元TBSアナ・林みなほが予約困難なエステオーナーに転身したワケ | FRIDAYデジタル

元TBSアナ・林みなほが予約困難なエステオーナーに転身したワケ

オーナーになってすぐ「緊急事態宣言」。それでも人気サロンに成長させた秘密は?

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局アナ時代の快活な印象はそのままだ

女子大生の憧れ職業として、今もダントツ人気の“女子アナウンサー”。この誰もが羨むポジションを卒業すると、ほとんどがフリーランスとして活動をしている。一部では仕事をめぐるフリーアナ戦線があるとも聞くけれど、それも個人で働くパターンが増えた昨今なら不思議はない現象だ。

その最中にテレビ局を退社後、痩身エステサロンのオーナーになったのが林みなほさんだ。コロナ禍による不況もなんのその、すでに予約が取りづらい人気店に急成長しているという。いったい彼女にはどんな戦略があったのかを、直接聞いてみることにした。

「オーナー就任後、1週間で緊急事態宣言になりました」

林さんがオーナーを務める『QOB』は、乃木坂駅からすぐの好立地にある。3LDKの部屋はきっとラグジュアリーに装飾されているに違いない。そう思いながら入室したけれど、部屋全体はごくシンプルなインテリアだった。

「かっこつけようと思ったら、内装にお金をかけることも考えられましたけどそれよりも中身で勝負したいと思ったんですよね」

そう話すのは、オーナーの林さんだ。局アナ時代の華やかさは変わらず、さらにスリムになった印象である。どんな話が始まるのかと期待していると、予想外の弾丸トークが開始された。本人も「ストレス解消によくしゃべる」と自覚があるほど、聞く側を圧倒する会話の始まり、始まり。

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――局アナ時代『ひるおび!』『ビビット』など看板番組を担当されていましたよね。いつの間にか、静かに退社されていて驚きました。

私も定年退職までアナウンサーとして勤務する予定だったんですけどね。でも、出産と育児休暇を終えて戻ってきたら『人材開発部』へ異動を命じられたんです。もともと、制作の仕事に興味はあるとも言っていたし、根っからの仕切り屋なので(笑)アナウンサーのカレンダーを作ったり、アナウンス部のインスタグラムをスタートさせたり“人材開発”の気質はありました。

でもアナウンサーが別部署へ移るのは、周りから見れば「飛ばされた」というイメージもあるよなあと。実際、番組スタッフから「不祥事でも起こしたの?」と冗談半分で突っ込まれたことも(笑)。

――前向きな異動ではなかったのでしょうか?

前向きなものでした。当時TBSでジョブローテーションをやろうとしていて、2年くらい別の部署でキャリアを積んで、またアナウンス部に戻ってくる計画だったらしいです。私のことをよく知っている人事のことを考えると「みなほならやってくれるでしょ!」というのも理解できました。

ただ、アナウンサーとしての仕事を完全に切らして、20日後から人材開発部で勤務することが果たして“自分にとって幸せな道なのか”と考えたときに、答えることができなかった。それまで退社を考えたことはなかったですが、内示を受けた夜には「外に出てみよう」と、気持ちが180度変わりました。

――引き止められましたよねえ。

そうですね。実は簡単には、退職届を受け取ってもらえませんでした。慰留していただき、最後の最後まで色々と提案されたのですが、決して軽い気持ちで退職届を書いたわけではなかったので、決意がゆらぐことはなかったです。

――痩身エステサロンを経営しようと思ったのは退社後ですか?

事業にはしていなかったんですけど、趣味の延長で関わっていました。元々、万年ダイエッターで15キロの増減を繰り返していたときに青山の『ソリデンテ』という理学療法士のエステサロンに通っていて。あまりにもハマって産後もお金をつぎ込んでいたら(笑)、院長から「もう機械を買えば?」と自分たち専用に開発したマシンを譲ってくれることになったんです。

――……高額ですよね(ゴクリ)。

信用している業務用マシンを購入できる機会なんてそうそうないし、通うことに比べたら……と、ン百万円を……勢いでしたね(笑)。ただ買ったはいいものの、ズボラな私はセルフでそんなに使用することもなくて、自宅で友人に施術をしていることがほとんどでした。

そのうちの1人が、敏腕経営者の親友で、機械を使ってサロンを開こうと言ってくれたんです。そこで、“自分たちが心から行きたい理想のサロン”をコンセプトに立ち上げることになりました。『ソリデンテ』以外にもサロンはたくさん通っていましたが、やってほしいと思うメニューが1つの場所でぜんぶ揃うことはなかったので、じゃあ自分で揃えてしまおうと趣味の延長で作られたのが『QOB』です。

――そのご友人から、昨年の初めにサロンを譲り受けることになったと思うのですが、林さんはあくまでも美容を知っているお客様であって、経営者の経験はなかったのでは?

経営の“け”の字も知らなかったです(笑)。ちょうどサロン経営が軌道に乗った頃に、親友の本業が忙しくなって、バイアウトを視野に入れていたタイミングで、私の退社が重なって。2人で育んだサロンでもあったので「じゃあ私が買う!」と手を挙げ、引き継ぐことになりました。ただオーナーになって早々、緊急事態宣言になってしまい、サロンは休業になりました。

――不安だったでしょう?

それが不思議と「大丈夫だ」という妙な勘が働いたんですよね。どうも私、昔から窮地に追い込まれると熱量を発揮するみたいなんです。アナウンサーになったときも、採用は男女合わせて私だけで。狭き門なのに「受かる」という自信があったんです。

――それでもオーナー就任時に、さらに上乗せした金額は支払ったわけですよね? 少し前までは会社員だった人とは思えない潔さです。

実際、退職金も貯金も……なんなら両親にも少し借りちゃって……。子どもも住宅ローンもあるのに自分でもよくぞ思い切ったと思います。でもちょうどコロナ禍に衝突して、自宅にいる時間は勉強していました。

インタビューではざっくばらんに答えてくれた

「いいモノ、いい情報を伝えたい。営業マン気質です」

――サロンスタッフの方はお休みしたんですよね。

技術も顧客も持った優秀なスタッフが数名おります。いろいろ話して、本人の希望を第一優先して休んでもらいました。でも途中でサロンは再開したので、私が30日連勤でサロンに立って、施術していました。慣れない仕事で大変でしたけど、この期間があったから私も成長できたと思っています。もうこれ(緊急事態宣言)以上にダメージを受けることはないという覚悟はありましたから。

――林さんがエステティシャンとして登場すると、お客様は驚かれませんか?

……たまに(笑)。

――ご本人が全面に出てプロモーションをすることは考えなかったんですか?

それはあんまり考えなかったです。それよりも技術開発や内容のブラッシュアップに時間をかけたかったというか。自分を看板にせずとも、理念やサービス内容に惚れてお客様がついてくださるのが理想。それに、港区の好立地だけど、気取らず、お客様にとって居心地の良い空間にしたいという考えもありました。

特にこだわりがあるとしたら“本物志向”だということです。取材でもどんな形でも料金はいただきますし、それだけの満足をお渡しする自信はあります。数あるサロンの中からQOBを選んで、心からいいと思っていただければ、自然と広めてくださる。そういう方が伝える言葉や文章には必ず熱がこもるので、こちらからお願いしてPRや口コミを促すということは基本的に少ないです。評判を聞きつけた、美容好き有名人の方などからご予約が入ったりすると「QOBも広く届く存在に育ってくれたのか」と感謝と喜びに飛び跳ねたくなります(笑)。

――林さんがこうして話してくれる熱量も相当のものだと感じています。

経営者としても、技術者としてもまだまだですけど“熱量”だけは私の強みだと、自負しています(笑)。

――ただコロナ禍で美容業界もかなり打撃を受けているのに、サロンはいつも予約がいっぱいです。オーナー就任2年目で予約の取れないサロンになったのは、なにか理由がありますか?

(少し考えて)……新規顧客ばかりを取りにいこうとしないからではないでしょうか? QOBは、単発の施術だけではなく、定期的に通っていただき、根本から身体を綺麗に仕上げる「体質改善」を掲げているため、8割以上がリピーターのお客様なんです。

ブレイクしたのは、ちょうどおのののかさんが挙式前に通ってくれていて、痩せたことをインスタに書いてくれたんです。それがいわゆる“バズって”今に至るという状況ですね。自分でも感心するんですけど、私は「ここぞ!」というときに救世主が現れてくれることは多いです。本当に運と縁と熱量でここまで駆け抜けてきました。

――成功していらっしゃる経営者のみなさんは同じことを言います。運と縁に助けられたと。でもいくら縁があるとは言っても、この数年で局アナ→結婚、出産→フリーアナ→サロン経営。そして今度は洋服の製作にも乗り出しましたよね? 何かやろうとするたびに違う分野に行くのは疲れませんか?

それが全然なんですよね。大変なことはあるにはあるんですが、ストレスが溜まったな〜と思ったら、とにかく友人や家族にこうやって(取材中のように)しゃべりまくる(笑)。で、また明日から頑張ろうとする。確かにここ数年で、人生は変わりましたが、でも色々な流れで、サロンを経営とか、自分が従事することを想定していなかったことをやると、一歩引いたところから自分を見られていいものですよ? 人生は楽しんだもん勝ちですね!

――ではまだまだ林さんの進撃が続くと。

私がやっていることって、振り返ると自分のためではなく“誰かのため”なんですよ。というか自分のためだけには頑張れないだらしなさもあるんですが(笑)、誰かのためだとパワーがみなぎってしょうがないんです。究極のお節介屋さんだとも思います(笑)。困ったり悩んだりしている人がいるならば何か役に立ちたいし、その人が持つ潜在能力を引き出すお手伝いをして、キラキラ輝いてほしいと願っているんです。

――豊洲市場でイキのいい鮮魚を売っている仲卸業さんがいらっしゃるじゃないですか。あの方たちと同じように何かを売り込まれているようなインタビューでした(笑)。

(笑)行き当たりばったりみたいな経営者ですし、全然計算高くないからおそらく損もするタイプ。もうちょっとあざとくてもいいんでしょうが。でもこういう性格だから、この一年で大変だったことももう忘れて次に向かって全力疾走できるんだと思いますよ。ちなみに他人に注ぐ力はあっても、家事育児は自分ごとだから、だいぶおろそかになっているんですが(笑)、息子には生き生きと仕事に打ち込む親の背中を見て育ってほしいなと思っています。

意外に質素なサロンの内部
ン百万(?)のマシン

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林みなほ、という看板だけ聞いていると、キラキラとしたSNSの世界で生きて、ベビーシャワーを開きまくっている女性なのかと思っていたら、裏切られた。彼女は想像以上に才覚のある“商人”だ。冒頭でよく話す、と書いたが、確かに1時間は弾丸のようにサロンの話を続けていた。それでも聞きやすい抑揚、最終的に伝えたいことが伝わってくる話術は、さすがプロのアナウンサーの鑑だ。

そして本文にも書いたけれど、成功をしていると言われている経営者たちが発している言葉を、彼女も同じようにサラッと話している。

・縁と運だけで自分がある
・新規客に注力せず、リピーターをいかに増やすか
・いい情報はすぐにシェアをしていく

タフネスなマインドをあくまでも“普通”“通常運転“だという林さん。数年後にもう一度お会いして話してみたくなった。まずはサロンに伺います。

サロンの制服姿もすっかり板についている

(プロフィール)
林みなほ(はやし・みなほ)フリーアナウンサー/美容サロン経営

2012年アナウンサーとして(株)TBSテレビに入社。 情報番組やバラエティー、その他スポーツ、報道番組、ラジオ、イベントMCを勤める。 2019年TBSを退社し、独立。現在はフリーアナウンサーとして活動しながら、食べることも大好きな彼女自身が長年思い続けてきた「食べながら痩せる」を体現すべく、独自のメソッドを研究開発。経営するトータルビューティサロンQuality Of Beauty(QOB)は現在、新規予約は取れない人気サロンとなっている。また、2021年4月15日に発売を開始したアパレルブランド『KOL』でディレクターも務めている。

  • 取材・文小林久乃

    エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

  • 撮影金 栄珠

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