関西風速60m 被災地・京都の真実「1000年の歴史が破壊」
京都市・髙山寺、仁和寺、渡月橋、平野神社…〈台風続発 現場ルポ〉
関西地方を襲った超大型台風21号は、1000年の歴史を誇る京都の文化財にも大きな被害を及ぼした。国宝の「鳥獣人物戯画」で有名な髙山寺(京都市右京区)もその一つ。創立者の明恵(みょうえ)上人の肖像彫刻がある開山堂などが、倒木により損壊したのだ(上写真)。
「樹齢400年の大木や、境内のスギやヒノキなど百数十本の木が倒れました。木の倒れた方向がさまざまなので、竜巻のように渦巻く突風に襲われたのではないかと考えています。参道には重機が入れないため、人力で復旧作業をするしかありません。紅葉シーズンまでには何とかしたいのですが……」(髙山寺の僧侶)
790年頃に創建された平野神社や、真言宗御室派の総本山で世界遺産の仁和寺。桂川にかかる木造の欄干が美しい渡月橋など、他にも京都市内の多くの歴史的建造物が被害を受けた。京都大学教授で日本中世史が専門の上島享(すすむ)氏が語る。
「1000年以上続く古刹(こさつ)のような文化財には希少な素材が使われているため、簡単には修復できません。被害が大きいところでは、復旧までに5年以上の年月がかかるでしょう」
風速60m近い暴風雨は、京都の伝統と歴史を破壊してしまった。
撮影:川柳まさ裕