中国で「シェア自転車1万台の墓場が出現」衝撃写真
広大な空き地を埋め尽くす、青や黄色のカラフルな物体。その数、1万台を超える。中国北部・瀋陽市で4月19日に撮影された、シェア自転車のなれの果ての姿だーー。
中国でシェア自転車が浸透し始めたのは、16年ごろから。最盛期には大手「Mobike」のユーザーは1億人を超え、1日の乗車回数は2500万回にのぼった。大流行したシェア自転車に、いったい何が起きているのだろうか。中国人ジャーナリスト周来友氏が語る。
「儲かるビジネスだということがわかり、20社以上の企業が参入。シェア自転車業界は、競争過多になっているんです。2~3年前をピークにマーケットは縮小。『悟空』や『3V』など、すでに数社が倒産しています。業界の衰退とともに、さまざまな弊害が出始めました」
放置自転車を盗難
弊害の背景にあるのが、中国独自の利用方法だ。日本や欧米と違い、スマートフォンの専用アプリでカギの開閉が可能。決められた乗降場所はなく、どこでも乗り捨て可能になっている。
「そのため、道路の真ん中や横断歩道に乗り捨てるなど迷惑行為が多発しているんです。日本では迷惑行為を禁じる法律がありますが、中国には明確なルールがない。放置されたシェア自転車を、盗むケースも続出しています。
当初は業者も、放置自転車を回収したり、故障をなおしたりしていました。しかし、費用がかかるため次第に放任。さらに倒産企業が増えたため、放置自転車の数が激増しています。シェア自転車は、今や中国の大きな社会問題です」(周氏)
冒頭で紹介した、瀋陽市の城菅(都市管理係)は、「交通の大きな障害になっている」と放置シェア自転車を回収。毎週、1000台以上の自転車が保管所に運ばれている。だが、いっこうに減る様子はなく保管所は満杯状態だという。
「北京や上海など、大都市は行政指導が徹底しているのでまだ良い。しかし瀋陽のような地方都市は、問題が深刻化しています。撤去しても撤去しても、放置自転車が減らない。業者も罰金を嫌い引き取る気はなく、回収自転車は増えるばかりです。
日本ではアフリカや東南アジアの国々に、不要になった自転車を送り再利用しています。しかし、中国には同様のサービスをする企業がありません。保管所は、シェア自転車の『墓場』になっているんです」(周氏)
保管所はスグにいっぱいになり、地方都市は新たな用地の確保に頭を悩ませている。
- 写真:AFP/アフロ