18000円の『チェリまほ』Blu-ray がバカ売れの舞台裏 | FRIDAYデジタル

18000円の『チェリまほ』Blu-ray がバカ売れの舞台裏

絶妙なキャスティングにはこんな理由があった!

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バカ売れしている『チェリまほ』のBlu-rayBOX(©豊田悠/SQUARE ENIX・「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」製作委員会)

テレビ東京がまたドラマ界に歴史を作った。昨年放送された『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい(以下『チェリまほ』略)』のBlu-ray ボックス(18,095円(税込)発売中)が、ドラマ作品別映像ソフト売上ランキングで第一位を獲得しているのだ。

連続ドラマの円盤(※Blu-rayボックスなど指す)が令和になって、爆発的に売れるのは非常に稀なこと。当初からトップアイドルが主演していて、グッズ感覚で購入者がいる前提ならまだしも『チェリまほ』は、深夜ドラマとして放送されていた。それが放送回を追うごとにファンの熱が上がり、Blu-ray発売イベントまで開催される。

BL史上、もっともハートウォーミングで可愛い物語

『チェリまほ』のあらすじを改めて。

“30歳、会社員、童貞の安達清(赤楚衛二)は人に触れると、その人の考えていることが読めてしまう。どうやらこれは童貞だけの特殊能力らしい。その力によって、会社のエース黒沢優一(町田啓太)が自分に好意を抱いていることに気づいてしまう。この状況に当初は戸惑っていた安達も次第に、黒沢に惹かれて二人はつき合うようになる”

『チェリまほ』第1話より(©豊田悠/SQUARE ENIX・「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」製作委員会)

微妙な塩梅でイケていない安達。完全無欠のいい男なのに、水面下でもがくアヒルのように安達を愛する黒沢。じれったさを感じるふたりのやり取りが面白かった。

思い返すと昨年から『チェリまほ』だけではなく、静かに日本女性の間には“BLブーム”が浸透している。その先陣を切ったのが、タイのBLドラマブームだ。美青年たちによる愛を結構、赤裸々に描くラブストーリーは日々の生活に疲れた女性たちの心を癒やしてくれると話題なのだ。『2gether』『SOTUS』『ラブ・バイ・チャンス』など、サブスクの加入率と比例するようにブーム人気は加速。ちょうど緊急事態宣言により、外出のできない時間を埋めてくれていた。

それから主演の大倉忠義(関ジャニ∞)と、成田凌による映画「窮鼠(きゅうそ)はチーズの夢を見る」の公開もあった。こちらは刺激と衝撃的なシーンの連打が特徴的だった。全く二人のファンではない私も「……!?」と目を丸くして見てしまったほど。こちらの作品は現在、アマプラでも放送されている。

そんなBL作品が百花繚乱の昨今において、一番可愛らしく、家族やパートナーと一緒に見ることができる作品が『チェリまほ』なのだ。

『チェリまほ』第2話より(©豊田悠/SQUARE ENIX・「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」製作委員会)

「赤楚さんなら“愛される安達”になる確証があった」

放送終了後にもロスが続出。その状況を表すように今年の2月には、タイでのオンラインイベントが大盛況のうちに行われた。そして4月24日(土)にはBlu-rayボックスの発売記念イベントも開催される。このお祭り騒ぎをどのように思っているのか? テレビ東京で『チェリまほ』を企画した本間かなみさんは

「プロモーションフィーが少ない中で、作品人気の広がりのカギを握るのが“口コミ”。国内外の多くの方々がいろんな声を上げてくださったおかげです」

と言う。確かにSNSで『#チェリまほ』と検索をすると、たくさんの口コミがヒットしてくる。 “自由な発想”というイメージの作品が多いテレビ局ではあるけれど作品を企画した当初は、ここまでのヒットは予想していなかったらしい。

「人間関係や心情の機微にフォーカスできる作品を作りたいと思っていたときに、原作のマンガ『チェリまほ』と出会いました。“心の声”を通して誰かを思うことや、人間の多面性が切なくなるほどに伝わってきて、ぜひ映像化したいと思ったのが企画のきっかけです」

『チェリまほ』の魅力はなんといっても、絶妙なキャスティングが作品の魔力を握っている。まだデビュー間もない赤楚衛二を起用した理由には

「安達はモサくしたい(笑)と思いながらも、応援したくなる人物にしたいと考えていました。陰の空気をまとったとしても埋もれない愛らしさ、少年らしい無垢さを感じられる俳優さんを探していたところにピンときたのが、赤楚さんでした。彼の“生っぽい”お芝居なら、絶対に“愛される安達”になると思ったのです」

『チェリまほ』第3話より(©豊田悠/SQUARE ENIX・「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」製作委員会)

こんなプロデューサーの熱量があった。いざ、撮影に入ると本人の自意識がかすんでしまうほど、安達化(?)していたとか。

「発声から所作に至るまで、ご自身の自意識が見えないんですね。完全に安達化していたのだと思います。あとは、監督の演出への反応がとても軽やかで瑞々しかったことも記憶にありますね」

熱量をさらに深めたのが、町田啓太のキャスティングである。

「黒沢像を考えたときは、人間らしさやいじらしさを醸し出せて、コミカルシーンを真面目に演じる際に面白くなる俳優さん……を想像していました。そこにハマったのが、町田さんです。個人的な感覚ですが、黒沢の恋心を描くうえでフォーカスを当てたかった“切なさ”や“ピュアさ”が映える方だと、感じたのも大きかったです。町田さんは誰よりも役を紐解かなければできないお芝居を見せてくれました。黒沢は表情で心の声とのギャップを表現したり、物語ったりします。それらがどのように映像化されるのかを理解しているような絶妙さが光っていました」

『チェリまほ』第4話より(©豊田悠/SQUARE ENIX・「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」製作委員会)

そして本間さんの予想はすべて的中、オンラインイベントへと物語が繋がっていくのである。この先ができれば第二弾へ繋がってほしいと願うところだけれど、この件に関してはまだ未定らしい。とりあえず、Blu-rayで安達と黒沢を楽しんでおくことにしよう。

『チェリまほ』第8話より(©豊田悠/SQUARE ENIX・「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」製作委員会)
『チェリまほ』第10話より(©豊田悠/SQUARE ENIX・「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」製作委員会)

※「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」 Blu-ray BOX発売記念オンラインイベントの詳細は公式ホームページをご参照ください。

  • 小林久乃

    エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

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