月の南北首脳会談で朝鮮半島の図柄をバックに手を掲げあう文在寅氏(左)と金正恩氏。当時の信頼関係は崩れつつある(画像:KNS/KCNA/AFP/アフロ)

「我々が間違っていた。もう一度、もう一度だけチャンスを与えてほしい!」

韓国の与党「共に民主党」の党代表職務代行・金太年氏は、4月1日に開かれた記者会見で、頭を深々と下げ国民に謝罪した。

4月7日に投開票が行われる首都ソウル市長選で、文在寅政権が窮地に立たされている。2日に発表された複数の世論調査で、野党統一候補の呉世勲(オ・セフン)氏が与党の朴映宣(パク・ヨンソン)候補を支持率で最大25%リード。文在寅大統領の支持率は32%と、過去最低を更新した。『コリア・レポート』編集長の辺真一氏が解説する。

「朴氏に、ほぼ勝ち目はありません。問題は負け方です。大敗なら、来年3月に行われる大統領選挙でも与党はかなり厳しい戦いを強いられるでしょう。惜敗なら、体制を立てなおす可能性がある。ソウル市民が文政権に『少しお灸をすえよう』と考えているのか、三行半を突きつけるのかがポイントになります」

与党に勝ち目がないのは、マイナス要素があまりにも多いからだ。そもそも市長選が行われること自体、想定外だった。

「与党系の前市長の自死がキッカケです。昨年7月に元秘書の女性が、4年間にわたり前市長からセクハラを受けていたと告発。直後に前市長は、自ら命を絶ちました。

市民の反感を買ったのが、その後の与党の対応です。前市長の自死を理由に、追及をうやむやに。さらに負のイメージをやわらげるため、告発した女性を『被害者』と呼ばず『被害を訴える人』とする戦略をとります。女性の訴えが、『市長を死に追いやった』と主張したんです。こうした対応が、世論の大きな反発を受けました」(韓国紙記者)

文大統領親族の重大疑惑

加えて文政権への非難が高まっている要因が、不動産不正疑惑だ。韓国の人口約5200万人のうち、半数ほどがソウルと近郊に集中している。そのため不動産価格が上昇。文大統領は価格高騰を抑えるために、ソウル周辺に新都市を建設する計画を18年9月と20年5月に発表した。ところが……。

「計画が発表される前に、担当する政府系機関の『韓国土地住宅公社』(LH)の職員13人が、当該地区の土地を購入していたことがわかったんです。インサイダー情報により、価格上昇をみこし土地を安く買っていたんですよ。文大統領は慌てて捜査に乗り出しましたが、追加で判明した不正職員はわずか7人。国民の批判を受け、LH幹部2人が命を絶つ事態になりました」(同前)

疑惑は、文氏の親族にまでおよぶ。

「文大統領の義理の弟も当該地区の土地を買い、LHから47億ウォン(約4億7000万円)の利益を得ていたことが発覚。さらに文大統領の娘は、19年5月に購入した土地を1年半ほどで売却し、1億4000ウォン(約1400万円)の売却益を出していたことも明らかになったんです。あいつぐ疑惑のオンパレードで、文政権に対する国民の信頼は下がる一方です。ソウル市長選で与党候補が勝つ見込みは、ほぼないでしょう」(ソウル在住ライター)

文政権も手をこまねいているだけではない。支持率回復に望みをかける、起死回生の一手がある。18年9月の南北首脳会談で合意し、今年4月1日に国際オリンピック委員会へ提出した「2032年五輪の南北共同招致提案書」だ。夏の五輪は、北朝鮮と韓国で開催しようというモノ。だが4月6日に北朝鮮が突然、東京五輪への不参加を表明したことで、この目玉政策は水泡に帰した……。前出の辺氏が語る。

「文大統領は、東京五輪開会式で南北同時入場を果たし、18年2月に行われた平昌五輪の再現を目論んでいたでしょう。指導者の金正恩氏か妹・与正氏と会談し、32年の五輪開催への足がかりにしたいと。しかし北朝鮮が世界にさきがけ東京五輪不参加を表明したことで、可能性はゼロになりました。

金正恩氏は文政権に見切りをつけたのでしょう。文大統領は、18年の南北首脳会談で決めた開城(ケソン)工業地帯や観光事業の正常化などの合意事項を、なにひとつ実行していない。さらに今年1月に金正恩氏は、『3年前の状態に戻したいのなら米韓軍事演習は止めろ』とメッセージしました。にもかかわらず文大統領は演習を強行。信頼関係が完全に失われ、文大統領は唯一の支持率回復の方策を断たれたんです」

内にソウル市長選の敗北、外に北朝鮮の五輪欠場ーー。文政権の周辺はマイナス要素ばかり。支持率低落に歯止めはかかりそうにない。

  • 写真KNS/KCNA/AFP/アフロ

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