被害者が激白!「陸上自衛隊練馬駐屯地の陰湿いじめのすべて」 | FRIDAYデジタル

被害者が激白!「陸上自衛隊練馬駐屯地の陰湿いじめのすべて」

除隊を望んだら軟禁され、退去したら捜索費用を要求 挙げ句の果てには私物と一緒にゴミを送りつけられた――

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第1普通科連隊に所属していた加藤氏は、練馬駐屯地で日常的に暴力的ないじめを受けていたという 写真:時事通信フォト
第1普通科連隊に所属していた加藤氏は、練馬駐屯地で日常的に暴力的ないじめを受けていたという 写真:時事通信フォト

「私は所属する小隊で、先輩の士長から日常的に暴力を振るわれていました。格闘技経験のある先輩で、脇腹やみぞおちを蹴られると、悶絶するほどの痛みです。壁際に立たされて大声で怒鳴られるなどの言葉の暴力も受けました。こうしたいじめを年に1回行われるアンケートで組織に訴えたのですが、まったく改善されませんでした。

私は退官を決意しました。ところが、上司の班長に相談しても、『自衛隊に入った以上、(任期の途中で)辞められると思うな』、『お前の死に場所はここ(陸上自衛隊)だ、生き残って頑張るしかない』、『次の仕事が決まっていないなら、なおさら辞められない』などとネチネチ説得されます。

『わかりました』と言うまで許してもらえず、最終的に根負けしてしまいました。何度相談しても、退官は許されません。結局、今年1月30日に外出申請を提出して『脱柵』しました。以来、練馬駐屯地には戻っていません」

こう話すのは陸上自衛隊第1普通科連隊に所属し、練馬駐屯地に勤務していた加藤辰也士長(23・仮名)だ。

暴力的ないじめを先輩から受け、退職を何度願い出ても、辞めさせてもらえない――。悪質なブラック企業ではなく、国防を担(にな)う陸上自衛隊でこのような仕打ちが行われているという。

やむを得ず部隊から逃走した加藤氏が弁護士を通じて退職願を届けると、所属する中隊長から連絡があった。

「弁護士を通じて退職の意思を通知したにもかかわらず、私の所在がわからないから退官を認めないというのです。また、私物の取り扱いを尋ねてきたので、弁護士事務所に送ってもらうように返信。さらに、隊員たちが私を『自発的』に捜索した際にかかった費用を請求すると通知してきました。

弁護士の先生によれば、捜索費用の請求に法的な根拠はないとのことです。しかし、中隊長は書面で〈もし払うつもりが無ければ、叔父さんやお兄さんに請求する。法的根拠はないとしても、また、自衛隊を去るとしても、最後のけじめとして応じて欲しい〉と書いてきました。何の関係もない家族に請求するというのは、ある種の恐喝ではないでしょうか」

常軌を逸した嫌がらせ

後日、加藤氏が駐屯地に残したとされる「私物品」と捜索にかかったとされる費用の内訳が弁護士事務所に届いた。

「段ボール9箱分の荷物が届きましたが、信じられないことに、そのうち2箱分はゴミでした。誰かの食べかけのカップラーメンの容器に、箸が刺さったものまで含まれていたのです。また、捜索にかかった費用の明細書も、『鉄道400(円)』とか『食事代500(円)』といった概要だけで、利用した交通機関名もなければ、領収書もない。合計で8万5000円ほどを請求してきました」

加藤氏がゴミを返送し、捜索費用の支払い義務がないことを改めて通告したところ、3月24日付で弁護士事務所に新任の中隊長からFAXが送られてきた。「前任の中隊長が異動した。捜索費用の請求行為は取り下げる」とのことだった。

一連の経緯について、陸上自衛隊第1普通科連隊に質問書を送付したところ、

〈個別の事案の詳細を逐一、回答することは行っておりませんので、各ご質問の件については、回答を差し控えます〉

と防衛省が回答した。労働問題に詳しい弁護士の佐々木亮氏はこう話す。

「退職の意思を示した人を慰留することはいいとしても、それを通り越して妨害することは憲法に定められた『職業選択の自由』を侵害する行為で許されません。そのうえ、どうにかして辞めようとした結果の逃走に対して、捜索費用を請求することは言語道断の行いですし、ゴミを送りつけるやり方も常軌を逸した嫌がらせだと思います。

そもそも、駐屯地での暴力的ないじめ自体が犯罪レベルです。事実であれば、違法行為に違法行為を重ねている状態のように見えます」

加藤氏が最後に振り返る。

「一連の行為について、今も一言の謝罪もありません。たとえ捜索費用の請求を取り下げたとしても、私は陸上自衛隊という組織を許すことができません」

「私物品」として送られてきた段ボール。中には洗剤の空き箱やカップ麺の容器といったゴミが詰められていた
「私物品」として送られてきた段ボール。中には洗剤の空き箱やカップ麺の容器といったゴミが詰められていた
捜索に使用したとされる費用の内訳。「高速料金」や「車燃料」といった項目があるが、利用区間も領収書もない
捜索に使用したとされる費用の内訳。「高速料金」や「車燃料」といった項目があるが、利用区間も領収書もない

『FRIDAY』2021年4月23日号より

  • PHOTO時事通信フォト(1枚目)

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