五輪中止もある…⁉二階幹事長「突然の爆弾発言」その深意 | FRIDAYデジタル

五輪中止もある…⁉二階幹事長「突然の爆弾発言」その深意

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すべての発言に意図がある…⁉(AFLO)
すべての発言に意図がある…⁉(AFLO)

「これ以上とても無理だということだったら、これはスパッとやめないといけない。オリンピックでたくさん感染病を蔓延させたら、なんのためのオリンピックか分からんです」

4月15日、二階俊博自民党幹事長がCS番組の収録で、コロナの感染状況次第では五輪の「開催中止」も選択肢の一つであると発言した。

五輪を強行すると、コロナ禍という天災が人災になるーー政権与党の最高幹部が初めて開催中止に言及しただけに、内外で衝撃が走り、周囲は火消しに追われた。

小池百合子都知事や丸川珠代五輪相は口を揃えて「叱咤激励」だとし、橋本聖子五輪組織委会長も「心配している気持ち」だと説明した。

しかし、二階幹事長本人はそうしたフォローはどこ吹く風で、19日の記者会見でも再度「スパッとやめる」を繰り返した。

「とてもこれでは無理だと、誰もがそう判断する状況になった時のことを言っている。やめることに重点を置いて言っている訳ではないのです。そういう時がくればスパッとやめる。それはもう当然のことですね」

二階氏の「スパッとやめる」発言をどう見ればよいのか。

一つには、コロナ変異株の感染拡大が急速に広がっている中で、「観測気球」として五輪中止の可能性を示唆したと見る向きがある。

ワクチンについては、9月までに接種対象となる国民全員分の「供給」を受けるめどがたった、と菅義偉首相は19日に説明している。

しかし、下村博文政調会長によれば、地方自治体レベルで実際に「接種」が完了するのは来年春ぐらいになるかもしれないとのこと。先行きの見通しは不透明で、少なくとも五輪期間中のワクチン接種完了は絶望的な状況だ。

三度目の緊急事態宣言を発令しても、7月23日から始まる五輪前にコロナ第4波が収束する保証はない。

そこで、五輪中止の可能性をあえて口に出すことで世間の反応を伺うとともに、いざという場合の「地ならし」を始めたという見立てだ。

もう一つは、政局との絡みだ。「スパッとやめる」発言が飛び出たのは4月15日の午前中。同じ日の夜に菅総理はアメリカに向けて出発している。このタイミングは偶然ではないとして、菅総理に向けたメッセージだと見る説もある。

どういうことか。

「今回の中止発言は、訪米する菅総理に対して一種の牽制をしたという見方が出ています。米国で二階氏は、日本を代表する『親中派』政治家として知られています。菅総理が訪米時にバイデン大統領と意気投合し対中強硬路線に踏み込むことがないように、『いざとなったら菅政権の生命線である五輪なんぞ中止に追い込んで、お前の首もスパッと切るぞ』という二階氏流の牽制球ということです」(永田町関係者)

二階幹事長といえば、2020年9月の総裁選でいち早く支持を表明して菅総理を誕生させた立役者。しかし、Go Toトラベルの中止などで最近、菅総理との関係が冷めていたとも報じられていた。

ところが3月29日、菅総理が訪米のアドバイスを求めて安倍晋三前総理と約50分面会したことが伝わると、同じ日の夕刻の記者会見で二階幹事長は突如、「菅再選を党として全面的に支援する」と発言した。

政治力学の微妙な変化を見逃さず、打てば響くタイミングで二重、三重の深意を込めた発言を放つのが二階幹事長だ。今回の五輪中止発言も、単なる観測気球というだけでなく、総理の訪米と秋の総裁選を睨んでの戦略的な牽制球だった可能性があると言えるのだ。

先の訪米を終えた菅総理が、大々的にその成果を発表していないのは、うしろで睨みを利かせている二階幹事長への畏れ…があったのかもしれない。

  • 取材・文北島純写真AFLO

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