超人気のゴリランドセルを生んだ「7人で売上7億」の最強組織

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何が出てくるかわからないギャンブル感と、心をくすぐるアイテムで盛り上がりを見せるカプセルトイ、通称ガチャガチャの世界。中でもいま、4月に発売した「ゴリランドセル」が話題だ。手掛けたのは、社員6人で今期の売上が7億円を見込む株式会社Qualia(クオリア)だ。快進撃の秘密を、社長である小川勇矢氏に訊いた。

ゴリランドセル 2021年4月発売

ーー話題の「ゴリランドセル」が生まれた背景は?

弊社で毎月行っている企画会議にて、弊社の社員が自信なさそうに「ランドセルを背負っているゴリラのイラスト」を提出したのがきっかけです。

これを見た瞬間に、商品化のイメージが湧きました。身長が伸びた小学校の高学年男子の中で、ランドセルが小さく見えてしまうことってありますよね。一年生のときは大きかったランドセルが、成長するとぴちぴちで背負うようになる。そんな姿をゴリラで表現出来たらおもしろいと思い、商品化しました。

リコーダーを吹いているところや体育座りなど、小学生のあるあるをラインナップに入れ、少し懐かしい表現にまとめています。ゴリランドセルを見たお客様が「なにこれ」と笑い、コロナ禍の中で少しでも気持ちが前向きになってくれたらうれしいです。

ーー株式会社Qualiaのそもそもの成り立ちは?

おもちゃに興味がなかった私がこの世界に入ったきっかけは、「コップのフチ子」で有名なキタンクラブ代表の古屋大貴氏です。実は古屋さんと私は、長い付き合いなんです。地元の少年サッカーチームに私が6歳で入団した時、18歳でコーチをしていたのが古屋さんでした。

大学卒業後IT系の会社で働き始めた頃、古屋さんから「キタンクラブの営業をやらないか」と誘いがあったんですね。これがガチャガチャの世界に足を踏み入れるきっかけになりました。

キタンクラブの営業は私1名だけだったので、無我夢中で働くしかありませんでした。恥ずかしながら当初「ガチャガチャは子供のおもちゃ」程度の知識でした。業界をあまり知らないからこそ、それまでの慣習にとらわれない新たな販路の拡大や商品開発に挑戦することができたと思います。

入社して2年くらい経った頃、「コップのフチ子」というメガヒット商品を担当することになりました。ここでの経験はその後の自分にとって大きな糧になりました。

キタンクラブに5年ほど在籍した後、28歳で株式会社Qualiaを立ち上げました。

もともとプロサッカー選手が夢だったんですが、それが叶わないと悟ってからはずっと、経営者になりたいと思っていました。独立資金は、それまでに貯めていた100万円。ガチャガチャ業界ではかなり若い社長だったので、お客さんをはじめいろいろな方に応援していただきました。独立のきっかけを作ってくれた古屋さんには、今でも感謝しています。

ネコのペンおき 2020年4月発売。これから発売する3シリーズ目は、垂耳と長毛種

今年で5年目を迎える弊社のヒットシリーズの代表は、「ネコのペンおき」「神獣ベコたち」「つかれきったハト」ですね。「ネコのペンおき」は累計100万個、「神獣ベコたち」は80万個を超える人気となりました。好評の「ネコのペンおき」は、いま3シリーズ目として垂耳と長毛種のシリーズを準備しているところです。

現在弊社の社員は6名。内訳はデザイナー4名、アニメーター1名、営業1名です。33歳の私が一番年上なので、平均年齢は20代です。会社特有の堅苦しさが嫌なので、社員とは下の名前で呼び合うようにしています。私のことも「社長」ではなく「勇矢さん」と呼んでもらっています。みんな仲良く、アイデアをフランクに発言できる環境を意識しています。

神獣ベコたち 神話の世界に転生しベコたち 2019年8月発売

ーー話題の商品はどのように生まれるのでしょうか?

企画会議は月1回なんですが、オフィスの日常でパッと浮かんだアイデアを商品化するほうが圧倒的に多いですね。会議でアイデアを必死で考えるのではなく、社員がふと「おもしろい」と感じたものに味付けをし、商品に磨き上げいくスタイルです。

「ネコのペンおき」は、サザエさんのエンディングで踊るタマの姿からひらめきました。子供と一緒にTVをみていて、「あのタマにペンを持たせたらおもしろいんじゃないか」と思ったんです。でも私は猫を飼っていないので、猫のことはよく知らない。猫を飼っている社員に意見を聞きながら、細かい造形を決めていきました。

「つかれきったハト」は、駅前の広場がヒントになりました。仕事で疲れてベンチでぐったりしているサラリーマンと、のんびりと地面をつついているハトのコントラストがおもしろいと思ったんです。

つかれきったハト マスコットフィギュア 2020年6月発売

「おもしろい」と感じることに、理由はありませんよね。弊社では心に湧いた「おもしろさ」を大切にしながら、お客さんにくすっと笑ってもらえる商品を目指しています。

現在毎月10シリーズほどの新商品を展開しているので、年間では100シリーズ以上になりますが、社員とのコミュニケーションの中でアイデアが尽きることはありません。

ーーカプセルトイをどうとらえていますか?

ガチャガチャは1回で満足する人、同じものが出て残念がる人、欲しいものが出るまで続ける人など、楽しみ方はいろいろですよね。「何が出るかわからない」という体験は、人を心理戦に誘います。出てくるアイテムの魅力とギャンブル感が、ガチャガチャのおもしろさだと思います。

お客様に「もっとワクワクを楽しんでほしい」ということで、弊社ではシークレットのさらにシークレット、商品説明にも入っていない激レア商品をラインナップに盛り込むこともあります。

新型コロナウィルスの影響でカプセルトイ市場がどうなるかと思っていましたが、弊社の今期の売り上げは前期の1.4倍の7億を見込んでいます。好調の背景には、カプセルトイを「大人買い」で楽しむ人の増加があるととらえています。

2020年6月に引っ越ししたばかりというオフィスは、カフェのような解放感

ーー会社が目指すものは?

弊社の商品を買ってくださったお客様の中には、飾って眺めるだけでなく、いろいろなものを組み合わせて自分だけの世界を作り、それをSNSに投稿して楽しむ方も増えています。弊社の商品がきっかけとなり、新たなコミュニケーションが生まれていくのは本当にうれしいですね。

将来の夢は、マクドナルドのハッピーセットのような商品を作ることです。ハッピーセットのワクワク感ってすごいですよね。あれは子供が欲しがるおもちゃの最終形態といってもいいと思うんです。

カプセルトイを通じて、子供のときにハッピーセットに感じたワクワク感を大人にもまた味わってほしいと思いながら、毎日「おもしろさ」を探しています。

小川勇矢 株式会社Qualia 代表取締役 1988年生まれ 埼玉県出身 仕事に没頭する日々のリフレッシュは、海辺の日焼けや温泉に浸かってなにもせずに過ごすこと。休日はサッカーをはじめとするスポーツ全般を楽しむ二児の父。

  • 取材・文浜千鳥撮影田中祐介

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