髙山清司・六代目山口組若頭が健在ぶりを見せた「緊迫の食事会」
神奈川県横浜市 稲川会の拠点「稲川会館」に大物ヤクザが集結 竹内照明若頭補佐、藤井英治若頭補佐を引き連れて、六代目山口組ナンバー2が極秘参加
異様な緊張感が漂っていた。
神奈川県横浜市内にある指定暴力団・稲川会の拠点「稲川会館」。4月7日午前、この建物の正面にある空き地に、警視庁のほか、神奈川、兵庫、愛知などの各県警の捜査員が計20〜30人ほども待機し、周囲を覆面パトカーが巡回していた。
彼らの「待ち人」は午前11時過ぎに現れた。エントランスに横付けされた名古屋ナンバーのワンボックスカーから六代目山口組のナンバー2、髙山清司若頭(73)が降り立ったのだ。杖(つえ)を突いていたが、足取りは軽く、眼光は鋭い。出迎えた稲川会の組員らは神妙な面持ちで頭を下げた。
「もともと六代目山口組、稲川会、松葉会で1年に3回食事会を開いていました。コロナ禍によって控えていましたが、今回、久しぶりに開催することになったんです。そこに髙山若頭が参加することになり、関東を拠点とする双愛会、東声会にも声をかけて、計5社から幹部3人ずつが出席しました。髙山さんが来られるので、警備の問題もあり、広い駐車場がある稲川会館が会場になりました」(稲川会関係者)
髙山若頭には、東京に本部を置く二次団体・國粹会会長を務める藤井英治若頭補佐と、腹心中の腹心である弘道会会長・竹内照明若頭補佐が同行していた。
食事会は11時半から始まったという。
「アルコールはナシで、仕出し割烹のお弁当、フルーツや珈琲が出されて、1時間ほどで終了しました」(稲川会関係者)
13時頃には稲川会館の鉄の扉が開き、まず髙山若頭が乗ったクルマが多くの組員に見送られて会場を後にした。最後にホスト役だった稲川会の内堀和也会長が、「本日はご苦労様でございました」と捜査員に声をかけて、会はお開きとなった。
特定の議題はなく、親睦(しんぼく)が目的だと言うが、額面通りに受け取る関係者はいないだろう。現地を取材した、暴力団事情に詳しいジャーナリストの成田俊一氏が語る。
「5社の結束が強固であること、そして、その中心に髙山若頭がいることを内外にアピールする場だったと思います。あえて意欲満々の姿を見せる意図もあったかもしれません。
髙山若頭は、神戸山口組はもちろん、関東、九州も含めたヤクザ社会をまとめ上げることを考えているでしょう。今回の食事会にもその流れの中で参加したと言えます。『特定抗争指定暴力団』に指定されている現状では派手に動くことはありませんが、東京五輪の開催を控えている今も、髙山若頭は水面下で積極的に交渉に動いていると思われます」
髙山若頭の一挙手一投足を日本中のヤクザと警察当局が注視している。
『FRIDAY』2021年4月30日号より
- 撮影:田中俊勝