武尊が語り尽くした「宿命の一戦を前に、いま思うこと」 | FRIDAYデジタル

武尊が語り尽くした「宿命の一戦を前に、いま思うこと」

独占インタビュー60分 K-1のカリスマ 3月のスーパー・フェザー級タイトルマッチで圧勝 宿命のライバル「神童」那須川天心との対戦について直撃!!

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武尊はキャリア10年で41戦40勝1敗の戦績を誇る。「肉を切らせて骨を断つ」ファイトスタイルでKOを量産する
武尊はキャリア10年で41戦40勝1敗の戦績を誇る。「肉を切らせて骨を断つ」ファイトスタイルでKOを量産する

最大の敵は「世間」

大先輩の魔裟斗(まさと)(42)に「負ける」と予想されたことで「K-1」スーパー・フェザー級王者の武尊(たける)(29)は救われたという。

そんな”異常なメンタル”で迎えた大一番だった。

「この6ヵ月間、不眠に苦しみました。寝ようとしても、試合のことが頭をよぎるとアドレナリンが出てきて、心臓がバクバクする。最後のほうは朝までずっと記憶がありましたからね……(笑)。目をつむるだけでも身体は休まるというので、瞑想アプリで音楽を流したりしながら朝まで過ごしていました。

そんな状態だったから、魔裟斗さんの言葉で気が楽になりました。予想が当たることで有名な魔裟斗さんに負けると言われたことで、『勝って当たり前』から『勝ったら褒められる』試合に変わった。プレッシャーから解放された。

『負ける』と言われたことで闘争心に火がつき、モチベーションも上がった。次の試合で身体がぶっ壊れてもいいという気持ちでひたすら練習に打ち込むことができたんです」

武尊が戦っていたのはケガやコロナ禍による長期間のブランクでも、対戦相手のレオナ・ぺタス(28)でもなく、世間からの「期待」だった。

「これまで対戦相手を怖いと思ったことは一度もありません。僕が怖いのは積み上げてきたものを失うこと。一回でも負けたら引退すると決めているので、もしレオナ選手に負けたら次はない。

何年も前からファンが期待する頂上決戦の実現に向けていろいろな方と交渉してきて、去年の大みそかにようやく那須川天心選手(22)の『RIZIN』の試合会場に行けるところまで持ってきた。世界最強を証明できずに辞めてしまったら、こんな悔しいことはない。一生後悔する。人生が終わるくらいの気持ちでした。

次の試合はまだ何も決まってはいませんが、天心選手との試合を世間に期待されているなかで、絶対に負けることはできなかった。この5年間、『天心のほうが強い』『武尊は逃げている』と言われ続けてきてすごく悔しかったし、自分が最強だと証明しないまま、現役は辞められませんから……」

3月28日、武尊は天心が観戦する目の前で「僕を除けば60㎏で最強」と評するぺタスをKO。世間が望む頂上決戦をその拳で引き寄せた。「新生K-1」旗揚げから7年。キャリアはついに集大成へ。

「ここまでの道のりは『辛かった』――この一言に尽きますね。まずは復活した『K-1』を一人でも多くの人に知ってもらうために芸能活動を始めて、オーディションも受けて、いろんな事務所に自分で売り込みをしました。無名の『K-1』選手がインパクトを残すには笑いを取るしかない。『中学時代に10股していた』とか、『チャンピオンベルトを巻いて生活している』とか、かなり盛って話していました(笑)。

『チャラチャラしている』と批判されることも多かったですが、注目されている証拠だと考えました。変な試合をしたら叩かれる。負けられないというプレッシャーをモチベーションにしていました。常に自分を追い込んでいる状態です。だから、芸能活動を始めてから、練習量は逆に増えました。遊びの誘いを全部断って、お酒もやめました。プライベートの時間はなくなりましたね。格闘家以外の友達はいなくなりました」

頂上決戦の相手と目される天心は、武尊を「持っている男」と評価する一方で「僕とは真逆のタイプ。僕は被弾せず自分の攻撃だけを当てるスタイル」とコメントした。

「僕も天心選手も世界タイトルを持っている外国人選手を何人も倒してきた。もし、対戦が実現すれば文句なしで『世界最強』を決める試合になると思いますし、それを日本人同士で実現できるのは僕たちだけだと確信している。

天心選手のおかげでここまで頑張って来られたとも思っているので、いまではとても感謝しています。でも、最後は『やっぱり武尊のほうが強かった』と締めくくることができたらいいと思っていますし、そうなると自分を信じています」

武尊は「相手が誰だろうと負けない」と自信をのぞかせる。

「多少被弾しても前に出て、相手をなぎ倒すのが僕のファイトスタイル。長いリーチを生かしてジャブ、ストレートを打ってくるレオナ選手とはタイプが違いましたが、打ち合いの中で左フックが入る距離とタイミングを掴(つか)み、『自分のほうが先に当てられる』という確信を持って懐(ふところ)に入り込み、左を振り抜いた。その状態で被弾しても効かないですからね。

タイプの違いは関係ない。むしろ違うほうが面白いんじゃないですか。打ち合いは楽しいですね。相手が強ければ強いほど楽しい。あのスリルは他では味わえない。だから、試合中に僕は笑ってしまうんだと思います」

頂上決戦でも武尊は”笑顔”を見せてくれることだろう。

3月28日、日本武道館で行われたレオナ・ぺタス戦で武尊は下馬評を覆し、衝撃KOで勝利を飾った(©K-1)
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’15年、初めて「K-1」チャンピオンとなった。その会場だった代々木体育館を背に笑顔を浮かべる武尊。’18年に3階級制覇を成し遂げた
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本誌未掲載カット 武尊が語り尽くした「誰が相手でも絶対に負けない!」
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『FRIDAY』2020年4月30日号より      

  • 撮影小松寛之

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