怪文書飛び交う永田町で聞こえる「ポスト菅」3つの可能性

「菅では選挙を戦えない」〜深層レポート

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「菅首相は、そろそろ終わりだ」

そんな声が聞こえ始めて数か月経った。

菅総理のあとは、誰がこの国を率いるのか。決め手に欠けるポスト菅を睨んで、怪文書が飛び交う。そこに国民生活への目線は感じられない…写真:代表撮影/ロイター/アフロ

昨年9月、安倍政権の残り任期「1年」を継承して発足した菅義偉は、自民党総裁選で圧勝、国会での首班指名をつつがなくこなして総理の椅子を射止めたものの、政権スタート当初から「短命政権」と見られていた。

理由はいくつもある。

曰く、「石破茂潰し」のためだけの総理大臣。

コロナ禍を理由に、本格的な党員投票を行わないなど十分な選出プロセスを踏んでいない首相就任。

「国家ビジョンがない」ため、国民は「首相・菅義偉」に夢が持てない。

そして、新型コロナ対策=感染状況次第で評価されるという重い桎梏(しっこく)。

年明けの1月、いよいよ国会論戦がスタートすると、自信なさげな小さな声や、答弁の下手さが目立ち、加えて、肝いりで始めた「GOTOキャンペーン」は大失敗、あえなく中止に追い込まれたのだ。

菅首相が、小池百合子東京都知事など千葉、埼玉、神奈川といった首都圏の知事連合に押し切られる形で、昨年に次ぐ2度目の緊急事態を宣言したのは1月7日のこと。

「実質は小池都知事によるリモート緊急事態宣言となってしまった」

官邸スタッフは腹立たしげにそう言った。

宣言の翌日、東京の新型コロナ感染者数は過去最高の2447人に達している。

菅首相の「打つ手」が後手後手であることが明らかとなって、政権支持率は30%台の低水準へと急落した。この頃から「菅下ろし」の声が囁かれ始めたのである。

「菅首相の顔では、選挙は戦えない。デジタル庁まではやらせるが、その先は『顔』を変えないと、次の選挙で50議席くらい失うことになる」(自民党重鎮)

首相就任当初は「たたき上げの東北人」「パンケーキおじさん」と、「愛されキャラ」だったことなど、もう誰も覚えていない。

「政権発足直後の『ご祝儀支持率』の時期に解散をしておけば良かった。後悔してもしきれない」(同前)

という非情な声が、党内から上がっている。

つい最近は、安倍前首相による「菅政権は東京オリンピック・パラリンピックまで」発言がまことしやかに流れ、永田町は一気に色めき立っているのだ。

飛び交う「怪文書」の内容は

こうした菅首相批判は、党内の菅おろしの「声」は、「紙」つまり怪文書へと変化し、政界へのインパクトが一段と高まっている。

記者がわずかこの3か月のうちに入手した怪文書も多数ある。なかでも興味深い3タイトルを紹介する。

 「自民党所属国会議員 各位」

②「辺野古 砂材石材利権相関図」

③霞ヶ関発信:4月28日(水)〜30日(金)に「衆院解散情報」のLINE拡散

①では、「解散総選挙における投開票日は11月28日まで可能」であると指摘されている。これが「11月選挙説」の「根拠」になっている。

②は、菅首相の三男が大手建設会社の社員であることに絡め、沖縄県辺野古基地利権をチャートで示すもの。場合によっては東北新社の件と類似の破壊力をもつ恐れもある。

③は、「5月23日衆院選投開票、6月特別国会&首班指名→都議選」という「スケジュール通知」だ。

いずれも、菅政権に変わる政局のネクストステージを促す文書となっているのだ。

425補選で自民大敗」のシナリオ

こうした危機感は、4月25日に投開票が予定される補欠選挙、再選挙「大敗」の予測からもきている。

衆院北海道2区、参院長野選挙区、参院広島選挙区3つの選挙区で、自民党は事実上の3連敗を喫するとみられているのだ。選挙に不安のある自民党の中堅、若手議員からすれば、低支持率の冴えない菅首相に選挙を託すことは我慢ならないという思いが強い。

前首相に「恭順」を見せた岸田文雄が浮上か

では、誰がこのあとを担うのか。

「玄人筋の『推し』は、経済最優先の麻生太郎副総理兼財務相。もし『桜問題』が早期に解決、あるいは消滅してくれれば、安倍晋三氏の再々登板にも期待がかかる。

この2者が難しい場合は、麻生・安倍が菅政権緊急事態のヘッジとして備えた岸田文雄政調会長に、という筋書きでしょう。

岸田は、宏池会から古賀誠顧問を外すことで、リベラルを標榜してきた派閥色を消した。さらに、敵基地攻撃能力について踏み込んだ発言をすることで、麻生さんと安倍さんに対する『恭順』の意をがっちり示しましたから」(自民党細田派幹部)

コロナ禍の生活苦、進まないワクチン接種、民意の伴わないオリンピック開催。この国難のときに、首相経験者たちが政権を弄ぶような政権移行が許されるなどと考えているとしたら、国民はずいぶん軽くみられているとしか言えない。永田町という小さなムラの理屈がいつまでも通るはずはないのだ。

  • 取材・文岩城周太郎写真代表撮影/ロイター/アフロ

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