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自民惨敗「4.25ショック」で加速する初の女性宰相誕生の可能性

野田聖子か高市早苗か。 仁義なき権力闘争政局へ

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「時代は新しい宰相(さいしょう)を求めている。菅首相では選挙の顔にはならない」

4月25日、総選挙の前哨戦と位置づけられた衆院北海道2区、参院長野選挙区、参院広島選挙区は、自民党の劇的な「3連敗」となった。

菅政権初の国政選挙は全敗。3選挙区中、唯一わずかに可能性のあった広島で落選が確定し、頭を下げる候補者と岸田文雄県連会長 写真:共同通信

「4.25全敗ショック」。次々判明する「自民落選」の報が駆け巡り、永田町は騒然となったのである。

「取り返しのつかない負け方」の責任は

「取り返しのつかない負け方」だと閣僚経験者は顔をしかめる。

「贈収賄事件で辞職となった衆院北海道2区は放ったらかし、コロナで急逝した羽田雄一郎氏の参院長野は『弔い選挙だからやむなし』とはいえ、自民党が選挙に関与しないというのは、政党としての体をなしていないではないか」

と憤懣(ふんまん)の声を発した。そして

「広島衆院選挙区は、7選挙区中6選挙区が自民党というバリバリの保守地盤。選挙の開票が終る直前まで投票率は10%台。つまり、前回河井案里に投票した自民党支持層が投票所に『行けなくなった』という異常事態が敗因だ。この責任をなし崩しにするわけにはいかない」

という。それでは、その「責任」は誰が負うべきなのか。

党総裁である菅義偉首相、幹事長である二階俊博、それとも、3月に広島県連会長に就任した岸田文雄政調会長の責任なのか。

菅政権発足後初の国政選挙である25日の投開票日、全敗が見え始めたのは午後5時過ぎ。菅義偉首相はとっくに赤坂議員宿舎に引き籠もっていた。

官邸スタッフによると、一縷の望みを託した広島の「自民党推薦候補者落選」報告を議員宿舎で受けた菅首相は、

「やっぱり巻き返せなかったか…」と、力なく漏らしたという。

自民党の選挙責任者である二階幹事長にいたっては、待ち受けていたメディアの前に姿を見せないまま雲隠れを決め込んだ。

「二階幹事長が党本部に来るというから、報道陣はずっと待っていました。それなのに現れなかった。自民党執行部のツートップが、敗戦を受けて『逃げた』のは明らかです」(自民党担当記者)

敗北は織り込み済みだったため、「二階幹事長が記者会見で逆ギレして下手な発言をすると危ないから来させなかったのかも」と全国紙政治部幹部は「解説」するが、なんにしても2人とも顔を見せず、全敗の理由や反省、今後の展望などを語る言葉をもたず、国民の前から「逃げた」のだ。

今こそ「女性宰相」作戦?

自民党幹部が言う。

「コロナ禍では解散などしていられない。今、政治の焦点は総裁選ですよ。党内ではいま、勝つための『新しい顔」を求めている。新しいという意味では、憲政史上初の女性宰相も期待されている。野田聖子幹事長代理か高市早苗元総務相を擁立できれば、国内外に『日本は変わった』とアピールできる。自民党が政権与党であり続けるための処方箋は、これしかないのでは」

政策ではなく「初の女性宰相」というキャッチーさだけで局面を打開しようという安直な発想には「今の自民党なら、さもありなん」(財務官僚)という諦めの声も聞こえる。

「女性」なら野田聖子か。幹事長代行として「2Fの隣」を守る姿勢にも覚悟と野心が感じられる

野田幹事長代理は、‘93年第40回衆議院議員総選挙で、「自民党に女性議員を」と公約して初当選。高市は野田と同期で、奈良県全県区から無所属で出馬し、得票数トップで当選した。現状、党内を見回すとこのどちらかになるだろう。じっさい「野田首相」への期待は少なからずあり、本人も野心を隠していない。

菅・二階の「2人きり会談」に注目

しかし…。そう簡単に決まるだろうか。どんでん返しは政治の常である。

安倍晋三前首相がオフレコで漏らした言葉が想起される。「総理大臣の最大の仕事は何か」と問われ、安倍は押し殺した声でこう言った。

「解散と(閣僚)人事、だよ」

その目つきは、ふだんとはうってかわった鋭いものだった。

その安倍首相に7年8ヶ月にわたり官房長官として仕えてきた菅義偉だ。「できるものなら解散して民意を問いたい。けれどもコロナ禍に解散権を行使するわけにはいかない」などという綺麗事ではなさそうだ。

「非常時なので総裁選はせず、解散総選挙によって菅政権の施政を国民に問うべきだと考えました…こう言って、選挙後のしかるべき時期に総裁選をすれば、政権を長らえ権力を保持することができます。今後、菅首相と二階幹事長が2人きりで会うことがあれば、その直後に、政治が大きく動く可能性があります」(二階派幹部)

新型コロナの蔓延、経済停滞による生活苦で、国民は「死」に直面しているのだ。その深刻さを、国政を運営する菅内閣と自民党は理解しているのだろうか。国民の命が軽んじられるのだけは勘弁だ。

  • 取材・文岩城周太郎写真共同通信

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