高見盛の継承拒否も納得…?相撲部屋の「意外に苦しい現実」 | FRIDAYデジタル

高見盛の継承拒否も納得…?相撲部屋の「意外に苦しい現実」

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13年10月の断髪式後に笑顔を見せた元小結・高見盛。東関部屋を存続させることはできなかった(画像:共同通信社)
13年10月の断髪式後に笑顔を見せた元小結・高見盛。東関部屋を存続させることはできなかった(画像:共同通信社)

「私にはムリです」

「ロボコップ」の愛称で親しまれた元小結・高見盛が、所属する東関部屋の師匠になることを拒否。周囲の説得で1年限定の継承をしたが、後継者は見つからない。結局、初の外国人力士・高見山が創設した同部屋は、今年4月1日付けで閉鎖となったーー。

高見盛が継承を拒否した理由の一つが、難しい部屋の運営に耐えられないというモノ。ワガママなように聞こえるが、相撲協会内には納得する声も聞かれるという。

「経営状態が厳しい相撲部屋は多い。高見盛がプレッシャーを感じるのも当然でしょう。新型コロナウイルスの影響で、場所前後にパーティを開けないのが大きい。激励会や祝勝会を開けば、タニマチから多い時で1000万円以上の支援金が入りますからね。それが見込めないとなると、本当に苦しい……。

地方場所や巡業が開かれないのも、マイナスですよ。バックアップしてくれる後援会が、どんどんなくなっているんです。後援会としては、地方場所のチケットを部屋からもらえなければメリットがありませんから」(相撲協会関係者)

新弟子の高学歴化

マイナス要素は、タニマチだけではない。年々減少する新弟子も、深刻な影響を及ぼしている。最盛期には年間200人以上いた新弟子は、05年から2ケタに。今年3月場所の合格者は、わずか35人だった。

「所属力士1人に対し、幕下でも相撲協会から月に20〜30万円の補助金が出ます。親方の月給は、若手で70万円ほど。力士が10人いれば、部屋の運営に問題ありません。しかし最近は入門者の減少に歯止めがきかず、各部屋は力士の確保に必死です。

新弟子も以前のような中学卒業者ではなく、高校や大学の相撲部出身者が多くなっています。東京農業大学とつながりのある時津風や、名門・鳥取城北高OBのいる宮城野などパイプのある部屋は良い。特別コネクションのない部屋は、地道にスカウト活動をするしかありません。相撲の競技人口は小さいので、野球やサッカー、バスケットボール部に所属し、身体能力の高そうな若者にまで声をかけているんです」(同前)

部屋の後継者不足も、大きな問題だ。東関部屋閉鎖の一因も、引き継ぐ親方の人材難にある。

「14年11月に決定した、親方の定年延長の影響が大きい。それまでの65歳から、希望する親方に限り最長70歳まで『再雇用』として協会に残れることになりました。65歳以上の親方は部屋持ちにはなれませんが、年寄株は手放さないかもしれない。力士は引退しても株をもらえない可能性があるなら、現役を続けるしかありません。

横綱・白鵬や鶴竜が休場続きでも引退しなかった理由は、こうした株の問題もあるんです。一人の親方が長年株を持ち続けていれば、当然、後継者も育ちません」(スポーツ紙担当記者)

ある親方は、こう悲壮感を持って語った。

「ウチは部屋を借りているので、賃貸料を払うだけでいっぱいいっぱいです。7月場所は1年半ぶりに地方(名古屋)で開催されますが、せめてパーティだけでも開かせてほしい。収入が減る一方で、部屋を存続できるメドが立ちませんから。東関部屋は他人事ではない。今後は運営が行き詰まり、一般企業のように部屋同士の合併や吸収が活発化すると思いますよ」

新型コロナに若者の相撲離れ……。逆境の相撲部屋は、ギリギリの運営を強いられている。

  • 写真共同通信社

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